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原田慶太楼がシベリウスの真髄を突く名演、東響の超絶的なアンサンブルも光る@サントリーホール 2024.3.30

いやあ、音楽は「音を楽しむ」と言葉の通りのような後半のラフマニノフのピアノ協奏曲 第2番に痺れました。
冒頭からピアノとオーケストラが微妙にずれて、ハラハラドキドキ。お陰で終始、集中して音楽に聴き入りました。
初めて聴くピアノのオルガ・カーンは自分の感性に従って自由奔放に弾きまくります。その演奏自体はテクニック、ラフマニノフの音楽表現、いずれも素晴らしく、明快なピアノの響きでクリアーな音楽を聴かせてくれます。第2楽章の美しく抒情的な表現にはうっとりさせられます。ご本人が音楽を楽しんでいることが聴衆にも伝わって、コンサートホール全体の高揚が感じられます。そして、第3楽章はラフマニノフの美しい音楽、壮大な音楽が盛り上がり、最後は豪快とも言える圧巻のフィナーレ。それはもう、やんやの声援と拍手。saraiもいつものこむずかしい音楽鑑賞は忘れ去って、大満足の大拍手。横の配偶者に「アメリカ人やなあ!(何故か関西風)」。よきアメリカの音楽文化を体現する見事なオルガ・カーンの演奏を楽しみました。さすれば、アンコールはラフマニノフのプレリュードでしょう。しかし、予想を覆して、大きな声で明快に「セルゲイ・プロコフィエフ エチュード No.4 Cマイナー」。どうやら、ハ短調つながりでの演奏のようです。これが凄い演奏。これぞプロコフィエフ! これでアンコールが終わったと思ったら、彼女はもう1曲アンコールを原田慶太楼におねだりの様子。で、白熱のラフマニノフのピアノ協奏曲 第2番の第3楽章の終盤部分を再び、演奏。ピアノもオーケストラも一体となって、怒涛の演奏。ホール全体が盛り上がったことは言うまでもありません。
音楽は演奏の良し悪しもさることながら、やはり、演奏者、聴衆が歓びを共有して、素直に感動することが一番だと言うことを思い知らされました。音楽の原点です。

音楽そのもので言えば、前半のシベリウスが凄かったんです。原田慶太楼って、こんな凄い指揮者になったんですね。フィンランド出身の名指揮者たちをも凌ぐような素晴らしいシベリウスを聴かせてもらい、saraiは大感動でした。

前半の冒頭の藤倉大のWavering Worldはオーケストラの凄い音響が響き渡り、その美しさに感銘を受けました。とりわけ、弦楽パート、中でも対向配置された第1ヴァイオリンと第2ヴァイオリンの響きの美しいこと! しかしながら、音楽としての意味合いはもうひとつ理解できぬままであったのが正直なところです。

続くシベリウスの交響曲 第7番は、驚異的なレベルで音楽の熟成度、磨き抜かれたオーケストラの響きが渾然一体になって、心に迫ってきました。シベリウスの音楽の真髄を抉り出す会心の演奏でした。原田慶太楼が完璧に譜面を読み取って、その精神を理解し、その内容を入念なリハーサルでオーケストラに伝えきって、その上で体全体を使った見事な本番の指揮で東響を自在にコントロールして、この音楽が持つ室内オーケストラ的な本質を歌い上げたことがsaraiの素人の耳にもひしひしと響いてきました。ここまでの完成度の演奏は初めて聴きました。マケラにもサロネンにもカムにも優るとも劣らない最高のシベリウスでした。フレーズ、フレーズの持つ意味がこんなに解明された演奏は空前絶後でしょう。どうして、これまでの演奏が可能になったのか、指揮者に問いたいものです。他のシベリウス作品も完璧に演奏されるであろうことは予想されます。是非とも次の機会に聴かせてもらいたいものです。
あー、驚いた。そして、感動しました。


今日のプログラムは以下のとおりでした。

  指揮:原田慶太楼
  ピアノ:オルガ・カーン
  管弦楽:東京交響楽団 コンサートマスター:小林壱成
  

  藤倉大:Wavering World
  シベリウス:交響曲 第7番 ハ長調 op.105

  《休憩》
  
  ラフマニノフ:ピアノ協奏曲 第2番 ハ短調 op.18
  
  《アンコール》
   プロコフィエフ :4つの練習曲 から 第4番 Op.2-4 ハ短調
   ラフマニノフ:ピアノ協奏曲 第2番 ハ短調 op.18 から 第3楽章の終盤部分


最後に予習について、まとめておきます。

1曲目の藤倉大のWavering WorldはYOUTUBEで予習しました。

 飯森範親指揮パシフィックフィルハーモニア東京  2023年8月30日 東京芸術劇場コンサートホール ライヴ録音
 
ネットの接続がよくなくて、ぶつぶつ切れたので、明確には聴き取れませんでしたが、素晴らしい音響の作品です。


2曲目のシベリウスの交響曲 第7番を予習したCDは以下です。

 パーヴォ・ベルグルンド指揮ヨーロッパ室内管弦楽団 1995年9月 セッション録音

ベルグルンド3回目の全集録音はヘルシンキ・フィルなどのお国のオーケストラを離れて、民族的なアプローチから純音楽的なアプローチに変えて、その成果が十分に出た素晴らしい演奏になりました。シベリウス演奏の在り方を問う画期的なアルバムです。saraiはお国もののほとんどを聴いた上で、この全集がシベリウスの決定盤だと確信しています。


3曲目のラフマニノフのピアノ協奏曲 第2番を予習したCDは以下です。

 上原彩子、原田慶太楼指揮日本フィルハーモニー交響楽団 2022年2月27日 東京 サントリーホール ライヴ録音
 
録音のバランスが少しオーケストラ寄りで当日の興奮が今一つ思い起こせませんが、まあまあ気持ちよく聴けます。
当日のコンサートのブログ記事は以下です。まったくもって素晴らしい上原彩子の渾身の演奏でした。

 https://sarai2551.blog.fc2.com/blog-entry-4283.html




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男たちが聴くブルックナーの交響曲第3番(ノヴァーク:1877年第2稿)は美しさの極 大野和士&東京都交響楽団@サントリーホール 2024.4.3

今年もオーケストラの新シーズンが始まります。
最初は都響。そして、読響と続きます。

今日は都響です。今年はブルックナーの生誕200年で、いわゆる、ブルックナーイヤーです。都響も多くのブルックナー作品を取り上げますが、まずは、珍しいブルックナーの交響曲第3番の第2稿です。通常は第3稿が演奏されますが、都響は以前から、第1稿とか珍しいものを取り上げてきましたが、今日は第2稿。saraiも聴くのは初めてです。
達人揃いの都響のメンバーがとても緊張した様子で一生懸命に演奏するのが分かります。聴く側もそれにつられて緊張して聴き入ります。何かホール全体に緊張した雰囲気が漂います。寝落ちなど、失礼なので、とてもできない雰囲気です。都響の演奏は一言で言えば、とても美しい演奏です。弦楽パートはもちろん、木管も、そして、金管さえも何と美しいんでしょう! コンマスの矢部達哉がSNSで、トリスタンを経験したオーケストラは音色が変わるって言っていたのを思い出します。先月は都響は新国立劇場のオーケストラピットに入って、ワーグナーの楽劇《トリスタンとイゾルデ》を6回も演奏したんです。あのときも素晴らしく美しい演奏だったことを思い出します。そう言えば、今日のブルックナーの交響曲第3番は《ワーグナー》という通称があるのを思い出しました。実はこの通称はワーグナーの作品の引用があることから名付けられたものですが、それは第1稿であって、この第2稿では引用は削除されました。しかし、削除されたとは言え、saraiの耳にはこの第2稿にもワーグナーの響きが残っています。トリスタンを経験した都響はそのワーグナーの響きを美しく表現しています。理屈ではなく、体がそのように感じてしまいます。そもそもこの交響曲の長大さがワーグナーの楽劇の長大さに通じるものがあります。第1楽章、第2楽章と実に長大な音楽が何と美しく響くものか、圧倒的です。第3楽章のスケルツォはちょっと短いですが、それでも長い! 第4楽章の長大で美しい音楽のあまりの壮大さに最後は感動してしまいます。ブルックナーをこんなに美しく演奏できるって、もう、日本のオーケストラも本場のオーケストラと並ぶレベルに達したのかと思います。都響は今シーズン、まだ、7番、9番、4番を演奏しますから、本当にブルックナーを極限まで美しく演奏できるようになったのか、楽しみに検証させてもらいましょう。弱音はもちろんですが、最強音でも美しさが保てれば、あのチェリビダッケの鍛えたミュンヘン・フィルみたいじゃないですか。何と言う驚きでしょう。大野和士の評価もsaraiの中で1段階上がりました。
大野和士の指揮者コールに思わず参加してしまいました。いつもはさっさと帰るんですが、今日の演奏には参りましたからね。
で、周りを眺めて、驚きました。みんな、男たちばかりです。今日は普通の定期公演ですから、一定の割合で女性もいる筈ですが、何故か、男ばかり。ブルックナートイレという言葉があることを実感しました。ブルックナーの演奏会の女子トイレが空いていることをブルックナートイレと言うことをブルックナーファンの女性から教えられました。まさに男たちが聴くブルックナーでした。

前半はマーラーの人生に大きな役割を果たしたマーラー夫人、アルマ・マーラーの歌曲集。ピアノ伴奏をオーケストラ伴奏に編曲したものの日本初演です。もっともオーケストラ伴奏に編曲したものは種々あり、これはその中のひとつ。《5つの歌》、《4つの歌》から7曲を抜き出した《7つの歌》です。メゾソプラノの藤村実穂子が見事な歌唱を聴かせてくれました。そういえば、彼女も《トリスタンとイゾルデ》でブランゲーネを歌っていましたね。今日のコンサートはまるで《トリスタンとイゾルデ》の残影のようです。アルマの歌曲は女性の優しさを感じさせるもので、師匠だったツェムリンスキーの雰囲気を宿しています。夫だったグスタフ・マーラーとは相通じるものは感じませんでした。あくまでもsaraiの主観ですけどね。いやゆる、ファム・ファタールというイメージはなく、真面目な女性作曲家としてのアルマ・マーラーの素顔が見えたような気がしました。


ともかく、都響の素晴らしさに溺れてしまった演奏会でした。


今日のプログラムは以下のとおりです。

  【定期演奏会1000回記念シリーズ①】
  【ブルックナー生誕200年記念/アルマ・マーラー没後60年記念】
  
  指揮:大野和士
  メゾソプラノ:藤村実穂子
  管弦楽:東京都交響楽団 コンサートマスター:矢部達哉

  アルマ・マーラー(D.マシューズ & C.マシューズ編曲):7つの歌 [日本初演]
   
   《休憩》
   
  ブルックナー:交響曲第3番 ニ短調 WAB103(ノヴァーク:1877年第2稿)
   
   
最後に予習について、まとめておきます。

アルマ・マーラーの7つの歌を予習した演奏は以下です。

 リリ・パーシキヴィ、ヨルマ・パヌラ指揮タンペレ・フィルハーモニー管弦楽団 5つの歌/4つの歌(パヌラ編) 2002年10月、2003年2月 フィンランド、ザ・タペレ・ホール セッション録音

パヌラが管弦楽用に編曲した5つの歌/4つの歌を7つの歌の構成に並べ替えて聴きました。とてもよい演奏、歌唱です。


ブルックナーの交響曲第3番を予習した演奏は以下です。

 ベルナルト・ハイティンク指揮ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 (1877年稿・ノヴァーク版) 1988年12月 ウィーン、ムジークフェラインザール セッション録音

この時期のハイティンクのブルックナーはすべて、素晴らしい演奏です。ウィーン・フィルとのブルックナーの録音は残念ながら全集になりませんでしたが、コンセルトヘボウ管とのブルックナーとはまた違った趣きがあり、とても美しい演奏です。



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金川真弓の明晰で伸びやかなバルトークに深く感銘 読売日本交響楽団@サントリーホール 2024.4.5

今日は読響の前常任指揮者だったフランス人指揮者シルヴァン・カンブルランの登場で、プログラム的にもいかにも彼らしいこだわりが感じられる期待のコンサートです。

まずはマルティヌーのリディツェへの追悼。戦争の傷跡を音楽化したものですが、タイトル通り、追悼の一語で表現されるような厳しい音楽をカンブルランが渾身の指揮で聴かせてくれます。最後は明るい希望も見えたような気がします。ウクライナ、ガザでの惨劇が日々、続く中、こういう作品はあまりに重過ぎますが、世界中の人間が目を背けることは許されませんね。それにしても、読響のアンサンブルは美し過ぎて、その音楽内容との齟齬を感じるほどです。

次は美しいドレスを着た金川真弓が登場。saraiが最も将来を嘱望する若手ヴァイオリニストです。さて、どんなバルトークを聴かせてくれるでしょうか。
おお、深い響きのヴァイオリンの音色でバルトークの音楽を表現していきます。この曲はくるくると曲想が変わり、強い表現から伸びやかな表現まで、自在にこなしていきます。凄い聴き応えです。完璧とは言いませんが、どこも文句のない演奏に強く惹かれます。
12音表現もある難曲の筈ですが、金川真弓は普通の曲のようにすらすらと弾いていくのが凄いと思っているうちに第1楽章が終わります。
第2楽章は何と表現すればいいのでしょうか。神秘的、瞑想的、哲学的。アンダンテの変奏曲が美しく奏でられます。
第3楽章は独奏ヴァイオリンとオーケストラが火の玉のようになって、駆け抜けていきます。
いやはや、金川真弓は彼女らしい伸びやかな響きを中心にエネルギーに満ちたバルトークの音楽を見事に弾いてくれました。とても素晴らしい演奏でした。


休憩後、メインのメシアンのキリストの昇天です。無論、初めて聴きます。この難解とも言える作品を若いメシアンが書いたとは彼の凄い才能を感じます。とりわけ、弦楽器だけで演奏される第4楽章の美しさは凄いです。読響の弦楽アンサンブルの威力を感じるしかありません。圧倒的な音楽表現にただただ圧倒されました。音楽が高潮した頂点で突然の終わり。衝撃的です。この音楽が分かったと言えば嘘になります。深い精神性の奥底に何があるのか、いつか理解できるでしょうか。凄いメシアンを聴かせてもらいました。


今日のプログラムは以下です。

  指揮:シルヴァン・カンブルラン
  ヴァイオリン:金川真弓
  管弦楽:読売日本交響楽団  コンサートマスター:林悠介

  マルティヌー:リディツェへの追悼 H.296
  バルトーク : ヴァイオリン協奏曲第2番 BB 117

   《休憩》

  メシアン:キリストの昇天
  

最後に予習について、まとめておきます。

1曲目のマルティヌーのリディツェへの追悼は以下の演奏を聴きました。

 イルジー・ビエロフラーヴェク指揮チェコ・フィルハーモニー管弦楽団 1992年9月18-19日 ドヴォルザーク・ホール、ルドルフィヌム、プラハ、チェコ セッション録音
 
実に敬虔な演奏。聴き応えがあります。


2曲目のバルトークのヴァイオリン協奏曲第2番は以下の演奏を聴きました。

 パトリツィア・コパチンスカヤ、ペーテル・エトヴェシュ指揮フランクフルト放送交響楽団 2012年7月 センデザール、ヘッシッシャー・ランドファンク(HR)、フランクフルト、ドイツ セッション録音

コパチンスカヤの何とも美しい演奏。バルトークがこれでいいのかは分からないが、素晴らしい演奏です。


3曲目のメシアンのキリストの昇天は以下の演奏を聴きました。

 チョン・ミュンフン指揮パリ・バスティーユ管弦楽団 1991年10月 パリ、バスティーユ歌劇場 セッション録音

思いがけず、素晴らしい演奏。当時、チョン・ミュンフンはパリのバスティーユ・オペラ座の音楽監督でした。



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       金川真弓,  

アヌ・コムシとサカリ・オラモによる充実の時間を満喫 東京交響楽団@サントリーホール 2024.4.20

久し振りのブログです。実は今頃になって、新型コロナウィルスに罹患し、症状が収まるまで、家に籠っていました。結果、3つのコンサートを聴き損ねてしまいました。今日は久しぶりのコンサート。実演が聴ける歓びでいっぱいです。

今日は東響の定期演奏会。フィンランド出身の音楽家、指揮者サカリ・オラモとソプラノのアヌ・コムシがお国ものの音楽を聴かせてくれました。

まず最初はラウタヴァーラのカントゥス・アルクティクス (鳥とオーケストラのための協奏曲)です。鳥の声は作曲家が録音した湿原の鳥の声がテープで流されます。その鳥の声とオーケストラが協奏するという離れ業のような演奏ですが、これが実に瑞々しい音楽として成立しているんです。こういう自然と人間文明のコラボはいかにもフィンランドらしいですね。不思議な魅力に満ちた音楽が20数分、ホールに満ちていました。いやあ、色んな音楽があるものです。

次はサーリアホのサーリコスキ歌曲集(管弦楽版)です。サーリアホと言えば、2015年に都響のコンサートで、 ミステリアスな一角獣ワールドを研ぎ澄まされた聴覚で体験させたクラリネット協奏曲《D'OM LE VRAI SENS》の日本初演を聴いた鮮烈な思い出が脳裏に浮かびます。
https://sarai2551.blog.fc2.com/blog-entry-745.html
この曲はパリのクリュニー美術館に所蔵されている中世フランスのタペストリーの傑作《貴婦人と一角獣》のイメージに触発されて、それを単に描写するのではなく、音楽としてメタファーしたものだという作曲家自身の解説がありました。この音楽に触発されて、saraiは早速、その年、パリのクリュニー美術館に所蔵されている中世フランスのタペストリーの傑作《貴婦人と一角獣》を鑑賞に出かけて、タペストリーにも大いに感動しました。
https://sarai2551.blog.fc2.com/blog-entry-2185.html

今日のサーリコスキ歌曲集はソプラノのアヌ・コムシの超絶技巧の歌唱に驚嘆しました。サーリアホは演奏者の音楽力を引き出す作品を巧みに作り上げています。今日もサーリアホ自身が来ているかと思っていましたが、残念ながら来ていないようです。後で知りましたが、彼女は昨年、パリの自宅で70歳の生涯を終えたそうです。全然、知りませんでした。折角の日本初演に立ち会えなくて、彼女も無念だったでしょう。

ここで休憩。ソプラノのアヌ・コムシは次の曲でも歌うので、休憩を入れたのでしょう。

休憩後、シベリウスの交響詩「ルオンノタル」です。いかにもシベリウスらしい清新な音楽が弦楽で奏されます。そして、ソプラノのアヌ・コムシの独唱が響き渡ります。歌付きの交響曲のような風情です。素晴らしい作品ですが、難しいフィンランド語の歌詞のソプラノを必要とするので、滅多に演奏はできそうもありませんね。今日、これが聴けたのは僥倖のようなものです。たった10分ほどの作品ですが、シベリウスを堪能できました。

最後はフィンランドのお国ものを離れて、ドヴォルザークの交響曲 第8番。saraiの推測ですが、きっと指揮者のサカリ・オラモが子供の頃からこの曲を愛してきたんだろうと思います。何故って、saraiもそうだからです。何となく、同志としての気持ちが分かるんです。そして、今日の演奏を一番楽しんだのは指揮者のサカリ・オラモだったのじゃないかと思います。無論、saraiも楽しみましたけどね。演奏自体はジョージ・セルの録音のような精度の高さはありませんが、指揮者もオーケストラも皆、一体になって、楽しんでいるのがこちらにも伝わってきました。まるでアマオケみたいなアプローチですが、音楽の原点を聴いたような思いにも駆られました。弦楽は大活躍でしたが、フルートの竹山愛の見事な演奏が印象的でした。そして、やはり、第3楽章のワルツ風の美しいメロディーに魅惑されました。

やっぱり、健康にコンサートが聴けるのは素晴らしいです。久々に心が躍りました。


今日のプログラムは以下のとおりでした。

  指揮:サカリ・オラモ
  ソプラノ:アヌ・コムシ
  管弦楽:東京交響楽団 コンサートマスター:小林壱成
  

  ラウタヴァーラ: カントゥス・アルクティクス (鳥とオーケストラのための協奏曲) op.61
  サーリアホ:サーリコスキ歌曲集(管弦楽版)<日本初演>

  《休憩》
  
  シベリウス:交響詩「ルオンノタル 」op.70
  ドヴォルザーク:交響曲 第8番 ト長調 op.88


最後に予習について、まとめておきます。

1曲目のラウタヴァーラのカントゥス・アルクティクス (鳥とオーケストラのための協奏曲)を予習したCDは以下です。

 レイフ・セーゲルスタム指揮ヘルシンキ・フィルハーモニー管弦楽団  2004年11月 フィンランディアホール、ヘルシンキ、フィンランド セッション録音
 
とても美しい演奏。


2曲目のサーリアホのサーリコスキ歌曲集(管弦楽版)を予習したYOUTUBEは以下です。

 アヌ・コムシ、サカリ・オラモ指揮フィンランド放送交響楽団 2023年3月29日 ヘルシンキミュージックセンター(Musiikkitalo)、ヘルシンキ、フィンランド ライヴ録音

アヌ・コムシのスーパーソプラノの超絶技巧が炸裂!


3曲目のシベリウスの交響詩「ルオンノタル」を予習したCDは以下です。

 タル・ヴァリャッカ、パーヴォ・ベルグルンド指揮ボーンマス交響楽団 1975年6月3日、ロンドン Abbey Road Studio No.1 セッション録音
 
ベルグルンドの素晴らしい指揮で聴くシベリウスは格別です。


4曲目のドヴォルザークの交響曲 第8番を予習したCDは以下です。

 ジョージ・セル指揮チェコ・フィル 1969年8月30日、ルツェルン ライヴ録音
 
永遠に奇跡の名演奏として刻まれる畢生の1枚。何度、繰り返して聴いても決して色褪せない素晴らしさです。



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首都圏の様々なジャンルのクラシックコンサート、オペラの感動をレポートします。在京オケ・海外オケ、室内楽、ピアノ、古楽、声楽、オペラ。バロックから現代まで、幅広く、深く、クラシック音楽の真髄を堪能します。
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最後までレビューありがとうございます。最後は時間の都合がつかず視聴できず、非常に残念でした。

アンコールも含め好評のレビューを見てますます残念ですが、お陰様でど

04/02 12:33 

michelangeloさん

saraiです。大変、ご無沙汰しています。
このたびは過分なご評価いただき、恐縮しています。

よいコンサート、オペラを聴くと、興奮して、記事を書き過

03/31 01:42 sarai

sarai様

こんばんは。

3月に8回も《トリスタンとイゾルデ》公演が開催される東京は音楽都市です。再び御感想を拝読し、改めて感じるのはsarai様のクラシック音楽オペラ公

03/29 21:28 michelangelo

《あ》さん、saraiです。

結局、最後まで、ご一緒にブッフビンダーのベートーヴェンのソナタ全曲をお付き合い願ったようですね。
こうしてみると、やはり、ベートーヴェン

03/22 04:27 sarai

昨日は祝日でゆっくりオンライン視聴できました。

全盛期から技術的衰えはあると思いましたが、彼のベートーヴェンは何故こう素晴らしいのか…高齢のピアニストとは思えな

03/21 08:03 

《あ》さん、再度のコメント、ありがとうございます。

ブッフビンダーの音色、特に中音域から高音域にかけての音色は会場でもでも一際、印象的です。さすがに爪が当たる音

03/21 00:27 sarai

ブッフビンダーの音色は本当に美しいですね。このライブストリーミングは爪が鍵盤に当たる音まで捉えていて驚きました。会場ではどうでしょうか?

実は初めて聴いたのはブ

03/19 08:00 
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