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男たちが聴くブルックナーの交響曲第3番(ノヴァーク:1877年第2稿)は美しさの極 大野和士&東京都交響楽団@サントリーホール 2024.4.3

今年もオーケストラの新シーズンが始まります。
最初は都響。そして、読響と続きます。

今日は都響です。今年はブルックナーの生誕200年で、いわゆる、ブルックナーイヤーです。都響も多くのブルックナー作品を取り上げますが、まずは、珍しいブルックナーの交響曲第3番の第2稿です。通常は第3稿が演奏されますが、都響は以前から、第1稿とか珍しいものを取り上げてきましたが、今日は第2稿。saraiも聴くのは初めてです。
達人揃いの都響のメンバーがとても緊張した様子で一生懸命に演奏するのが分かります。聴く側もそれにつられて緊張して聴き入ります。何かホール全体に緊張した雰囲気が漂います。寝落ちなど、失礼なので、とてもできない雰囲気です。都響の演奏は一言で言えば、とても美しい演奏です。弦楽パートはもちろん、木管も、そして、金管さえも何と美しいんでしょう! コンマスの矢部達哉がSNSで、トリスタンを経験したオーケストラは音色が変わるって言っていたのを思い出します。先月は都響は新国立劇場のオーケストラピットに入って、ワーグナーの楽劇《トリスタンとイゾルデ》を6回も演奏したんです。あのときも素晴らしく美しい演奏だったことを思い出します。そう言えば、今日のブルックナーの交響曲第3番は《ワーグナー》という通称があるのを思い出しました。実はこの通称はワーグナーの作品の引用があることから名付けられたものですが、それは第1稿であって、この第2稿では引用は削除されました。しかし、削除されたとは言え、saraiの耳にはこの第2稿にもワーグナーの響きが残っています。トリスタンを経験した都響はそのワーグナーの響きを美しく表現しています。理屈ではなく、体がそのように感じてしまいます。そもそもこの交響曲の長大さがワーグナーの楽劇の長大さに通じるものがあります。第1楽章、第2楽章と実に長大な音楽が何と美しく響くものか、圧倒的です。第3楽章のスケルツォはちょっと短いですが、それでも長い! 第4楽章の長大で美しい音楽のあまりの壮大さに最後は感動してしまいます。ブルックナーをこんなに美しく演奏できるって、もう、日本のオーケストラも本場のオーケストラと並ぶレベルに達したのかと思います。都響は今シーズン、まだ、7番、9番、4番を演奏しますから、本当にブルックナーを極限まで美しく演奏できるようになったのか、楽しみに検証させてもらいましょう。弱音はもちろんですが、最強音でも美しさが保てれば、あのチェリビダッケの鍛えたミュンヘン・フィルみたいじゃないですか。何と言う驚きでしょう。大野和士の評価もsaraiの中で1段階上がりました。
大野和士の指揮者コールに思わず参加してしまいました。いつもはさっさと帰るんですが、今日の演奏には参りましたからね。
で、周りを眺めて、驚きました。みんな、男たちばかりです。今日は普通の定期公演ですから、一定の割合で女性もいる筈ですが、何故か、男ばかり。ブルックナートイレという言葉があることを実感しました。ブルックナーの演奏会の女子トイレが空いていることをブルックナートイレと言うことをブルックナーファンの女性から教えられました。まさに男たちが聴くブルックナーでした。

前半はマーラーの人生に大きな役割を果たしたマーラー夫人、アルマ・マーラーの歌曲集。ピアノ伴奏をオーケストラ伴奏に編曲したものの日本初演です。もっともオーケストラ伴奏に編曲したものは種々あり、これはその中のひとつ。《5つの歌》、《4つの歌》から7曲を抜き出した《7つの歌》です。メゾソプラノの藤村実穂子が見事な歌唱を聴かせてくれました。そういえば、彼女も《トリスタンとイゾルデ》でブランゲーネを歌っていましたね。今日のコンサートはまるで《トリスタンとイゾルデ》の残影のようです。アルマの歌曲は女性の優しさを感じさせるもので、師匠だったツェムリンスキーの雰囲気を宿しています。夫だったグスタフ・マーラーとは相通じるものは感じませんでした。あくまでもsaraiの主観ですけどね。いやゆる、ファム・ファタールというイメージはなく、真面目な女性作曲家としてのアルマ・マーラーの素顔が見えたような気がしました。


ともかく、都響の素晴らしさに溺れてしまった演奏会でした。


今日のプログラムは以下のとおりです。

  【定期演奏会1000回記念シリーズ①】
  【ブルックナー生誕200年記念/アルマ・マーラー没後60年記念】
  
  指揮:大野和士
  メゾソプラノ:藤村実穂子
  管弦楽:東京都交響楽団 コンサートマスター:矢部達哉

  アルマ・マーラー(D.マシューズ & C.マシューズ編曲):7つの歌 [日本初演]
   
   《休憩》
   
  ブルックナー:交響曲第3番 ニ短調 WAB103(ノヴァーク:1877年第2稿)
   
   
最後に予習について、まとめておきます。

アルマ・マーラーの7つの歌を予習した演奏は以下です。

 リリ・パーシキヴィ、ヨルマ・パヌラ指揮タンペレ・フィルハーモニー管弦楽団 5つの歌/4つの歌(パヌラ編) 2002年10月、2003年2月 フィンランド、ザ・タペレ・ホール セッション録音

パヌラが管弦楽用に編曲した5つの歌/4つの歌を7つの歌の構成に並べ替えて聴きました。とてもよい演奏、歌唱です。


ブルックナーの交響曲第3番を予習した演奏は以下です。

 ベルナルト・ハイティンク指揮ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 (1877年稿・ノヴァーク版) 1988年12月 ウィーン、ムジークフェラインザール セッション録音

この時期のハイティンクのブルックナーはすべて、素晴らしい演奏です。ウィーン・フィルとのブルックナーの録音は残念ながら全集になりませんでしたが、コンセルトヘボウ管とのブルックナーとはまた違った趣きがあり、とても美しい演奏です。



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首都圏の様々なジャンルのクラシックコンサート、オペラの感動をレポートします。在京オケ・海外オケ、室内楽、ピアノ、古楽、声楽、オペラ。バロックから現代まで、幅広く、深く、クラシック音楽の真髄を堪能します。
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最後までレビューありがとうございます。最後は時間の都合がつかず視聴できず、非常に残念でした。

アンコールも含め好評のレビューを見てますます残念ですが、お陰様でど

04/02 12:33 

michelangeloさん

saraiです。大変、ご無沙汰しています。
このたびは過分なご評価いただき、恐縮しています。

よいコンサート、オペラを聴くと、興奮して、記事を書き過

03/31 01:42 sarai

sarai様

こんばんは。

3月に8回も《トリスタンとイゾルデ》公演が開催される東京は音楽都市です。再び御感想を拝読し、改めて感じるのはsarai様のクラシック音楽オペラ公

03/29 21:28 michelangelo

《あ》さん、saraiです。

結局、最後まで、ご一緒にブッフビンダーのベートーヴェンのソナタ全曲をお付き合い願ったようですね。
こうしてみると、やはり、ベートーヴェン

03/22 04:27 sarai

昨日は祝日でゆっくりオンライン視聴できました。

全盛期から技術的衰えはあると思いましたが、彼のベートーヴェンは何故こう素晴らしいのか…高齢のピアニストとは思えな

03/21 08:03 

《あ》さん、再度のコメント、ありがとうございます。

ブッフビンダーの音色、特に中音域から高音域にかけての音色は会場でもでも一際、印象的です。さすがに爪が当たる音

03/21 00:27 sarai

ブッフビンダーの音色は本当に美しいですね。このライブストリーミングは爪が鍵盤に当たる音まで捉えていて驚きました。会場ではどうでしょうか?

実は初めて聴いたのはブ

03/19 08:00 
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