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素晴らしく成長したアンサンブル、ほのカルテット 圧巻のウェーベルンの弦楽四重奏のための緩徐楽章@鶴見サルビアホール 2024.5.1

今日はQUARTET BIENNALE YOKOHAMA 2024の8つのコンサートシリーズの2回目。若手カルテットの期待を担うほのカルテットの登場です。saraiは3年ぶりに聴きます。
3年前も素晴らしい演奏を聴かせてくれましたが、今回は凄い成長を遂げて、安定性や響きの美しさは見事です。なかでも第1ヴァイオリンの岸本萌乃加の充実ぶりに驚きました。彼女の姿は読響の公演でいつも見ていますが、その音は聴き取れません。

最初は望月京のboids again(鳥もどき再び)、見事な演奏でした。冒頭、まるで鳥の美しい声のように響きます。短い曲ですが、インパクトの強い演奏でした。作曲した望月京さんも来場されていました。

2曲目はドヴォルザークの弦楽四重奏曲 第12番「アメリカ」。超有名な作品ですね。第1ヴァイオリンの岸本萌乃加の飛びっきり美しい響きにうっとりと聴き入りました。第1楽章の演奏がとても素晴らしいものでした。それにしても、この曲がとても長く感じられるほど、ずっと緊張感のある演奏でした。

休憩後、ウェーベルンの弦楽四重奏のための緩徐楽章。何という美しい演奏でしょう。もともと美しい曲ですが、それをさらに美しく演奏しました。ここでも第1ヴァイオリンの岸本萌乃加の美しい響きに魅了されました。この曲をこんなに集中して聴いたのは初めてです。今でも冒頭の第1ヴァイオリンの美しいメロディーが頭の中で鳴っています。

最後はスメタナの弦楽四重奏曲 第1番 「わが生涯より」。それほど、この曲に触れる機会はないので、今日は貴重な体験。これもインパクトのある素晴らしい演奏でした。それに明快な演奏だったので、この曲の真髄が理解できます。それにしても、この曲も長い! 特に第3楽章はいったん終わったというところから、また、演奏が続き、長大な楽章であることを思い知らされました。この曲も終始、緊張感の高いアンサンブルが続きました。演奏者も聴く方も疲れます。しかし、最後は感動的なフィナーレ。聴衆も静まり返りました。うーん、素晴らしい。

アンコールはウェーベルン。無調時代の作品ですが、後期ロマン派の残滓も感じられる名曲です。これは素晴らしいというよりも凄い演奏。クァルテット・インテグラもこのほのカルテットも若手のカルテットはウェーベルンが素晴らしいのは何故でしょう。時代はウェーベルン、リゲティ、ヤナーチェクなのかしらね。


今日のプログラムは以下です。

  弦楽四重奏:ほのカルテット
   岸本萌乃加 vn  林 周雅 vn  長田健志 va  蟹江慶行 vc

   望月京:boids again(鳥もどき再び)

   ドヴォルザーク:弦楽四重奏曲 第12番 Op.96「アメリカ」

   《休憩》

   ウェーベルン:弦楽四重奏のための緩徐楽章

   スメタナ:弦楽四重奏曲 第1番 「わが生涯より」

   《アンコール》
   ウェーベルン:弦楽四重奏のための五つの楽章 Op.5 より 第3楽章 きわめて活発に(Sehr bewegt)
    

最後に予習について触れておきます。

1曲目の望月京のboids again(鳥もどき再び)は以下のYOUTUBEで聴きました。

 テラ弦楽四重奏団 2023年5月16日 大阪国際室内楽コンクール&フェスタ2023 3次予選 大阪、住友生命いずみホール ライヴ録音

完成度の高い演奏。


2曲目のドヴォルザークの弦楽四重奏曲 第12番「アメリカ」は以下のCDを聴きました。

 ブロドスキー・クァルテット 2013年3月6-8日 ポットン・ホール(サフォーク) セッション録音
  ダニエル・ローランド(ヴァイオリン) イアン・ベルトン(ヴァイオリン)
  ポール・キャシディ(ヴィオラ) ジャクリーン・トーマス(チェロ)
 
ブロドスキー・クァルテットらしい艶のある演奏。オリジナリティも感じられます。賛否あるかもしれません。


3曲目のウェーベルンの弦楽四重奏のための緩徐楽章は以下のCDを聴きました。

 ベルチャ弦楽四重奏団 2015年 セッション録音
  コリーナ・ベルチャ、アクセル・シャハー(vn)
  クシシュトフ・ホジェウスキ(va)アントワーヌ・ルデルラン(vc)
 
とても美しい演奏。うっとりと聴きました。


4曲目のスメタナの弦楽四重奏曲 第1番 「わが生涯より」は以下のCDを聴きました。

 スメタナ弦楽四重奏団 1976年2月12-20日 プラハ,ナショナル・ハウス・スタジオ セッション録音
  イルジー・ノヴァーク、リュボミール・コステツキー (vn)
  ミラン・シュカンパ(va)アントニーン・コホウト(vc)
 
スメタナ弦楽四重奏団、絶頂期の録音。これ以上の演奏は望めません。



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上原彩子の天才の煌めき にじクラ 日本フィルハーモニー交響楽団@サントリーホール 2024.5.2

高橋克典がナビゲーターを務めるにじクラ(午後2時からのクラシックという意味?)を初めて聴きました。普通、こういうものは聴きませんが、上原彩子がピアノを弾くので、聴くことにしました。

なかなか、サービスがよく、オルガン・プレ・コンサートまで聴かせてくれます。

さて、最初の曲はチャイコフスキーのピアノ協奏曲第3番。1楽章構成でチャイコフスキーの最後の作品だそうです。めったに演奏される曲ではないので、saraiは初聴きです。演奏する上原彩子も初めて弾くそうです。因みに有名なピアノ協奏曲第1番はもう何回聴いたか分かりませんが、ピアノ協奏曲第2番も1回だけ聴いたことがあります。そのときもピアノは上原彩子でした。つまり、上原彩子の演奏でチャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番~第3番まですべて聴くことになります。
さて、曲はチャイコフスキーらしさはあるもののとりとめのない感じで色んな楽想が入り乱れる感じです。しかし、上原彩子のピアノは実に天才的なレベルで素晴らしい演奏です。特に終盤のカデンツァは見事過ぎる演奏で、これだけでも聴く価値がありました。
それに上原彩子と日本フィルの掛け合いがぴったり呼吸が合っていて見事なものでした。指揮者の太田弦の貢献もあったんでしょう。
次は上原彩子の独奏でチャイコフスキーのバレエ音楽『くるみ割り人形』より「花のワルツ」。ピアノ編曲は上原彩子自身です。まるでもともとピアノ曲であったかのように素晴らしいピアノ編曲です。原曲のオーケストラ版はいやというほど知り尽くしているのに、まったく違和感なしに聴けました。上原彩子のピアノ演奏が素晴らしかったのは言うまでもありません。「展覧会の絵」のピアノ版とオーケストラ版(ラヴェル編)みたいな感じです。むしろ、ピアノ版のほうが、ピアノの美しいピュアーな響きが楽しめて、オーケストラ版に優るほどです。

休憩後、最後はモーツァルトの交響曲第41番 「ジュピター」。日本フィルの弦楽セクションのアンサンブルがピタッと決り、素晴らしい演奏です。第1楽章の古典的な味わい、第4楽章のジュピター音型に基づく対位法的展開はとても素晴らしく耳に響きました。有名曲をここまできちんと聴かせてくれるのはなかなかないことです。指揮者の太田弦と日本フィルの健闘に拍手を送りましょう。

アンコールは何と、先ほどピアノ独奏で聴いたチャイコフスキーのバレエ音楽『くるみ割り人形』より「花のワルツ」の原曲のオーケストラ版。ハープの独奏が素晴らしく、また、クラリネットの仄暗い味わいもなかなかでした。しかし、今日は上原彩子のピアノ独奏に軍配を上げておきましょう。

高橋克典のナビゲーターも堂に入ったものでした。今日はチャイコフスキーのピアノ協奏曲第3番が聴けたのが最大の収穫です。おそらく2度と聴けることはないでしょう。


今日のプログラムは以下です。

  指揮:太田弦
  ピアノ:上原彩子
  ナビゲーター:高橋克典
  管弦楽:日本フィルハーモニー交響楽団 コンサートマスター:木野 雅之

  チャイコフスキー:ピアノ協奏曲第3番 変ホ長調 Op.75
  チャイコフスキー(上原彩子 編曲):バレエ音楽『くるみ割り人形』より「花のワルツ」(ピアノ独奏)
  
   《休憩》
   
  モーツァルト:交響曲第41番 ハ長調 K. 551「ジュピター」
  
   《アンコール》
   チャイコフスキー:バレエ音楽『くるみ割り人形』より「花のワルツ」(オーケストラ版)
   
   
  ◎オルガン・プレ・コンサート 13:40~
  オルガン:石川゠マンジョル 優歌
  
  ラフマニノフ(ヴィエルヌ 編曲):前奏曲 嬰ハ短調 作品3-2「鐘」
  J. S. バッハ:前奏曲とフーガ ホ長調 BWV 566 より フーガ


最後に予習について、まとめておきます。

1曲目のチャイコフスキーのピアノ協奏曲第3番を予習した演奏は以下です。

 ミハイル・プレトニョフ、ヴラディーミル・フェドセーエフ指揮フィルハーモニア管弦楽団 1990年3月 ウェルサムストウ・アッセンブリー・ホール セッション録音

プレトニョフが指揮者に転向し、ピアニストを引退する前の演奏です。見事な演奏を聴かせてくれます。


2曲目のチャイコフスキーのバレエ音楽『くるみ割り人形』より「花のワルツ」(プレトニョフ編曲、ピアノ独奏)を予習した演奏は以下です。

 ヴァレンティーナ・リシッツァ 2017年12月-2018年4月、ウィーン セッション録音
 
リシッツァの冴えた技巧が光ります。


3曲目のモーツァルトの交響曲第41番 「ジュピター」を予習した演奏は以下です。

 ジョージ・セル指揮クリーヴランド管弦楽団 1963年10月11日&25日 クリーヴランド、セヴェランス・ホール セッション録音

素晴らしく引き締まった演奏。最高の演奏です。



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       上原彩子,  

カーチュン・ウォンの凄絶なマーラーの交響曲第9番 日本フィルハーモニー交響楽団@サントリーホール 2024.5.10

カーチュン・ウォンはやはり、マーラーが似合います。
今年、saraiが一番期待していたコンサートでもあります。カーチュン・ウォンが日本フィルの首席指揮者に決まってからもこのコンサートを一番待望していました。そんなsaraiの気持ちは無論、報われました。

第1楽章から、意外に正攻法の演奏が続きますが、もちろん、諸所に思わぬ演奏もあります。瑞々しい演奏でもあり、大変、完成度の高い演奏です。まあ、カーチュン・ウォンはこの曲をそれほどは指揮していない筈なので、伸びしろも感じる演奏です。第3楽章まではうっとりと聴き入っていました。
第3楽章が終わると、カーチュン・ウォンはいったん指揮台を降りて、タクトを床に置き、一息入れます。暗譜で指揮していたので、譜面台がなく、タクトを置く場所がなかったんでしょう。第4楽章はノンタクトで指揮するようです。ここで何かが変わるのですね。第4楽章の3分の1くらいを過ぎたところでsaraiの頭の霧が晴れて、実に澄み切った心境になります。何が起こったのか、分かりませんが、カーチュン・ウォンと日本フィルの演奏が繊細極まるレベルに達していることは明らかです。弦楽の嵐のような演奏の後、木管楽器が音節を弾き継いでいきます。そして、また、弦楽が中心の演奏になり、音楽の頂点を過ぎて、徐々に静まっていきます。ここでカーチュン・ウォンの本当の気合いのスイッチが入ります。長いパウゼで、もう、音楽は再開しないかと思うほどの静寂が漂った後、最後の静謐な音楽が最弱音で始まります。さすがにサントリーホールの聴衆はまるで誰も息さえもしていないような静寂を創り出しています。こうなると、音楽は演奏者と聴衆が共同で創り出すものだということが実感できます。繊細極まりない音楽、まるでこの世を超えたところにあるような音楽は美しく、そして、優しく響きます。何度もパウゼを繰り返しながら、最終地点、「死」を目指します。そして、ありえないような終着・・・音楽の響きはなくなっても長い長い静寂は続いていきます。永遠の時間を経て、カーチュン・ウォンの両手がだらんと下がり、ぽつぽつと拍手が起こります。saraiは拍手も忘れて、最後の素晴らしい20分間の音楽を噛みしめます。

カーチュン・ウォンの本物の才能に再び出会えました。期待を超えた演奏だったような気がします。ここで断定しないのは明日ももう一度聴くからです。マーラーの最高傑作、交響曲第9番を2日聴き、明後日はジョナサン・ノット指揮の東響で大地の歌を聴きます。マーラーの傑作を聴く黄金の3日間です。これ以上の幸せがあるでしょうか。


今日のプログラムは以下です。

  指揮:カーチュン・ウォン[首席指揮者]
  管弦楽:日本フィルハーモニー交響楽団 コンサートマスター:田野倉 雅秋

  マーラー:交響曲第9番 ニ長調


最後に予習について、まとめておきます。

マーラーの交響曲第9番を予習した演奏は以下です。

 ベルナルド・ハイティンク指揮アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団 1969年6月、オランダ、アムステルダム、コンセルトヘボウ セッション録音

素晴らしい名演です。バルビローリ&BPOとも並び立つような演奏です。演奏、録音ともに素晴らしい響きで高弦のピアノの素晴らしさに魅了されます。第4楽章には大変な感動を覚えました。まるでライヴ演奏を聴いているような錯覚すら覚えます。涙なしには聴き通せません。


 レナード・バーンスタイン指揮ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団 1985年5、6月 アムステルダム、コンセルトヘボウ大ホール ライヴ録音

 マーラーを愛して止まなかったバーンスタインはやはり、コンセルトヘボウ管弦楽団との演奏が一番でしょうか。一般的にも最高の演奏と評されています。
 


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       カーチュン・ウォン,  

カーチュン・ウォン、異次元のマーラーの交響曲第9番の第4楽章 日本フィルハーモニー交響楽団@サントリーホール 2024.5.11

カーチュン・ウォンが指揮するマーラーの交響曲第9番、昨日に続いて2回目です。
細かい部分の完成度が高まり、マーラーの最高傑作を十分に堪能できます。とりわけ、音楽が高潮したときの歯切れのよいポジティヴな演奏に心が躍ります。必殺といっていいほどのスカッとした響きです。
第1楽章は感情が揺れ動き、時として激情に駆られます。そのダイナミックな響きに感銘を受けます。
第2楽章はゆったりとした音楽と突然の高潮に心を揺さぶられます。
第3楽章は強い突っ込み、そして、終盤のハリウッドさながらの美しいフレーズの音楽的高潮にどんどん気持ちが乗ってきます。
しかし、ここまでは序章に過ぎませんでした。

今日も第3楽章が終わると、カーチュン・ウォンはいったん指揮台を降りて、タクトを床に置き、長いパウゼに入ります。楽章間の休みというよりもここで音楽の質、ギアーを入れ換えるためのゲネラルパウゼに思えます。ノンタクトで演奏した第4楽章は異次元の演奏でした。カーチュン・ウォンの意気込みに日本フィルのアンサンブルも応えます。第3楽章まではあえて、弦の響きを抑えて、管の響きを優先し、ちょっとバランスが悪いと思っていましたが、それは第4楽章で対照的な演奏を行うための布石だったようです。第4楽章は分厚い弦の響きが支配的で管はあくまでも弦の響きを補強するためのもの。冒頭から圧倒的な弦の響きがホール中に満たされます。このあたりは昨日とはまったく印象が異なります。素晴らしい弦のアンサンブルをカーチュン・ウォンが鼓舞して、何度も頂点に上り詰めます。弦楽の嵐のような演奏の後、木管楽器が唯一主導権を握って、繊細極まりない音節を弾き継いでいきます。そして、また、弦楽が中心の演奏になり、音楽の頂点を築きます。ここでカーチュン・ウォンの本当の気合いのスイッチが入ります。長いパウゼの静寂が漂った後、最後の静謐な音楽が最弱音で始まります。チェロのソロの愛のフレーズの後、無明の世界に入っていきます。さすがにサントリーホールの聴衆はまるで誰も息さえもしていないような静寂を創り出しています。こうなると、音楽は演奏者と聴衆が共同で創り出すものだということが実感できます。繊細極まりない音楽、まるでこの世を超えたところにあるような音楽は現実世界と遊離して、儚く美しく、そして、優しく響きます。何度もパウゼを繰り返しながら、最終地点、「死」を目指します。そして、ありえないような終着・・・音楽の響きはなくなっても長い長い静寂は続いていきます。永遠の時間は昨日の3倍ほど続きます。やがて、カーチュン・ウォンがコンマスに合図を送り、演奏の終了を告げます。何とも凄い第4楽章でした。

カーチュン・ウォンの本物の才能に再び驚嘆しました。期待を超えた演奏でした。しかし、まだまだ、カーチュン・ウォンの才能は限りなく高いものです。いつか、第1楽章から第3楽章まで、今日の第4楽章のレベルで演奏してもらいたいものです。(そんな演奏は未だかってありませんが・・・)
マーラーの最高傑作、交響曲第9番を2日間聴き、明日はジョナサン・ノット指揮の東響で大地の歌を聴きます。マーラーの傑作を聴く黄金の3日間です。これ以上の幸せはないと心が飛翔しているsaraiです。


今日のプログラムは以下です。

  指揮:カーチュン・ウォン[首席指揮者]
  管弦楽:日本フィルハーモニー交響楽団 コンサートマスター:田野倉 雅秋

  マーラー:交響曲第9番 ニ長調


最後に予習について、まとめておきます。

マーラーの交響曲第9番を予習した演奏は以下です(もちろん、昨日と同じ)。

 ベルナルド・ハイティンク指揮アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団 1969年6月、オランダ、アムステルダム、コンセルトヘボウ セッション録音

素晴らしい名演です。バルビローリ&BPOとも並び立つような演奏です。演奏、録音ともに素晴らしい響きで高弦のピアノの素晴らしさに魅了されます。第4楽章には大変な感動を覚えました。まるでライヴ演奏を聴いているような錯覚すら覚えます。涙なしには聴き通せません。


 レナード・バーンスタイン指揮ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団 1985年5、6月 アムステルダム、コンセルトヘボウ大ホール ライヴ録音

 マーラーを愛して止まなかったバーンスタインはやはり、コンセルトヘボウ管弦楽団との演奏が一番でしょうか。一般的にも最高の演奏と評されています。
 


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       カーチュン・ウォン,  

マーラーの大地の歌、永遠の時を刻む憂愁の響き ジョナサン・ノット&東京交響楽団@サントリーホール 2024.5.12

ジョナサン・ノットがこれほどのマーラーを聴かせてくれるとは絶句です。
マーラーの最後期の一作、大地の歌のこれほどの演奏を聴くと、どうしてもマーラーの最高傑作である交響曲第9番も聴きたくなりますが、残念ながら、2014年4月に東京交響楽団の音楽監督に就任したジョナサン・ノットの就任披露のコンサートで演奏済。その頃はまだ、ジョナサン・ノット&東響の素晴らしさを知らなかったsaraiは聴いていません。できうれば、2026年3月の音楽監督退任コンサートで再び、マーラーの交響曲第9番を取り上げてほしいと祈るばかりです。

今日の大地の歌、冒頭から、ジョナサン・ノットは東響から素晴らしい響きを引き出します。その響きに乗って、テノールのベンヤミン・ブルンスが声量豊かな見事な歌唱を聴かせてくれます。ちょっとテノール・ソロが歌い過ぎの感もありますが、この第1楽章はそれでもいいのかもしれません。圧倒的な歌唱で魅了してくれました。
第2楽章に入ると、魅力的なメゾソプラノのドロティア・ラングの歌唱と東響のアンサンブルがバランスよく響き合い、何とも抒情的な世界を開示してくれます。無論、ジョナサン・ノットの見事な指揮には敬服するばかりです。
第3楽章はテノール・ソロが第1楽章と打って変わって、東響とのバランスのよい歌唱を聴かせてくれます。もちろん、ここぞというときには張りのある美声を聴かせてくれます。東響のアンサンブルは素晴らしさの限りを尽くしてくれます。
第4楽章では、メゾソプラノのドロティア・ラングの歌唱がさらに抒情味をまし、魅了しつくしてくれます。そんなに美声でもなく、声量もそこそこですが、何と言っても歌の歌いまわしが抜群にうまく、弱音の使い方が素晴らしく、saraiは耳をそばだてて聴き入るという風情です。
第5楽章は明るい曲調でテノール・ソロと東響が美しい音楽を奏でます。
そして、いよいよ、第6楽章の「告別」です。東響の美しい演奏にメゾソプラノのドロティア・ラングがこれ以上なく、沈んだ声で抒情にあふれた歌を合わせてきます。全体を支配するのはジョナサン・ノットです。徐々にsaraiの魂も張り裂けそうになってきます。途中、歌が止み、オーケストラだけの見事な合奏が長い間続きます。東響のアンサンブルは最高に輝きます。抑制の美、耽美的な演奏に強い感銘を覚えます。やがて、再び、ドロティア・ラングがさらに魂のこもった歌を歌い出します。そして、最後のフレーズ、「この愛しい大地は春になれば、いたるところで花が咲き、新たな緑色に染まっていく。いたるところで永遠に、彼方から青い光がさしてくる。」の本当に美しいこと! これこそ音楽の極致です。もう、saraiはたまらず嗚咽するばかりです。
そして、最後に「エーヴィッヒewig、エーヴィッヒewig」と繰り返し歌いながら、永遠の静寂に消えていきます。
何と言う美しさ! 人生も別れも、そして、死さえも美しさに満ちています。
この「エーヴィッヒewig、エーヴィッヒewig」の楽節はそのまま、次の交響曲第9番に引き継がれていきます。昨日、一昨日にたっぷり聴いた音楽です。

3日間、マーラーの音楽を聴き続けたのは、saraiにとって、最高の幸福でした。人生にこれ以上のものがあるでしょうか。

あっ、前半のプログラムにも触れておかないといけませんね。

1曲目は武満徹の《鳥は星形の庭に降りる》。現代音楽を得意とするジョナサン・ノットが指揮すると、これまで聴いてきた武満ワールドが一変します。完璧にスコアを読み込み、実に明快な音楽になりました。これがノットの武満なのですね。いつもはドビュッシー的な色合いがあった音響も武満の個性的な音響になって、耳にはいってきます。
2014年のノットの音楽監督就任コンサートでも、マーラーの交響曲第9番に先立って、武満徹のセレモニアルが演奏されたそうです。マーラーの最後期の作品には武満徹が似合う?

2曲目はベルクの演奏会用アリア「ぶどう酒」。ソプラノの髙橋絵理が無調的な歌を見事に歌ってくれました。オペラ《ルル》を書いていた晩年の作品です。《ルル》を少しソフトにしたような雰囲気です。ジョナサン・ノット指揮の東響の響きも素晴らしいものでした。

やっとコロナの後遺症も癒えて、健康にコンサートが聴けました。あるいは、コンサートを聴いて、コロナの後遺症が癒えたのか・・・音楽を聴くことの喜びに浸っています。


今日のプログラムは以下のとおりでした。

  指揮:ジョナサン・ノット
  ソプラノ:髙橋絵理
  メゾソプラノ:ドロティア・ラング
  テノール:ベンヤミン・ブルンス
  管弦楽:東京交響楽団 コンサートマスター:グレブ・ニキティン(ダブルコンマス:小林壱成)
  

  武満徹:鳥は星形の庭に降りる
  ベルク:演奏会用アリア「ぶどう酒」

  《休憩》
  
  マーラー:大地の歌


最後に予習について、まとめておきます。

1曲目の武満徹の《鳥は星形の庭に降りる》を予習したCDは以下です。

 マリン・オールソップ指揮ボーンマス交響楽団  2005年1月;イギリス、プーレ、ライトハウス・コンサートホール セッション録音
 
見事な演奏。幽玄な雰囲気を湛えています。


2曲目のベルクの演奏会用アリア「ぶどう酒」を予習したCDは以下です。

 アンネ・ゾフィー・フォン・オッター、クラウディオ・アバド指揮ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 1993年10月 ウィーン、ムジークフェラインザール セッション録音

フォン・オッターの歌唱がともかく素晴らしい。


3曲目のマーラーの大地の歌を予習したCDは以下です。

 フリッツ・ヴンダーリッヒ、クリスタ・ルートヴィッヒ、オットー・クレンぺラー指揮フィルハーモニア管弦楽団、ニュー・フィルハーモニア管弦楽団 1964年2月 キングズウェイ ホール,1964年11月,1966年7月 アビー ロード第1スタジオ (以上ロンドン)  セッション録音
 
クリスタ・ルートヴィッヒの美し過ぎる歌唱に感銘を受けました。それを支えるマーラーの弟子であるオットー・クレンぺラーの指揮の素っ気なさの何と自然なこと化、素晴らしいです。希代のテノール、ヴンダーリッヒはこの録音の2ヶ月ほど後に急死しました。



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       ジョナサン・ノット,  

ヒラリー・ハーン、清冽で怜悧なブラームスのヴァイオリン・ソナタ全曲 良くも悪くもヒラリー@東京オペラシティ コンサートホール 2024.5.16

ヒラリー・ハーンは久しぶりの昨年の来日ではベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ(第9番と第10番)、そして、今回はブラームスのヴァイオリン・ソナタ全3曲。ヒラリー・ハーンはドイツ系アメリカ人ですから、いよいよ、ドイツ・オーストリア音楽に回帰するんですね。となれば、次回はシューマンのヴァイオリン・ソナタか、シューベルトしかありませんね。

第1番《雨の歌》。聴き慣れたメロディーがヒラリー・ハーンのヴァイオリンから、飛びっきりの美しい音で流れてきます。いつものように体をゆったりとゆすりながら、ヴァイオリンを弾いています。そっと優しい響きですが、アンドレアス・ヘフリガーの大音量のピアノの音を突き抜けて、響いてきます。こんなクールな演奏かと思っていたら、音楽が高潮するところでは、ヒラリー・ハーンのヴァイオリンもヒートアップします。情熱的な演奏というよりもアーティキュレーションが完璧なのですね。
今日のヒラリー・ハーンのブラームスを一言で評すると、《怜悧》ということに尽きます。それは良くも悪くもなのです。長年のヒラリー・ハーンのファンとしては、そろそろ、一皮むけて欲しいところですね。若い頃からのスタイルを通し続けています。《怜悧》の良い面は完璧な演奏、完璧な響きだということです。いまだに彼女はクレモナの楽器を使っていないんでしょうか。まるでストラディバリウスのような素晴らしい響きです。ただ、ちょっと温かみが欲しい感じはありますが、それでは、ヒラリーではなくなりますね。《怜悧》の悪い面は魂の熱い息吹が感じられないことです。上に書いたように音楽の起伏は情熱ではなく、アーティキュレーションとしてのみの表現に思えます。これがブラームスでなく、バッハの無伴奏ならば、そのメカニックな感じが魂に響いてきますが、ブラームスは心の底から、ロマンを味わわせて欲しいところです。
実に素晴らしい響きの音楽性の高いブラームスを聴いて、ヒラリーのファンとしては満足しました。でも、以前聴いた庄司紗矢香の第1番《雨の歌》が懐かしく思い出されます。あれは魂の音楽で、素晴らしくロマンに満ちた熱演でした。まあ、ピアノもプレスラーという名人だったので、とても高いレベルのデュオでした。

https://sarai2551.blog.fc2.com/blog-entry-106.html

後半の第3番がとても美しい演奏でうっとり聴いていました。完璧な演奏です。ただ、やはり、全体を通して、《怜悧》・・・

素晴らしいアンコールでアメリカ人作曲家のウィリアム·グラント·スティルの「母と子」。これは《怜悧》でなく、温かみのある演奏でした。
アンコールでは、「F-A-Eソナタ」のなかのブラームスによるスケルツォ楽章も期待しましたが、報われませんでした。拍手が足りませんでしたね。

ヒラリー・ハーンは今年の12月にも来日して、パーヴォ・ヤルヴィとベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲をやるようですが、saraiがチケットの先行販売に気付いたときは既によい席は残っていなかったので、パスします。残念なような、ほっとしたような感じです。何故でしょう。


今日のプログラムは以下です。

  ヴァイオリン:ヒラリー・ハーン
  ピアノ:アンドレアス・ヘフリガー

  《ブラームス:ヴァイオリン・ソナタ全曲》
  
  ヴァイオリン・ソナタ第1番 ト長調 Op.78《雨の歌》
  ヴァイオリン・ソナタ第2番 イ長調 Op.100

   《休憩》

  ヴァイオリン・ソナタ第3番 ニ短調 Op.108

   《アンコール》

     ウィリアム·グラント·スティル:「母と子」Mother and Child


最後に今回の予習について、まとめておきます。

1曲目のヴァイオリン・ソナタ第1番 《雨の歌》は以下のCDを聴きました。

  庄司紗矢香、メナヘム・プレスラー 2014年4月10日、 4月12日 東京、サントリーホール 神奈川県、鎌倉芸術館 ライヴ録音
  
  庄司紗矢香と伝説のボザール・トリオのピアノ、高齢のメナヘム・プレスラーのデュオ。この公演はsaraiも聴いていました。素晴らしい演奏です。実に惹き付けられる演奏です。
  
  
2曲目のヴァイオリン・ソナタ第2番は以下のCDを聴きました。

  ヨゼフ・シゲティ、ミエチスラフ・ホルショフスキー 1961年 セッション録音

  シゲティはもっとかすれた音色だと思っていましたが、大変な美音です。素晴らしい演奏です。


3曲目のヴァイオリン・ソナタ第3番は以下のCDを聴きました。

  ヨゼフ・シゲティ、ミエチスラフ・ホルショフスキー 1956年 セッション録音

  上記の第2番とは録音時期が異なりますが、感想は同じです。シゲティの師匠は第3番の初演を行ったフーバイですから、これこそ、本流の演奏ですね。



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       ヒラリー・ハーン,  

ジョナサン・ノット&東響の最高のフランスの響き@東京オペラシティコンサートホール 2024.5.17

ジョナサン・ノットが実にたくらみに満ちたプログラム構成の楽曲を東響から素晴らしい響き、それはフランス的と言ってもいいのかも知れませんが爽やかで華麗な響きを引き出して、素晴らしいコンサートに仕立て上げてくれました。

まずはプログラム構成を見ていきましょう。簡単に分かるのは二人のヴィオラ奏者を起用して、ベルリオーズと日本の若い作曲家のヴィオラ独奏付きの作品を中心にしたこと。ヴィオラつながりです。
次はベルリオーズとイベールというフランス音楽を中心にしたこと。ジョナサン・ノットはフランスのアンサンブル・アンテルコンタンポラン音楽監督をしていたためか、フランス音楽に並々ならぬ意欲を持ち、いつも素晴らしい演奏を聴かせてくれます。
と、ここではたと気が付きます。ベルリオーズとイベールはともにローマ賞を獲得し、ローマ賞を獲得した作曲家ではドビュッシーと並ぶ大成した作曲家です。ローマ賞はフランス人の30歳以下の独身者に若手の登竜門として与えられるもので、第1位を獲得するとローマのヴィラ・メディチに数年、留学できます。1968年まで続きました。で、ここで驚いたのは日本人の酒井健治もローマ賞相当のヴィラ・メディチ留学資格を得ていたことです。実は1971年以降はフランス文化省が平等精神から、ローマ賞基準をゆるめて、広くヴィラ・メディチ留学資格を与えているようです(簡単にこの関門をクリアーできませんが、1968年以前のような厳しい作曲コンクールはないようです)。ということで、今日はローマ賞トリオのコンサートです。
ところでジョナサン・ノットと酒井健治のつながりは2011年にノットが酒井の作品の世界初演を果たしており、ノットにとって、日本人作曲家として、今月演奏した武満徹と今日の酒井健治は瞠目すべき存在であったということです。
ほかにも今日のプログラム構成に隠されたたくらみがあるのかもしれません。
そうそう、イベールの交響組曲「寄港地」は今年が初演後100年の記念の年なんですね。ちなみにベルリオーズの交響曲「イタリアのハロルド」は初演後190年、酒井健治のヴィオラ協奏曲「ヒストリア」は初演後5年。時の流れの先に生き残る作品はどれでしょう。

前半はベルリオーズの交響曲「イタリアのハロルド」。通常はメイン曲目として、最後に演奏すべきところですが、ノットのこだわりで最初に演奏します。実はこの曲はsaraiは初聴きです。有名なのにね。いつもベルリオーズと言えば、幻想交響曲ばかりですものね。演奏は東響の響きも素晴らしく、青木篤子のヴィオラ・ソロも見事。無論、ジョナサン・ノットの指揮も最高。劇的展開も幻想交響曲を思い起こします。でも、この曲がそんなに取り上げられず、いつも幻想交響曲ばかりというのも分かったような気がします。音楽的にはもうひとつの感じ。やはり、大傑作の幻想交響曲には及びませんね。saraiの聴き込み不足もありますが、幻想交響曲は子供の頃に最初聴いた時から感じるものがありました。

後半、最初は酒井健治のヴィオラ協奏曲「ヒストリア」。これは予想外に素晴らしかった! すべてはヴィオラ独奏のサオ・スレーズ・ラリヴィエールの気概に満ちた演奏にありました。若い人はこういうチャレンジャブルな演奏をしないといけないという見本のようなものです。ノット指揮の東響もしっかりと支えました。曲自体は現代音楽とはいえ、難解なものではありません。だからといって、大衆におもねるような音楽ではなく、これからの現代音楽の方向性を示すかもしれないという秀作です。作曲の分野でも、こういう才能のある若手作曲家が日本で輩出されるのは嬉しいですね。いつも最近の日本人作曲家の考えることは分からないと愚痴っているsaraiに一目置かせるような存在の出現です。何となく、ジョン・アダムズを想起してしまいました。
サオ・スレーズ・ラリヴィエールのアンコールのヒンデミットは素晴らしかったです。このヒンデミットと酒井健治のヴィオラ協奏曲「ヒストリア」は曲想が似ているのは、何故に? ヒンデミットをオマージュした作品だったのかな・・・

最後はイベールの交響組曲「寄港地」。これは最高に素晴らしい演奏でした。その色彩感はきらきらしていて、まさに地中海風景をイメージします。ジョナサン・ノットと東響はこういう演奏のレベルまで達したのですね。ノットの指揮に東響は余裕で反応していました。フルートの竹山愛、オーボエの最上峰行は素晴らしいソロを聴かせてくれました。無論、弦楽アンサンブルは最強でした。


聴く前は今日のコンサートはちょっとねーと思っていましたが、ジョナサン・ノットの素晴らしさを思い知らされました。


今日のプログラムは以下のとおりです。

  指揮:ジョナサン・ノット
  ヴィオラ:青木篤子(東響首席) *ベルリオーズ
  ヴィオラ:サオ・スレーズ・ラリヴィエール *酒井健治
  管弦楽:東京交響楽団 コンサートマスター:小林壱成

  ベルリオーズ:交響曲「イタリアのハロルド」op.16

   《休憩》
   
  酒井健治:ヴィオラ協奏曲「ヒストリア」
   《アンコール》ヒンデミット:無伴奏ヴィオラ・ソナタ Op.25-1 より 第4楽章
    
  イベール:交響組曲「寄港地」

最後に予習について、まとめておきます。

1曲目のベルリオーズの交響曲「イタリアのハロルド」を予習した演奏は以下です。

   タベア・ツィンマーマン、フランソワ=グザヴィエ・ロト指揮レ・シエクル  2018年3月2/3日 フィルハーモニー・ド・パリ ライヴ録音?
   
役者が揃った演奏は満足するしかない。


2曲目の酒井健治のヴィオラ協奏曲「ヒストリア」は予習すべきコンテンツが見つからず、予習なし。


3曲目のイベールの交響組曲「寄港地」を予習した演奏は以下です。


   シャルル・デュトワ指揮モントリオール交響楽団 1992年5月、モントリオール、聖ユスターシュ教会 セッション録音 
   
デュトワの手堅い演奏です。しかし、今日のノットの演奏を聴いてしまうとあまりにも物足りないものに思えます。



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       ジョナサン・ノット,  

J. S. バッハ、ライプツィヒ時代1724年のコラールカンタータ 300年記念コンサートシリーズ開幕! 鈴木雅明指揮バッハ・コレギウム・ジャパン@東京オペラシティコンサートホール 2024.5.18

鈴木雅明指揮のバッハ・コレギウム・ジャパン(BCJ)がJ. S. バッハ、ライプツィヒ時代1724年のコラールカンタータ全40曲に挑みます。今回は第1回目でバッハが1724年5月から作曲した最初の4曲を演奏します。
コラールカンタータというのは、コラール(ルター派の讃美歌)をもとに第1曲の合唱では、コラールの第1節、第2曲以降はコラールの各節をもとにしたアルト、テノール、バスのソロのレシタティーボ、アリア。そして、最終曲は四声のコラールの最終節という比較的、簡素な構成の教会カンタータです。バッハは1724年5月から1725年3月にかけて、ほぼ毎週、ミサのために作曲し、その曲数は40曲に及びます。BCJは300年記念でこの全40曲をこれから演奏するという大プロジェクトです。

コラールカンタータは普通、教会で会衆が斉唱するコラールをもとにしているために、どんなコラールかを把握していると聴きやすいです。今日は各コラールカンタータの冒頭でコラールを斉唱してくれます。とても親切な試みですね。CDでもそうしてほしいくらいです。因みにルター派のコラールはとても単純な曲で会衆が歌いやすいものです。saraiがライプツィヒの聖トーマス教会の日曜ミサに参加した際も、楽譜付きのコラールのパンフレットを渡され、知らないコラールをまわりの皆さんと気持ちよく歌うことができたというかけがいのない思い出があります。


前半の2曲、カンタータ第20番《おお、永遠、汝、雷の言葉よ》BWV 20とカンタータ第2番《ああ神よ、天よりご覧ください》BWV 2は耳馴染みがなく、集中して聴くのは正直、大変ですが、BCJの演奏は流石と言わざるを得ません。

後半のカンタータ第7番《キリスト我らが主ヨルダン川に来たりたもう》BWV 7は聴き応えがありました。第1曲のコラール合唱は定旋律(コラールの旋律)がテノール合唱に置かれていますが、ずい分引き延ばされているので、なかなか、コラールの旋律を聴きとることは困難です。ヴァイオリンのデュオが若松夏美と高田あずみによって奏されて、とても魅力的です。このデュオはヴィオリーノ・コンチェルタートと呼ばれるそうです。第4曲のテノールのアリアは再び、若松夏美と高田あずみによるデュオが聴けて魅力的です。第7曲はオーボエダモーレと弦楽を伴うアルトのアリア。美しい演奏です。最後は4声体コラール。BCJのコラールは絶品です。

最後のカンタータ第135番《ああ主よ、この憐れな罪びとを》BWV 135。何と言っても今日はこれが聴きもの。何故って、最後の4声体コラールは《マタイ受難曲》の第54曲の受難のコラールと同じ音楽です。思わず受難の物語を思い浮かべてしまいます。できれば、マタイ受難曲の第54曲と同様に2節、繰り返して歌って欲しかったんですが、それではコラールカンタータから逸脱してしまいますね。その代わり、受難コラールを斉唱で聴かせてもらいました。楽譜を入手して、自分でも口ずさんでみようかな。
この最後の受難コラール(歌詞は違いますが、曲は同じ)に癒されながらコンサートを終えて、充実した思いになりました。


今日のプログラムは以下です。

   教会カンタータ・シリーズ vol. 85
    コラールカンタータ300年プロジェクトⅠ(第1回/全10回)

  指揮:鈴木雅明
  アルト:青木洋也(急病のテリー・ウェイの代役)
  テノール:櫻田 亮
  バス:ドミニク・ヴェルナー
  オルガン独奏:大塚直哉

  合唱:バッハ・コレギウム・ジャパン
  管弦楽:バッハ・コレギウム・ジャパン コンサートマスター:若松夏美
   ヴァイオリンⅡ:高田あずみ
   ヴィオラ:成田寛
   チェロ:島根朋史
   ヴィオローネ:今野京
   チェンバロ:流尾真衣
   オルガン:大塚直哉
   フラウト・トラヴェルソ:菅きよみ、前田りり子  
   オーボエ、オーボエ・ダモーレ:三宮正満、荒井豪
   トランペット:斎藤秀範


  J. S. バッハ:

  来ませ、聖霊、主なる神 BWV 651 オルガン独奏
  心より われ こがれ望むBWV 727 オルガン独奏

  カンタータ第20番《おお、永遠、汝、雷の言葉よ》BWV 20
  カンタータ第2番《ああ神よ、天よりご覧ください》BWV 2

 《休憩》
 
  カンタータ第7番《キリスト我らが主ヨルダン川に来たりたもう》BWV 7
  カンタータ第135番《ああ主よ、この憐れな罪びとを》BWV 135


最後に予習について、まとめておきます。

以下の演奏を聴きました。

 バッハ・コレギウム・ジャパン J.S.バッハ『教会カンタータ全集』から
 
 Disc22
  ライプツィヒ時代1724年のカンタータ⑥
   第20番『おお、永遠、汝、雷の言葉よ』BWV20 
   第7番『キリスト我らが主ヨルダン川に来たりたもう』BWV7 
   第94番『私はこの世に何を求めよう』BWV94
   野々下由香里(S) ロビン・ブレイズ(C-T) ヤン・コボウ(T) ペーター・コーイ(Bs) 
   録音:2002年4月
   
 Disc29
  ライプツィヒ時代1724年のカンタータ⑬
   第135番『ああ主よ、この憐れな罪びとを』BWV135
   第2番『ああ神よ、天よりご覧ください』BWV2 
   第3番『ああ神よ、何と多くの心の痛みが』BWV3 
   第38番『深き悩みの淵から、私はあなたを呼びます』BWV38
   ドロテー・ミールズ(S) パスカル・ベルタン(C-T) ゲルト・テュルク(T) ペーター・コーイ(Bs) コンチェルト・パラティーノ 
   2004年6月 神戸松蔭女子学院大学チャペル セッション録音

バッハのカンタータの決定盤です。



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       バッハ・コレギウム・ジャパン,  

マヌエラ・レオンハルツベルガーは名曲で魅了 素晴らしい美声でうっとり@上大岡 ひまわりの郷 2024.5.19

名前すら聞いたことのないメゾソプラノ歌手のマヌエラ・レオンハルツベルガー。それほどの期待もせずに聴いたら、美声でうっとりする素晴らしい歌唱で魅了してくれました。それになかなかの美貌。オペラ・オペレッタでは映えるでしょうね。

前半は本格的なリート。きっちりした歌唱を聴かせてくれました。どの曲も実にドラマティック。1曲1曲、顔の表情を変えて、まるで舞台俳優みたいです。やはり、シューベルトの歌曲が飛び抜けて素晴らしい歌唱でした。ドヴォルザークは短くして、モーツァルトの歌曲を歌うともっとよかったかもしれません。声の質がとても温かいからです。

彼女が本領を発揮したのは後半です。オペラ・オペレッタの名曲はふわりとした声質で、楽しく感じさせてくれる歌唱で聴衆を魅了してくれました。
まず、オペレッタ「こうもり」のオルロフスキー公のクープレが軽く演技もしながら、見事な歌唱でびっくりさせてくれました。
次はオペラ「フィガロの結婚」のケルビーノの有名なアリアを素晴らしくピュアーな声の響きで聴かせてくれました。ファルセットで歌うときの声の美しさに感じ入りました。
次は楽劇「ばらの騎士」のオクタヴィアンのモノローグ。第1幕冒頭の歌でしょうか。ここだけ取り出されてもあまりよく分かりません。多分、マルシャリン(元帥夫人)の素晴らしさを恋心で歌うところでしょうね。美しい歌声でした。
次はオペラ「カルメン」のカルメンのボヘミアン・シャンソン(ジプシーの歌)です。これは次第に高揚する歌唱が素晴らしかったです。
色んな役柄を一気に歌いのけるのはたいしたものです。それぞれのオペラ・オペレッタの雰囲気が見事に表出されていました。それに何と言っても聴衆を楽しませるエンターテインメント性が素晴らしいです。

最後はヴィーナーリート。ロベルト・シュトルツの作曲したものを中心にウィーンで魅了してくれます。こんなものを歌われるとウィーンへの思慕がつのるばかりです。やめてください! もう、ウィーンには行かないのだから・・・

そして、アンコールの最後であの名曲「ウィーン、わが夢の街」でダメ押し。ウィーンのホイリゲでこの歌を歌ってもらった思い出が蘇ります。

https://sarai2551.blog.fc2.com/blog-entry-3678.html

呆然としながら、コンサート会場を後にしました。


今日のプログラムは以下です。


 マヌエラ・レオンハルツベルガー メゾソプラノ・リサイタル
  ピアノ: みどり・オルトナー

 リスト:3人のジプシー/マールリンクの鐘/トゥーレの王
 シューベルト:死と乙女 D.531/丘の上の若者 D.702/子守歌 D.498/小人 D.771
 ドヴォルザーク:7つのジプシーの歌 Op.55

   《休憩》

 ヨハン・シュトラウス:オペレッタ「こうもり」~オルロフスキー公のクープレ
             「客をもてなす祖国の習慣」
 モーツァルト:オペラ「フィガロの結婚」~ケルビーノのアリア「恋とはどんなものかしら」
 リヒャルト・シュトラウス:楽劇「ばらの騎士」~オクタヴィアンのモノローグ
               「あなたは何とも素晴らしい」
 ビゼー:オペラ「カルメン」~カルメンのボヘミアン・シャンソン(ジプシーの歌)
          「シストラムの鐘が鳴る」
 ロベルト・シュトルツ:プラーター公園は花盛り/グラス一杯のシャンパンで十分
 ヨハン・シュトラウス:ジーヴェリンクの戸外はもう花が咲く
 ロベルト・シュトルツ:お前のヴァイオリンで弾いておくれ
    
   《アンコール》
     シューベルト:音楽に寄せて D.547
     コルンゴルト:あなたにしあわせを
     ジーツィンスキー:ウィーン、わが夢の街
     

最後に予習について、まとめておきます。

曲目が多く、なおかつ、当日変更も多かったので、予習として聴けたものだけを列挙します。女声、メゾソプラノを中心にセレクトしました。

 リスト:3人のジプシー
  アンゲリカ・キルヒシュラーガー 、 ジュリアス・ドレイク 2011年10月11日-13日、ポットン・ホール(サフォーク)
 シューベルト:死と乙女 D.531
  ルネ・フレミング 、 クリストフ・エッシェンバッハ 1996年6月2-6日 タングルウッド、セイジ・オザワ・ホール
 シューベルト:子守歌 D.498
  エリー・アメリング、ダルトン・ボールドウィン 1973年8月21,22日、アムステルダム、コンセルトヘボウ
 シューベルト:小人 D.771
  アンナ・ルチア・リヒター、ゲロルト・フーバー 2018年5月1日 オランダ、ヒルフェルムス、MCOスタジオ1
 ドヴォルザーク:7つのジプシーの歌 Op.55
  ベルナルダ・フィンク、 ロジャー・ヴィニョールズ 2003年5月
 ヨハン・シュトラウス:オペレッタ「こうもり」~オルロフスキー公のクープレ
             「客をもてなす祖国の習慣」
  ガブリエル・ハイデルベルガー 2013年
 モーツァルト:オペラ「フィガロの結婚」~ケルビーノのアリア「恋とはどんなものかしら」
  エリーナ・ガランチャ、アレクサンドルス・ヴィルマニス、ラトビア国立交響楽団 2000年9月、2001年8月 The Riga Recording Studio, ラトビア
 ロベルト・シュトルツ:プラーター公園は花盛り
  メラニー・ホリデイ、アントニー・シピリ 1987年5月/スタジオ・バウムガルテン(ウィーン)
 シューベルト:音楽に寄せて D.547
  エリー・アメリング、ダルトン・ボールドウィン 1982年7月 ロンドン、英国
 ルドルフ・ジーツィンスキー:ウィーン、わが夢の街
  メラニー・ホリデイ、アントニー・シピリ 1987年5月/スタジオ・バウムガルテン(ウィーン)
  
世界の素晴らしい女声陣の歌声にうっとりとなりました。メゾソプラノだけでは揃わないので、結構、ソプラノになってしまいました。しかし、キルヒシュラーガー、フィンク、ガランチャという素晴らしいメゾソプラノの歌唱は格別でした。
なお、アンコール曲2曲も予習しておきました。「ウィーン、わが夢の街」は好きな歌なので、予習のつもりでなく、聴いたら、何とアンコール曲で歌ってくれたので、何とも嬉しいことです。
  


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首都圏の様々なジャンルのクラシックコンサート、オペラの感動をレポートします。在京オケ・海外オケ、室内楽、ピアノ、古楽、声楽、オペラ。バロックから現代まで、幅広く、深く、クラシック音楽の真髄を堪能します。
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最後までレビューありがとうございます。最後は時間の都合がつかず視聴できず、非常に残念でした。

アンコールも含め好評のレビューを見てますます残念ですが、お陰様でど

04/02 12:33 

michelangeloさん

saraiです。大変、ご無沙汰しています。
このたびは過分なご評価いただき、恐縮しています。

よいコンサート、オペラを聴くと、興奮して、記事を書き過

03/31 01:42 sarai

sarai様

こんばんは。

3月に8回も《トリスタンとイゾルデ》公演が開催される東京は音楽都市です。再び御感想を拝読し、改めて感じるのはsarai様のクラシック音楽オペラ公

03/29 21:28 michelangelo

《あ》さん、saraiです。

結局、最後まで、ご一緒にブッフビンダーのベートーヴェンのソナタ全曲をお付き合い願ったようですね。
こうしてみると、やはり、ベートーヴェン

03/22 04:27 sarai

昨日は祝日でゆっくりオンライン視聴できました。

全盛期から技術的衰えはあると思いましたが、彼のベートーヴェンは何故こう素晴らしいのか…高齢のピアニストとは思えな

03/21 08:03 

《あ》さん、再度のコメント、ありがとうございます。

ブッフビンダーの音色、特に中音域から高音域にかけての音色は会場でもでも一際、印象的です。さすがに爪が当たる音

03/21 00:27 sarai

ブッフビンダーの音色は本当に美しいですね。このライブストリーミングは爪が鍵盤に当たる音まで捉えていて驚きました。会場ではどうでしょうか?

実は初めて聴いたのはブ

03/19 08:00 
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