超名演に感動!マーラー交響曲第9番:インバル&東京都交響楽団@サントリーホール 2014.3.17
また、このコンサートはインバルが東京都交響楽団のプリンシパル・コンダクターとして2008年以来指揮してきたラスト・コンサートでもありました。この二重の意味でのラスト・コンサートというと、故ガリー・ベルティーニのラスト・コンサートも想起され、深い感慨を覚えずにはいられませんでした。
昨日のみなとみらいホールでの不満を完全に払拭する素晴らしい演奏への強い感動、そして、数々の名演を聴かせてくれたインバルへの感謝の念がないまぜになって、終演後は最初は静かな拍手(消え入るようなアダージョの後に大きな拍手はとてもできません。胸の中の深い感動を大事にしまっておきたいですからね。)、そして、3回にわたるコンダクター・アンコールには感謝の気持ちを込めた盛大な拍手を送りました。
インバル&東京都交響楽団を聴き始めたのは実はそんなに昔のことではありません。最初に聴いたのはマーラーの交響曲第2番《復活》でした。約4年前の2010年6月20日、インバルがプリンシパル・コンダクターに就任して2年ほどの頃です。その前日はsaraiは長年勤めてきた会社をリタイアした日。まさにこの《復活》がsaraiのリタイアライフの出発の日、新たな人生の復活の日でもありました。以来、マーラーの数々の名演、そして、ブルックナー、ショスタコーヴィチ、ブラームスなどの名演に酔いしれてきました。これまでのなかで素晴らしかった思い出の名演は以下です。
マーラー:交響曲第2番《復活》 2010年6月19日
マーラー:《大地の歌》 2012年3月29日
マーラー:交響曲第3番 2012年10月27日
マーラー:交響曲第4番 2012年11月4日
マーラー:交響曲第5番、リュッケルトの5つの歌: 2013年1月22日
マーラー:交響曲第8番 2014年3月9日
マーラー:交響曲第9番 2014年3月17日(今日のコンサート)
やはり、すべて、マーラーになってしまいました。《復活》と《大地の歌》以外は今回のマーラー・ツィクルスです。
前回のベルティーニ&東京都交響楽団のマーラー・ツィクルスを上回る充実の演奏でした。
さて、今回のマーラーの交響曲第9番のコンサートに向けて、以下の7枚のCDで予習しました。これまでも十分にCDを聴いてきましたので、聴き洩らしていた名演を中心に聴いてみました。ですから、バーンスタインやバルビローリ、クーベリックなどの超名盤はあえて聴きませんでした。
ヴァーツラフ・ノイマン チェコ・フィル 1995年
クラウディオ・アバド ウィーン・フィル 1987年
ロリン・マゼール ウィーン・フィル 1984年
ベルナルド・ハイティンク アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団 1969年
ベルナルド・ハイティンク アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団 1987年 DVD(クリスマス・マチネー)
ベルナルド・ハイティンク ECユース管弦楽団 1993年
マイケル・ティルソン・トーマス サンフランシスコ交響楽団 2004年
ノイマンは彼の亡くなる直前の最後の録音となりました。このCDも感動の演奏です。今年亡くなったアバドは最新のルツェルン祝祭管弦楽団とのCDよりもこのウィーン・フィルとの演奏のほうが素晴らしい出来に思えます。ハイティンクは今では想像もできない熱い演奏です。特に合奏力で劣ると思われるECユース管弦楽団とのCDに感銘を受けました。1987年のクリスマスの演奏にも感動、これは翌年、アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団の音楽監督を辞する直前の演奏です。最後にマイケル・ティルソン・トーマスの演奏を始めて聴きましたが、評判通り、繊細で美しいアダージョに強い感銘を受けました。実演を聴いてみたいですね。
まずは今日のプログラムです。
指揮:エリアフ・インバル
管弦楽:東京都交響楽団
マーラー:交響曲第9番ニ長調
今日は昨日のみなとみらいホールでの演奏と異なり、第1楽章の深いため息のような弦楽合奏の響きが胸に沁み入ってきます。今日は特に弦楽セクションの内声部、第2ヴァイオリンとヴィオラが素晴らしい響きです。弦楽セクションの分離のよい響きとそれらの統一感が素晴らしいです。いきなり、強い感動を覚えました。長大な第1楽章は息もつけない素晴らしい響き、それも内省的な表現が胸に響いてきます。第2楽章のレントラーものんびりした雰囲気で始まるものの、すぐに内省的な音楽に心を打たれます。一度退場したインバルが再登場した後の第3楽章はとても突っ込んだ演奏でした。この第3楽章のブルレスケはマーラーの胸の中に吹き荒れる激情が凄まじい音楽です。生きているということはこんなに熱い思いを持ち続けることなのでしょうか。演奏崩壊ぎりぎりとも思える凄まじい演奏でしたが、都響のアンサンブルは見事に持ちこたえました。そして、saraiが西洋音楽の最高峰とも思っている第4楽章のアダージョ。もう感想は書けません。真っ白になって聴き入るのみの美の極致でした。
フルートソロの寺本義明、ヴィオラソロの鈴木学の演奏は最高。これなしにはマーラーは成り立たないでしょう。
これでマーラー・ツィクルスはおしまいです。一抹の寂しさはありますが、満足感もあります。インバルのマーラーはまだ交響曲第10番(クック版)が残っています。インバルはクック版の第10番のスペシャリストと世界的な評価も高く、まだ、楽しみはあります。その後はまた、インバルのマーラーを聴く機会はいつ巡ってくるでしょう。今年で78歳になるインバルですが、80歳を越えた老境でのマーラーを是非聴いてみたいものです。
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