高木綾子&菊池洋子フルート・リサイタル@紀尾井ホール 2014.2.9
昨日の大雪で心配しましたが、まだ雪が残っているものの紀尾井ホールへはノートラブルで到着。聴衆の入りは8割くらいです。この手のリサイタルでは上々の入りですね
まず、今日のプログラムを紹介しておきます。
フルート:高木綾子
ピアノ:菊池洋子
モーツァルト:ソナタ ホ短調 K.304
(原曲/ヴァイオリン・ソナタ第28番ホ短調 K.304)
池辺晋一郎:フルートは眠り、そして夢見る
モーツァルト:ソナタ ニ長調 K.306
(原曲/ヴァイオリン・ソナタ第30番ニ長調 K.306)
《休憩》
細川俊夫: 息の歌~バス・フルートのための
湯浅譲二:舞働Ⅱ
舞/麻生花帆
モーツァルト:ソナタ イ長調 K.526
(原曲/ヴァイオリン・ソナタ第42番イ長調 K.526)
《アンコール》
モーツァルト:メヌエット ニ長調 K.64
最初はモーツァルトのK.304のソナタです。メロディの美しい曲でsaraiの好きなヴァイオリン・ソナタの一つ。第1楽章はフルートの高木綾子とピアノの菊池洋子の息がぴったり合って始まります。ただ、この曲は両者の音が揃い過ぎて、お互いの響きがそがれる感じです。フルートの響きはやはり、ヴァイオリンの多彩な響きには届かない感じだし、ピアノの響きは少し抑えた感じです。若干、物足りない感じで第2楽章にはいっていきます。ピアノの独奏で始まりますが、これは美しい響きで哀感が漂います。続いて、フルートの響き・・・これも美しい響きです。美しい響きが続き、うっとりと聴き入ります。格調高い演奏ですが、その中で逸脱しない範囲での自己表現もあります。なかなかよいモーツァルトを聴かせてもらいました。
次はフルート独奏の池辺晋一郎の《フルートは眠り、そして夢見る》です。初めて聴く曲です。雰囲気とすれば、ドビュッシーのシランクスを想起する曲です。色々な表現を用いた夢想的な曲を高木綾子が美しく演奏。気持ちよく聴けました。
前半最後はモーツァルトのK.306のソナタです。菊池洋子のピアノも高木綾子のフルートもさらに美しさを増した響き。とても素晴らしい演奏で満足しました。ヴァイオリンとはまた違った響きですが、フルートでの演奏も気持ちよく聴けました。
休憩後、細川俊夫の《息の歌》です。高木綾子が大きなバス・フルートを持って登場。気魄のこもった独奏です。今や日本を代表する作曲家の細川俊夫の作品ということで大いに期待していました。予想と違って、抒情性を排した曲に驚きましたが、ある意味、日本的な個性を持った曲です。メロディはほとんどなく、モノトーンを思わせる息の表情を聴くような曲です。尺八の響きにも似た表現です。高木綾子がこんなに気魄に満ちた演奏をするとは意外です。素晴らしい演奏でした。曲の評価は・・・もう少し聴き込まないとおいそれとは言えませんね。
次はアルトフルートの独奏で湯浅譲二の舞働Ⅱです。元々は能管で演奏する曲だそうです。深い響きの演奏です。驚いたことにこの曲には、女性舞踊家の舞が付いています。能面を付けた独特の振付の舞です。途中で能面を取って、素顔を見せてくれます。この舞はともかく、湯浅譲二の曲は興味深い曲でとても面白く聴けました。高木綾子もよく弾きこんだ素晴らしい仕上がりの演奏でした。
最後はモーツァルトのK.526のソナタです。これは素晴らしい演奏でした。こういうフルート・ソナタがあってもよかったと思うほどです。ヴァイオリンとは違った良さが感じられました。それにしても、菊池洋子のモーツァルト演奏はとても自然で素晴らしいものでした。規範とも思える演奏に思えました。大満足です。
アンコールのモーツァルトのメヌエットはとても有名な曲ですが、K.64はモーツァルトが少年のときに作曲し、父レオポルドが書き取った楽譜のみが残っており、レオポルドの作曲ではないかとも言われています。しかし、この曲が有名なのは、K.334のディベルティメント第17番の第3楽章に同じメロディーの曲があるからで、それは間違いなくモーツァルトの作曲です。K.64とK.334は楽器構成が異なります。saraiはK.334のほうでこの曲をよく聴いていました。この有名な曲を高木綾子は見事な響きの演奏で聴かせてくれました。フルートの魅力が爆発という感じの演奏。楽しいアンコール曲でした。
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