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旬の時:庄司紗矢香:チャイコフスキー_ヴァイオリン協奏曲&テミルカーノフ@横浜みなとみらいホール 2014.1.26

音楽の演奏家には3つの最高の時があると感じます。ひとつめは若さにあふれて、何ものも恐れず、勢いに満ちあふれた時。ふたつめは心技体すべてが最高レベルに達した旬の時。そして、最後は様々な欲から解放され、諦念を感じ取った枯れた味わいの時。今の庄司紗矢香はまさに旬の時の真っただ中にいるようです。毎回、どのコンサートでも、最高の演奏を披露してくれます。昨年12月のインバル指揮東京都響とのバルトークのヴァイオリン協奏曲はまさに快演でした。そのときの記事はここここです。これが昨年聴いたラストコンサート。今年のファーストコンサートも庄司紗矢香の演奏です。相変わらず庄司紗矢香の演奏は絶好調。今日演奏したチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲も素晴らしい出来で胸が熱くなる思いでした。
第1楽章、テミルカーノフの指揮棒がわずかに動いたかと思うと、サンクトペテルブルク・フィルのふわっとした空気のような響きが耳にはいってきます。あまりに自然な開始に驚いていると、ぐっとテンションが高まっていき、テンポも勢いも増していきます。そして、庄司紗矢香のヴァイオリンが加わってきます。彼女の演奏はいまや、円熟味があると言っても過言でないような内容です。細かいニュアンスが表現され、実に聴き応えがあります。カデンツァは彼女としては普通の出来でしょうか。もう少し、思い切った切れ込みがあってもよかったかもしれません。この楽章の終盤はスリリングに感じる圧巻の演奏。庄司紗矢香のヴァイオリンの激しい表現、そして、それを駆り立てるようなテミルカーノフとサンクトペテルブルク・フィルの素晴らしい響き。納得の演奏でした。
第2楽章、庄司紗矢香の美しい響きが心に沁みます。緩徐楽章のしみじみとした表現は最近の庄司紗矢香の特徴でもあります。美しい弱音に聴き惚れているうちに、激しいオーケストラの響きに導かれて、そのまま第3楽章に突入。
第3楽章、勢いのある演奏は庄司紗矢香の天分とも言えるものです。オーケストラと丁々発止のかけあいを続けながら、終盤、上り詰めていきます。激しく緊張感のある表現で頂点を極め、感動のフィナーレ。熱い高揚感を味わわせてくれました。
大満足です。以前も同じコンビでこのチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲を聴きましたが、隔世の感のある熟達した演奏です。前回、このコンビでメンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲も聴きました。そのときも書きましたが、早くメンデルスゾーンとチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲をテミルカーノフとサンクトペテルブルク・フィルと一緒にCD化してほしいと強く念願します。あの期待外れだったチョン・ミュンフンとのCDの悪印象を払拭してもらいたいと思うんです。今月、テミルカーノフとサンクトペテルブルク・フィルとのコンビでプロコフィエフのヴァイオリン協奏曲のCDが発売されましたが、一部を試聴したところでは素晴らしい仕上がりになっているようです。続く第2弾が切望されます。DGのご英断を切にお願いします。

ここでとりあえず、今日のプログラムを紹介しておきます。

  ヴァイオリン:庄司紗矢香
  指揮:ユーリ・テミルカーノフ
  管弦楽:サンクトペテルブルク・フィルハーモニー交響楽団

  チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲ニ長調 Op.35
   《アンコール》パガニーニ:「ネル・コル・ピウ(うつろな心)」による変奏曲ト長調op38より

  《休憩》

  ムソルグスキー:組曲「展覧会の絵」(ラヴェル編曲)
   《アンコール》アルベニス:タンゴ

庄司紗矢香はいつも意外性のあるアンコール曲を用意してくれるので、これも楽しみの一つです。今日はパガニーニの超絶技巧っぽい曲。とても楽しめました。

休憩後、ムソルグスキーの組曲「展覧会の絵」です。終盤、グランド・オーケストラの大迫力に感銘を受けました。強烈な音響の中、アンサンブルがぴたっと合っており、やはり、ムラヴィンスキーのレニングラード・フィル以来のDNAが残っていることを感じさせられました。もちろん、切れ味鋭いムラヴィンスキーと土臭さを感じさせるテミルカーノフの違いはあるのですが、オーケストラの優秀さは奥底では引き継がれているのでしょう。

テミルカーノフとサンクトペテルブルク・フィルの演奏については、サントリーホールでのチャイコフスキーの交響曲第4番を聴く予定なので、その記事で詳しくレポートしましす。





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テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

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