saraiの音楽総決算2013:オーケストラ・声楽曲編
今回はオーケストラ・声楽曲編です。なお、今年からはこのジャンルから、協奏曲は別ジャンルに独立させました。
このジャンルは今年も素晴らしいコンサートが多く、特にハイティンク、ティーレマンが指揮したコンサートは素晴らしく、感動、また、感動でした。
ちなみに昨年の結果はここです。
で、今年は以下をベスト10に選びました。
1位 ブルックナー/交響曲第8番:ハイティンク+コンセルトヘボウ管@コンセルトヘボウ 2013.4.5
2位 ベートーヴェン・チクルス2回目:ティーレマン+ウィーン・フィル@サントリーホール 2013.11.10
3位 ブルックナー/交響曲第9番:ハイティンク+ロンドン交響楽団@みなとみらいホール 2013.3.10
4位 《グレの歌》ジェイ・ハンター・モリス、デノケ、藤村実穂子、ナガノ、ウィーン響@ウィーン・コンツェルトハウス 2013.6.22
5位 マーラー/交響曲第2番《復活》フォン・オッター、ラトル+ベルリン・フィル@コンツェルトハウス 2013.6.5
6位 マーラー/交響曲第5番、リュッケルトの5つの歌:インバル+都響+フェルミリオン@サントリーホール 2013.1.22
7位 ブルックナー/交響曲第7番:ラトル+ベルリン・フィル@ウィーン・コンツェルトハウス 2013.6.3
8位 バルトーク《中国の不思議な役人》ヤンソンス+ウィーン・フィル@ウィーン楽友協会 2013.4.24
9位 《幻想交響曲》ソキエフ+ウィーン・フィル@ウィーン楽友協会 2013.6.7
10位 チェコ音楽:フルシャ&東京都交響楽団@東京文化会館 2013.11.19
1位をこのハイティンクにするか、ティーレマンにするか、ずい分、迷いましたが、やはり、ハイティンクのブルックナーは凄かったという思いに駆られました。もう、2度とこんなブルックナーの交響曲第8番は聴けないでしょう。saraiの人生の到達点とも言っていい特別なコンサートでした。その3日後にも同じ内容のコンサートを聴きました。こちらも素晴らしい演奏でした。そのときの記事はここです。
ティーレマン+ウィーン・フィルのベートーヴェン交響曲チクルスはsaraiの人生で最高のベートーヴェン。特に奇数番号の交響曲はどれも素晴らしく、とりわけ、第5番は究極の演奏でした。もちろん、第9番も素晴らしい出来でした。ティーレマン+ウィーン・フィルは最強のコンビです。今回のベートーヴェン交響曲チクルスの1回目、3回目、4回目の記事は以下。
1回目、3回目、4回目
このハイティンクとロンドン交響楽団によるブルックナーの交響曲第9番は感動の度合いで言えば、今年最高だったかもしれません。第1楽章から第3楽章までずっと感動の大波に襲われていました。そういう意味では、これを1位をしてもおかしくありませんが、逆に言うと、それほど、1位のブルックナーの交響曲第8番と2位のティーレマン+ウィーン・フィルのベートーヴェン交響曲チクルスは凄かったということです。いずれにせよ、この1位から3位までは順位付けの意味はさほどありません。なお、このコンサートの3日前のサントリーホールでの同じ内容のコンサートでも、素晴らしいブルックナーの交響曲第9番でした。そのときの記事はここです。ただ、みなとみらいホールでのこの日の演奏はさらにそれを上回る究極とも思える演奏だったんです。
スーパーキャストによるシェーンベルクの超大作《グレの歌》は凄い演奏でした。ヴァルデマール王のジェイ・ハンター・モリス、トーヴェのアンゲラ・デノケ、森鳩の藤村実穂子、いずれも鳥肌ものの最高の歌唱。大好きなデノケは絶好調ではなかったものの、それをカバーする音楽性高い歌唱、そして、それを上回る藤村実穂子の森鳩。今、森鳩を歌わせて、藤村実穂子以上に歌える人はいないでしょう。初めて聴いたジェイ・ハンター・モリスはもう若くはありませんが、本格デビューして間もないヘルデン・テノール。こんな凄いテノールは久々に聴きました。いずれ、ワーグナーを聴かせてもらいましょう。もちろん、200人以上の大合唱団(Wiener Singakademie、Orfeo Catala、Cor de Cambra del Palau de la Musica Catalana、Herren des Chores des Slowakischen Nationaltheaters)の威力は凄まじく、感動を通り越して戦慄を覚えたほどでした。
遂に待望のフォン・オッターのマーラーが聴けました。それもラトル指揮ベルリン・フィルとの交響曲第2番《復活》です。期待を上回る演奏にうるうるでした。翌日も同じ内容のコンサート、この日と同じく、素晴らしい演奏でした。そのときの記事はここです。今、思い出しても、身震いするような《復活》でした。
インバル+都響のマーラーは今年も好調。特にこの日の第5番は素晴らしい演奏でした。フェルミリオンが歌った《リュッケルトの詩による5つの歌》も素晴らしく、第5曲《私はこの世に捨てられて》には参ってしまいました。
あまり期待せずに聴いたラトル+ベルリン・フィルのブルックナーの交響曲第7番でしたが、超弩級の演奏で、これまで聴いてきたプレートル指揮ウィーン・フィル、ティーレマン指揮シュターツカペレ・ドレスデンとも拮抗するものでした。ラトルの実力があなどれないことに初めて、思い至りました。このコンサートは来日公演でも聴かれたかたが多いでしょうね。
これもそんなに期待せずに聴いたヤンソンス+ウィーン・フィルによるバルトークの《中国の不思議な役人》でしたが、あの古色蒼然としたウィーン楽友協会のグローサーザールに響いた音楽はセンセーショナルとも思えるもので、saraiは大変、興奮して聴き入ってしまいました。いまだにバルトークは新鮮さを失っていないのに驚きを禁じ得ないコンサートでした。
ウィーン・フィルの演奏したベルリオーズ《幻想交響曲》はありえないような美しさに満ちた演奏に魅了されました。そのあまりの美しさに笑みを通り越して、高笑いが出そうになって困りました。こういう音楽もあるんですね。
フルシャが都響を振るチェコ音楽は聴き逃せません。このコンサートでは、ドヴォルザークの《弦楽のための夜想曲》、マルティヌーの《オーボエと小オーケストラのための協奏曲》、スークの交響曲第2番《アスラエル》となかなか聴く機会のないマイナーとも言える曲ばかり。これらのチェコ音楽にすっかり堪能しました。もっとも、チェコ音楽と言っても、それほどボヘミア風でないところも面白いところでした。
最後に今年のコンサート・オペラ・リサイタルのなかで大賞を選定するとすれば、最後まで迷いに迷って、これにしました。
ブルックナー/交響曲第8番:ハイティンク+コンセルトヘボウ管@コンセルトヘボウ
ブルックナー畢生の大作を老巨匠ハイティンクが熟成した境地で聴かせてくれました。ティーレマン+ウィーン・フィルのベートーヴェン交響曲チクルスも2度と聴けないようなものでしたが、ハイティンクのブルックナーもこの交響曲第8番を2回聴き、ロンドン交響楽団との交響曲第9番も2回とも素晴らしい演奏だったことを考慮して、ハイティンクのブルックナーの集大成として、大賞に選びました。これまで、ウィーン勢が大賞を獲得してきましたが、ハイティンクの素晴らしい音楽が結実したものです。ハイティンクの今後のますますの活躍に期待したいと思います。
また、来年の感動に期待しながら、今年の総括は幕としましょう。
今年も当ブログを読んでいただいたみなさんには感謝です。また、来年も引き続き、ご愛読ください。
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