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ミュンヘンの文化を満喫:アルテ・ピナコテークのクラナッハ展

2011年4月16日土曜日@ミュンヘン/4回目

久しぶりのアルテ・ピナコテークAlte Pinakothekの絵画鑑賞は続きます。

フェルメールの次は、大好きなクラナッハを見ましょう。
しかし、展示室の入口で待った!がかかります。クラナッハは常設展ではなく特別展なので、別のチケットが必要。入口の窓口でチケットを買ってきてねということです。そういうことなら、チケットを購入しに戻るしかないですね。でも、フェルメールは見ちゃったもんね・・・(やはりカフェからの入室はイレギュラーだったのかな)。
もちろんクラナッハも見たいので、窓口に戻りチケットを買ってきます。一人5ユーロの追加料金です。今回の特別展は(フェルメール展とクラナッハ展と所蔵品の特別展)アルテ・ピナコテークの175周年記念だったようです。


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クラナッハの展示室に入場。素晴らしい! こんなに大量のクラナッハの絵を見るのは初めてです。いろんな時代のクラナッハがあり、それぞれが実に素晴らしい絵です。微細にかつ色彩豊かに光沢のある絵が一番好みにあいます。とても素晴らしい絵が何点かあり、すっかり満足です。バイエルン各地の美術館から、クラナッハの絵を一堂に集めた特別展のようです。

saraiの思いの強い画家ルーカス・クラナッハに敬意を表して、多くの作品をご紹介しましょう。是非、みなさんもお付き合いください。クラナッハはドイツ・ルネッサンスを代表する画家です。生まれたのがクロナッハ(Kronach)だから、名前もクラナッハ。昔はこういう名前の付け方は一般的だったそうです。

まず、1枚目の絵はこれです。


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クラナッハと言えば、裸婦像が有名です。ヴィーナスやイヴを描いた作品が多数ありますが、この絵はミュンヘンの美術館にある「ルクレティア」(Lucretia)です。彼女は古代ローマ時代の美人で、辱めを受けて自ら命を絶ちます。ルクレティアは紀元前6世紀、タルクィニウス王がローマを支配していた時代の女性です。彼女の夫は戦争に出陣し、陣中の夕食のおりに妻の美しさと貞淑さを讃え、それに興味を抱いた王子セクトゥスがひそかに陣営を抜け出し、ルクレティアのもとを訪れ、彼女の美しさ故に凌辱します。彼女はそのため、夫と父に復讐を託し、自害します。そのため、ルクレティアは貞淑さの鑑とされており、シェークスピアの長詩「ルクレティアの凌辱」にもなっています。近年では、ブリテンのオペラ「ルクレティアの凌辱」もありますね。残念ながら、このオペラはsaraiもまだ見たことがありません。
なお、この事件が発端になって、ローマの王政が倒され、共和制に移行します。そして、強大なローマ帝国に発展していくわけです。1女性が世界の歴史を変えたともいえますね。
ただ、この絵はそういう女性の悲壮感よりも女性美を表現しているように感じます。自害する切迫感よりも妖しいエロティシズムを感じます。また、この絵は他の裸婦像と同様に体のバランスが少し妙です。この独特の表現が何か魅力的に感じ、妙に気に入っています。

次はミュンヘンの美術館にある「金の時代」(The Golden Age)です。


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多くの裸の男女が楽園で楽しむ姿です。
古代ギリシャの詩人ヘロドトスは天地創造に続く時代を金・銀・青銅・英雄・鉄に分けました。金の時代は天地創造後の最初の時代で、人間同士も自然にも調和し、無垢の状態。まさに旧約聖書のエデンの園ともイメージが重なります。クラナッハはそういうユートピアをこの絵で描き出しています。クラナッハは続く銀の時代も描いているそうで、労働苦と人々のいさかいがテーマだそうです。

ミュンヘンのドイツ博物館にある「真実の口」(la bocca della verita)です。


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ローマにあるライオンの口に手を入れる真実の口と同じですね。こういう風俗画っぽいのも面白いですね。

ミュンヘンの美術館にある「不釣り合いな恋人たち」(Unequal lovers)です。


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いやらしい顔の老人が妙齢の女性に体を寄せており、女性はどっこいその手が老人のカバンの中の財布を取り出そうとしています。後世のラ・トゥールの絵みたい・・・。こういう風俗画もなかなか上手いですね。
なお、この主題は15世紀から16世紀のドイツで大変人気があったそうです。この絵は老人と若い娘ですが、逆のパターンの老女と若い男というのもあったそうです。

ミュンヘンの美術館にある「ロットと2人の娘」(Lot and his Daughters)です。


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これも風俗画でしょうか。老人が娘達に妙にサービスされています。

バンベルクの美術館にある「クリスティナ・オイレナウの肖像」(Christina Eulenau)です。


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こういう女性の絵を描かせるとクラナッハの腕は冴えわたります。女性の個性が実に見事に表現されています。

ミュンヘンの美術館にある「マリアの頭部」(testa di maria)です。


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このマリアって誰でしょう? マグダラのマリアでしょうか。これも見事に女性の表情が描き込まれています。

あとは宗教画です。

ミュンヘンの美術館にある「紅海渡歩」(The Crossing of the Red Sea)です。旧約聖書の世界です。


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バンベルクの美術館にある「アブラハムの犠牲」(Das Opfer Abrahams)です。これも旧約聖書の世界です。


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Aschaffenburgの美術館にある「キリストと姦婦」(cristo e l'adultera)です。


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クロナッハの美術館にある「キリストと姦婦」(Christus und die Ehebrecherin)です。同じ題材の作品ですね。


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ミュンヘンの美術館にある「ゴルゴダの丘」(calvario)です。内容は説明不要ですね。


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次はミュンヘンの美術館にある「はりつけの前に跪くブランデンブルグのアルブレヒト枢機卿」((Kardinal Albrecht von Brandenburg vor dem Gekreuzigten kniend)です。


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特に心に感じた作品を選りすぐって、ご紹介しました。この特別展は「バイエルンのクラナッハ」と題されています。素晴らしい展示に出会えて、とても幸運です。

アルテ・ピナコテークの絵画鑑賞はさらに続きます。


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この記事へのコメント

1, ハミングバードさん 2014/07/17 12:47
Lot and two daughters の絵は恐らく旧約聖書の創世記19章のロトと二人の娘を描いていると思います。後ろに黄色もしくはオレンジ色描かれているのは神様によって滅ぼされた(焼き尽くされた)ソドムの町です。娘たちは子孫を残すために父親に酒を飲ませ意識を失わせます。そのシーンだと思います。
もうすでに調べられてご存知でしたらごめんなさい。

ドイツ鉄道の旅を計画しており、古いブログにも目を通しています。ローテンブルくはお気に召さなかったようですね。

2, saraiさん 2014/07/17 22:07
ハミングバードさん、こんばんは。

クラナッハの作品の解説、ありがとうございます。詳細な物語の内容は把握できていませんでした。ご教示いただき、感謝します。

ドイツ鉄道の旅とは楽しそうですね。いっぱい、楽しんでください。ローテンブルクは悪くありませんが、ニュルンブルク、ヴュルツブルクの街のほうが印象深かったですね。ただ、城壁の上の散策は楽しめましたよ。
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ジャンル : 海外情報

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クラナッハ展

こんにちは、
私は東京の上野の森美術館で「クラナッハ展」を見てきましたが、ミュンのアルテ・ピナコテークのクラナッハ展は、レベルが違いますね。クラナッハの大作、傑作を見せていただいて、東京電で感じた何章とはかなり沈゛った印象を感じました、東京展で見たクラナッハの裸体画はセクシーで誘惑されるような雰囲気をかんじたのですが、アルテ・ピナコテークのクラナッハ展の作品を拝見すると、女性はみな気品があり、画家としての力量もデューラーに匹敵するのではないかと感じました。

私は東京で展示されていたルーカス・クラナッハ作品を通じて、ルーカス・クラナッハという画家の本質を掘り下げて、ルーカス・クラナッハの全貌を整理し本質を考察してみました。読んでいただけると嬉しいです。アルテ・ピナコテークのクラナッハ展を見て誤った印象を私が持っていましたらもご教示のコメントをいただけると心から感謝いたします。よろしくお願いいたします、


No title

dezireさん、初めまして。saraiです。

コメントありがとうございました。
クラナッハは大好きなんですが、今回、日本初の大規模なクラナッハ展は少々肩透かしでした。

そちらのブログにもお邪魔しますね。
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オペラ・美術が大好きでヨーロッパの旅にはまっています。音楽の聖地ウィーンが中心で、イタリア、フランス、ドイツも巡っています。国内外のオペラ・コンサートの体験もレポートします。

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お元気にコンサートや旅行を楽しんでおられますね!
ブログ、楽しく拝見しています。おフランス、良いね😊
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04/09 05:29 えりちや

気になってたずねても 
誰にも知らんと言われなんやろ
と思いつづけて居ました❗
写真みつけてこれだと思いました❕スッとしました
教えて下さって嬉しいです
ありがとうご

02/13 22:26 みーちゃん
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