fc2ブログ
 
  

モーツァルトのレクイエム、スウェーデン放送合唱団&東京都交響楽団@サントリーホール 2015.10.16

モーツァルトのレクイエム・・・やはり、いいなあ。モーツァルトが死の床で書いた未完の大作ですけど、決して重くなくて、清らかさと透明さに満ちています。いまどきは都響のようなマーラーを得意にするモダンなオーケストラが演奏しても、ガンガン鳴らすのではなく、まるで古楽器オーケストラかと思うような小音量で澄み切った音響なんですね。スウェーデン放送合唱団も大合唱ではなく、迫力よりも美しい音楽を優先しています。これがモーツァルトが最後に到達した人生の思いだったのかと納得させられるような演奏です。ベートーヴェン的な諦念ではなく、マーラーの人生や愛への立ち去り難い思いでもなく、そこには、自分の人生への純粋な反省と許しを希求する一人の人間の清らかな思いが込められているように感じました。天才音楽家モーツァルトの最後の音楽、それがたとえ未完に終わったにせよ、人類に残された最高に素晴らしい音楽だったと体感できる演奏が聴けて、満足です。

このところ、モーツァルトの晩年の素晴らしい作品を続けざまに聴き、今更ながら、モーツァルトの音楽の素晴らしさを再認識しています。ハーゲン・カルテットとヴィトマンによるクラリネット五重奏曲、ウィーン・フィルによる最後の3つの交響曲、それに今日のレクイエムです。いずれも純粋さと熟成が混在している不思議と言えば不思議な作品ですね。早逝した天才作曲家の証しなのかもしれません。

久しぶりに予習のためにレクイエムをいくつか聴いてみました。

 カール・ベーム指揮ウィーン・フィル、ウィーン国立歌劇場合唱団
 エディット・マティス、ユリア・ハマリ、ヴィエスワフ・オフマン、カール・リッダーブッシュ

 セルジュ・チェリビダッケ指揮ミュンヘン・フィル、同合唱団
 カトリーヌ・ペトリグ、クリステル・ボルシェル、ペーター・ストラカ、マティアス・ヘレ

 カルロ・マリア・ジュリーニ指揮フィルハーモニア管弦楽団、同合唱団
 リン・ドーソン、ヤルト・ヴァン・ネス、キース・ルイス、サイモン・エステス

 ニコラウス・アーノンクール指揮コンツェントゥス・ムジクス・ヴィーン、アルノルト・シェーンベルク合唱団
 クリスティーネ・シェーファー、ベルナルダ・フィンク、クルト・シュトライト、ジェラルド・フィンレイ

 ジョン・エリオット・ガーディナー指揮イングリッシュ・バロック・ソロイスツ、モンテヴェルディ合唱団
 バーバラ・ボニー、アンネ・ゾフィー・フォン・オッター、ハンス・ペーター・ブロホヴィッツ、ウィラード・ホワイト

DVDもひとつ見ました。

 ジョン・エリオット・ガーディナー指揮イングリッシュ・バロック・ソロイスツ、モンテヴェルディ合唱団
 バーバラ・ボニー、アンネ・ゾフィー・フォン・オッター、アントニー・ロルフ・ジョンソン、アラステア・マイルズ

いずれも素晴らしい演奏です。どれを聴いても満足ですが、ひとつ選ぶのなら、バーバラ・ボニーの素晴らしいソプラノが聴けるガーディナー盤です。CDもよいのですが、バルセロナのカタルーニャ音楽堂でのライブの美しい映像が楽しめるDVDが一番です。ジュリーニの晩年の演奏もモーツァルトの音楽の本質に迫った素晴らしい演奏です。とりたてて何も装飾していないところが何とも言えず、素晴らしいです。

今日の前半のプログラムは滅多に聴けない20世紀の合唱曲でした。

リゲティのルクス・エテルナはア・カペラの合唱曲。人間の声って、ここまでの表現力があるのかと驚かされます。32名の合唱団で16声で歌う超絶技巧曲。つかみどころはありませんが幻想的な雰囲気に包みこまれます。感動するような音楽ではありませんが、異次元の音楽を体験できます。リゲティの作曲能力の凄さに驚嘆もしました。以前、映画の《2001年宇宙の旅》で聴いたときには、これがクラシック音楽だったとは分かりませんでした。この曲を映画に使ったスタンリー・キューブリックはやはり只者ではありませんね。

シェーンベルクの《地には平和を》は最近はオリジナルのア・カペラで演奏されることが多いようですが、今日は珍しく、管弦楽伴奏付きでした。もちろん、控えめな管弦楽でしたけどね。やはり、ア・カペラのほうがいいかな。リゲティのルクス・エテルナを聴いた後では、この曲はえらく分かりやすい曲に聴こえるから不思議です。これも無調のテイストに満ちた難解な曲なんですけどね。まあ、シェーンベルクの初期のころの作品ですから、とても美しい作品ではあります。フィナーレの「フリーデ、フリーデ アウフ デア エルデ(Friede, Friede auf der Erde!)」(平和を、地には平和を)のところの美しさには感動します。まさに今の日本にはぴったりな作品ではありませんか。武器なき平和を希求する音楽です!

最後に、今日のプログラムは以下のとおりでした。

  指揮:ペーター・ダイクストラ(スウェーデン放送合唱団首席指揮者)
  ソプラノ:クリスティーナ・ハンソン
  アルト:クリスティーナ・ハマーストレム
  テノール:コニー・ティマンダー
  バス:ヨアン・シンクラー
  合唱:スウェーデン放送合唱団
  管弦楽:東京都交響楽団

  リゲティ:ルクス・エテルナ (1966)(無伴奏混声合唱)
  シェーンベルク:地には平和を op.13 (混声合唱と管弦楽)


   《休憩》

  モーツァルト:レクイエム ニ短調 K.626 (ジュスマイヤー版)

   《アンコール》

  モーツァルト:「アヴェ・ヴェルム・コルプス」ニ長調 K.618

思いがけず、最後にサプライズのプレゼントがありました。やはり、モーツァルトの晩年の作品「アヴェ・ヴェルム・コルプス」です。ア・カペラで歌われました。シンプルな曲ですが、こういう能力の高い合唱団が歌うと、途轍もない美しさに輝きます。こういう音楽に感動しない人はいないでしょう。モーツァルトの素晴らしさを究極まで味わわせてもらいました。


↓ saraiのブログを応援してくれるかたはポチっとクリックしてsaraiを元気づけてね

 いいね!



関連記事

テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

コメントの投稿

非公開コメント

人気ランキング投票、よろしくね
ページ移動
プロフィール

sarai

Author:sarai
オペラ・美術が大好きでヨーロッパの旅にはまっています。音楽の聖地ウィーンが中心で、イタリア、フランス、ドイツも巡っています。国内外のオペラ・コンサートの体験もレポートします。

来訪者カウンター
CalendArchive
最新記事
カテゴリ
指揮者

ソプラノ

ピアニスト

ヴァイオリン

室内楽

演奏団体

リンク
Comment Balloon

たかぼんさん、初めまして。saraiです。

嬉しいコメント、ありがとうございます。ブッシュ四重奏団は素晴らしいですよ。とりわけ、第14番は最高です。
もっとも、ブッシュ

09/17 02:04 sarai

とても素晴らしいお話をお聞かせ頂き感謝いたします。
私は今まで、後期の4曲はブダペスト四重奏団できまり!と思っておりました。
ブッシュ四重奏団は別なレコード(死

09/16 13:52 たかぼん

ミケランジェロさん、saraiです。

遅レスで申し訳けありません。敬愛するジョナサン・ノットをご評価いただき、ありがとうございます。

相変わらず、独自の音楽探求を続

06/23 23:50 sarai

こんにちは。

ジョナサン・ノット氏の公演鑑賞を拝読したく参りました。毎回とても沢山の公演記録を私達に届けて下さり、ありがとうございます。

マエストロは数年前のイ

06/14 08:27 michelangelo

えりちゃさん、コメントありがとうございます。
最終公演に行きますが、ムーティ&ウィーン・フィルは渾身の力で凄い演奏を聴かせてくれますよ。特にシューベルトは有終の

11/09 22:13 sarai

尻上がりに素晴らしくなりました!
あの弦の響きにもうハマるのですよ!
あと2公演ありますが、もう既に同じプログラムを2回演奏しているので、ますます良くなるか、ち

11/09 10:56 えりちゃ

えりちゃさん、お久しぶりです。saraiです。

なかなか、海外渡航の見通し、立ちませんね。来年あたりはどうでしょうね。長期戦覚悟で我慢するしかありませんね。

こちら

04/10 02:37 sarai
月別アーカイブ
検索フォーム
RSSリンクの表示
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR