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9分の1のコンサート:森麻季+仲道郁代@横浜みなとみらいホール 2011.3.19

この2週間で9回聴く予定だったコンサートがたった1回だけになりました。9分の1のコンサートです。ですが、saraiには9倍の満足度のコンサートになりました。本当に・・・

ソプラノの森麻季さんとピアニストの仲道郁代さんのデュオ・リサイタルが横浜みなとみらいホールで無事開催されました。何故か、お二人とも美人ですね。才色兼備っていうところでしょうか。

本日のプログラムは当日変更が色々あって、最終的には以下の通りでした。

 バッハ-グノー:アヴェ・マリア(当日変更)
 グノー:歌劇「ファウスト」より“宝石の歌”
 ショパン:夜想曲第20番 嬰ハ短調 「レント・コン・グラン・エスプレシオーネ」 *ピアノ・ソロ
 リスト:愛の夢 S.541
 シューマン=リスト:歌曲集「ミルテの花」より“献呈” *ピアノ・ソロ
 シューマン:「子どもの情景」より“トロイメライ” *ピアノ・ソロ
 別宮貞雄 / 加藤周一:さくら横丁
 山田耕筰 / 北原白秋 :からたちの花

 《休憩》

 リスト:ペトラルカのソネット104番 S.270
 フォーレ:レクイエム 第4曲 ピエ・イェズ(Pie Jesu)(当日変更)
 マスカーニ:アヴェ・マリア (当日変更)
 ショパン:バラード第1番 ト短調 op.23 *ピアノ・ソロ
 ロッシーニ:歌劇「セミラーミデ」より“麗しい光が”

 《アンコール》

 プッチーニ:歌劇「ジャンニ・スキッキ」より“私のお父さん”
 久石譲:NHK大河ドラマ「坂の上の雲」の主題歌

お二人がステージに現れて、拍手がやむと、森麻季さんがマイクをとって、とっても真摯な声でこの災厄のなかでの思いをお話になりました。
そして、グノーの「アヴェ・マリア」です。拍手はしないで代わりに黙とうをお願いしますとのことでした。
いつもはにこやかな仲道郁代さんも暗い顔をしています。

森麻季さんの絶唱には大変心を打たれました。非常に透明な声で心のこもった歌でした。音楽的にも大変素晴らしいものでしたが、彼女の人間としての清らかさがすべてです。軽い拍手が起こりましたが、それを責められないほどの素晴らしい歌唱でした。saraiは黙とうでこの絶唱にこたえました。

次はグノーの“宝石の歌”、意外に森麻季さんは一転して、彼女としてはダイナミックな歌唱。もちろん、透明な歌声ではあります。このあたりが彼女の成長の証ですね。曲によって、色々な表現ができています。しかし、このあたりの曲でピアノ伴奏が仲道郁代さんというのはなかなか贅沢ですね。流石に歌手の息を感じながらの自在な伴奏です。

次はピアノソロでショパンの夜想曲第20番です。この曲は映画「戦場のピアニスト」で一躍有名になりました。saraiもそれまで持っていた夜想曲全集のCDは19番までで20番以降の存在すら知りませんでした。20番以降は遺作だったのであまり演奏されませんでした。今では2番と同じくらい有名です。
仲道郁代さんのお話では震災以降ずっとピアノに向かえないほどのショックだったそうですが、この日の演奏は今までのベストと言ってもいいほど、ピュアーな響きで美しい演奏です。ショパンの詩情が漂って、うっとりとしました。

次は超有名なリストの「愛の夢第3番」ですが、ピアノソロではなく、歌曲版です。初めて聴きました。当たり前ですがまったく同じ曲です。美しい歌唱でしたが、やはりsaraiはピアノソロが好きかな・・・

次はリストがシューマンの歌曲をもとに作曲した「献呈」です。これももとの歌曲集「ミルテの花」とほとんど同じですが、フィナーレに華やかなフレーズが付け加えられています。シューマンの「謝肉祭」を思い起こさせるようなところもあり、リストもシューマンをかなり消化して作曲したようにも思われますが、それでもやはりこれは原曲のシューマンの歌曲が大好きなので、これは森麻季さんに歌ってもらいたかったところです。ピアノの演奏自体は素晴らしく華やかな感じでなかなかよい演奏ではありました。

次はシューマンの「トロイメライ」です。ゆったりとした演奏でとても美しく、目を閉じて、気持ちよく聴いていました。

前半の最後は日本の歌曲。別宮貞雄の「さくら横丁」は聴いたことのない歌で事前にYouTubeで予習しておきました。なかなか感銘を受ける歌ですね。
森麻季さんの澄みきった伸びやかな声で聴くこの曲はとても刺激的でした。強い印象が残る歌です。

最後は「からたちの花」です。森麻季さんが先程の歌とはまた違う歌い方・表現で歌うのに感心しました。表現は違っても清純な歌声であることは同じです。素直に感動してしまいます。日本の歌もこうして聴かされるととてもよいものです。いくら西洋音楽が好きでもsaraiはやはり日本人だなあと妙な感慨を持ってしまいました。

休憩後はリストの「ペトラルカのソネット」です。「ペトラルカのソネット」と言えば、有名なピアノ曲集「巡礼の年 第2年《イタリア》」のなかに47番、104番、123番の3曲があります。考えてみれば、もともと詩人ペトラルカの作った詩(ソネット)をもとにしていることから、歌詞があるわけで、これまでsaraiは知りませんでしたが、歌曲版の「ペトラルカのソネット」があるわけで今日はこれが演奏されます。当初は3曲とも歌われる筈でしたが、今日は104番のみ。
特に中間以降は美しいメロディーがあり、歌もピアノも素晴らしく、すっかり堪能しました。残りの2曲は演奏されませんでしたが、一番好きな104番だったので満足です。

そして、この日、最高によかったのはフォーレのレクィエムの第4曲 ピエ・イェズです。ちょうど、フォーレのレクィエムの真ん中の曲でソプラノの独唱曲ですが、フォーレの特徴である清澄さを十分に感じさせる清らかな歌唱でした。
こういうときだからこそ歌われたわけですが、そういうことを別にしても素晴らしい音楽だったと思います。思わぬ素晴らしい音楽を聴けて、こちらの心も洗われる思いでした。

また、マスカーニの「アヴェ・マリア」は初めて聴く曲だと思っていましたが、実際はマスカーニの歌劇「カヴァレリア・ルスティカーナ」の有名な間奏曲のメロディーが流れてきて、あれっ・・・。どうも間奏曲のメロディーに歌詞を付けたもののようです。
この歌唱もとても清らかで心が洗われました。

次はピアノソロでショパンのバラード第1番です。この曲もショパンの曲で10指にはいる超有名曲です。この曲を聴くと、ノイマイヤーが振り付けたバレエ「椿姫」を思い出します。クライマックスの第3幕でマルグリットとアルマンが狂おしく最後の愛を交わすシーンでこのバラード第1番が流れます。
仲道郁代さんの演奏はこの日最高の演奏でした。ショパンらしく、ロマンチックで狂おしい音楽でした。この美しさにうっとりのsaraiでした。やはり、音楽なしには生きられないと実感しました。

で、最後はロッシーニの“麗しい光が”です。この曲はロッシーニ節が炸裂する曲ですから、一体、森麻季さんがどのようにコロラテューラを駆使できるのか、固唾を飲んでいました。
森麻季さんらしく、ピュアーな声で、それでいながらダイナミックに素直な歌唱を聴き、ああ、そうなんだと納得。ロッシーニのコロコロはまあまあですが、上品な歌いぶりで好感が持てたし、それなりに興奮して聴けました。
もちろん、チェチーリア・バルトリのようにイタリア演歌とも言っていいロッシーニ節ののこぶしを超絶技巧で歌い回すようなことは無理ですが、それはバルトリ以外の誰にも真似できないので、これで十分に満足です。
思いっきりの拍手を送りました。オペラを聴いた気分になりました。

アンコールはお馴染みの「私のお父さん」。綺麗な歌唱でした。

アンコール2曲目はNHK大河ドラマ「坂の上の雲」の主題歌でした。あまり、聴いたことはありませんが、ほろっとする歌ですね。心のこもった歌でした。

久しぶりのリサイタル。次に聴く音楽はパリのガルニエでのオペラになってしまいました。
日本で聴くリサイタルはこれでしばらくはおしまい。
それにふさわしい素晴らしいリサイタルでした。
美人で音楽性の高いお二人に感謝です。
それにしても森麻季さんの最近の充実ぶりは大変なものです。海外のオペラハウスでも十分に活躍できる実力です。
それが確認できたのも嬉しいことでした。

最後にお二人が終演後に義援箱への協力をお願いされている姿は人間的に大変美しいものでした。もちろん、ささやかな募金をさせていただきました。

非常時でのコンサートでもあり、内容も充実しており、色んな意味で生涯忘れられないコンサートのひとつになりました。


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テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

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オペラ・美術が大好きでヨーロッパの旅にはまっています。音楽の聖地ウィーンが中心で、イタリア、フランス、ドイツも巡っています。国内外のオペラ・コンサートの体験もレポートします。

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はじめまして。ブログ拝見させていただきました。私は、個人ブログを運営しているyuichironyjpと申します。フリーランサーとして活動しており、フリーランスで稼ぐ方法や、

06/14 23:46 Yuichironyjp

ありがたいコメント、嬉しいです。マーラーのファンのかたにこそ、読んでいただきたかったので、気持ちを共有できた思いです。自然の中にこそ、マーラーの音楽の本質はあり

04/23 23:45 sarai

マーラーの作品を聴きながら、ブログを読ませていただいています。
読みながら画像を見て、マーラーの過ごした風景に想いを馳せて楽しんでいます。
素敵なブログをありがと

04/23 21:47 

マーラー6番ですか・・・ハンマー打撃は勘弁してほしいものです。あったとしても、3回目の打撃だけは・・・

04/11 18:10 sarai

まさにマーラー6番な状況です笑

04/11 17:51 kico

お互い、残念でしたね。今年でヨーロッパ遠征を終わりにする予定でしたが、悲劇的な状況になりました。天はまだ我に旅を続けよというご託宣を与えたのでしょうか。1年延期

04/11 03:13 sarai

以前にもコメントさせていただいた者です。来ましたね、楽友協会からのメール。私たちはとりあえず1年延期としましたが、どうでしょうね。困っている人が多い中贅沢な悩み

04/11 00:33 kico
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