《メリー・ウィドウ》@フォルクスオーパー 2011.10.29
開演前にこの日に直行便で日本から駆け付けたブログのお友達のsteppkeさんに初対面。オペレッタにはあまり縁のなかったsaraiに以前からいろいろなアドバイスをしていただいた師匠みたいなかたです。何だか初めてお目にかかるような気がしません。
さて、今日のキャストは以下です。
指揮:アルフレッド・エシュヴェ
演出:マルコ・アルトゥーロ・マレッリ
ツェータ男爵:アンドレアス・ダオム
ヴァラシエンヌ:マラ・マスタリ
ハンナ・グラヴァリ:アレクサンドラ・ラインプレヒト
ダニロ:ダニエル・シュムッツハルド
カミーユ:ヴィンセント・シルマッヒャー
ニエグシュ:ロベルト・マイヤー
幕が開くと、えらく舞台の奥行きが狭くてびっくりしますが、これは可動式の仕切りでその奥に広い空間がありました。この仕切りは回転式のドアにもなっていて、この仕切りを有効に活用することで舞台の変化を付けています。うまいことを考えましたね。
オペレッタはニエグシュ役のロベルト・マイヤーが狂言回しのようになって、八面六臂の大活躍です。とぼけた演技で出しゃばっても憎めません。肝心のハンナ役のラインプレヒトですが、歌も演技も、そして容姿も合格点。なかなか難しい役どころをよくこなしていました。ヴィリアの歌は筋の展開に直接関係する歌ではありませんが、これを下手に歌われるとぶち壊しになりかねませんが、高い声もしっかり出せていて立派なものです。一方、相手役ダニロを歌うのシュムッツハルドです。これまで見た中ではダニロの雰囲気を一番出せていた歌手です。男振りもなかなかで声もよく出ています。この2人の絡みはとてもロマンチックなでうっとりです。昔のパリ・オペラ座でのカリタ・マッティラとボー・スコウフスの素晴らしい演技を思い起こせます。かなり肉薄していますが、逆にあの演出をコピーしているような気もします。まあ、いいものをお手本にすることは我々聴衆にとっても悪いことじゃありません。ヴァラシェンヌ役のマスタリはとても綺麗で歌も演技もよし。ついでにダンスもうまい。ついでにいうと今回の《メリー・ウィドウ》は女性陣が美人で容姿の良い人ばかりでsaraiは満足。男爵夫人とか何とか夫人っていうのでぶくぶく太った見栄えの悪い人が出ることが多いですから、今回のキャストは大変結構です。決して差別発言ではなく、やはり舞台は美しくあってほしいという願いを表明しただけです。カミーユ役のシルマッヒャーはそのアジア系の容姿はともかく抜群に声が出ていて、聴き映えがしました。男性ですから見栄えには目をつむりましょう。
こんなふうにキャストは粒が揃っていて、大変満足です。
今回の新演出では専門のダンサーが多数出演し、レベルの高いダンスをいくつも披露してくれたのが舞台の華やかさを盛り上げていました。これも大変、結構です。フレンチカンカンの踊りはなかなか見応えがありました。オッフェンバックの曲はありませんでしたが問題ないでしょう。
ただ、ひとつだけ、苦言を呈しなくてはならないのはリフレインがまったくないことです。最近の《チャルダッシュの女王》でもリフレインが1回だけで不満に思っています。リフレインは演奏者と聴衆の共同作業で両者が一体化する大切な要素でオペラになくて、オペレッタをオペレッタとしてならしめる最重要なものです。リフレインをちょっとやっただけでそんなに上演時間が延びる訳でもないでしょう。是非、関係者は再考していただきたいと俄かオペレッタファンのsaraiは強く思います。
ともあれ、舞台は盛り上がり、聴衆の手拍子のなか、楽しくフィナーレになります。カーテンコール時に期待していたロベルト・マイヤーの指揮台への乱入もちゃんとありました。彼の指揮のもと、またまた、聴衆の手拍子も加わり、楽しく《メリー・ウィドウ》は終了。
また、オペレッタ(オペラでもミュージカルでもなく)を楽しみにフォルクスオーパーに戻ってきましょう。この旅で残すは明日のプレートルとウィーン・フィルのコンサートだけになりました。何てウィーンの音楽文化は素晴らしいんでしょう!
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