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感動のコラール!マーラー3番:インバル&東京都交響楽団@横浜みなとみらいホール 2012.10.27

昨日のティーレマンのブルックナーの交響曲第7番に引き続き、今日はインバルと東京都交響楽団のマーラーの交響曲第3番です。連日、大物の作品が続き、予習も大変です。特に今日のマーラーは長大な作品で、CDを3枚聴くのがやっとでした。
 ・アバード&ウィーン・フィル
 ・ノイマン&チェコ・フィル
 ・ハイティンク&シカゴ交響楽団
どれも素晴らしい演奏ですが、特にハイティンクの新盤が心に残りました。
今日のインバル&都響の演奏はそれらの名演と肩を並べる素晴らしいものでした。インバルのマーラーの素晴らしさを再認識するとともに、このところ、好調の東京都交響楽団が既に欧米のオーケストラと遜色がないという確信を持ちました。少なくとも、インバルが指揮する都響は今週のブラームスと言い、素晴らしい響きに満ちています。今日のマーラーの交響曲第3番の第6楽章のコラール風の旋律を聴き、弦楽器セクションの響きの素晴らしさに涙の滲むような感動を覚えました。ここ2年ほどのインバル&都響のマーラー演奏には、いつも感動させられてきましたが、今日はそのなかでも最高の演奏でした。
まだまだマーラー・ツィクルスは始まったばかりです。ますます期待が高まります。第9番ではどれほどの高みに達するのでしょうか。

今日のプログラムは以下です。

  指揮:エリアフ・インバル
  メゾ・ソプラノ:池田香織
  女声合唱:二期会合唱団
  児童合唱:東京少年少女合唱隊
  管弦楽:東京都交響楽団

  マーラー:交響曲第3番ニ短調

このマーラーの交響曲第3番は聴く者にとって、なかなかの難物でもあります。特に30分ほどの長大な第1楽章に意識を集中させて、聴き通すことは容易ではありません。今日は最初のホルンの朗々とした響きで堂々の開始です。素晴らしい響き、そして、弱音での表現の繊細さに終始、耳をそばだたせ、緊張感を持続して、曲に集中できました。ただ、これは長大な交響曲の序章に過ぎません。
第2楽章は比較的コンパクトな楽章で、クリアーな響きに気持ちよく身を委ねるのみですっと過ぎ去ります。
第2楽章終了後、インバルがいったん退場し、合唱団とメゾ・ソプラノの池田香織が入場し、小休止。準備が整いましたが、インバルが一向に再登場しません。妙な雰囲気が漂いましたが、インバルがようやく登場。何だったんでしょう。
ところが第3楽章が始まると、すっかりオーケストラの響きが美しく向上しました。まるで魔法のようです。最高の響きです。中間部以降は舞台裏で演奏されるポストホルンの長閑な響きに魅了されます。ザルツカンマーグートの美しい自然のなかにいるかのごとく、感じます。この曲はマーラーが夏の休暇に過ごしたザルツカンマーグートのアッター湖畔で作曲しました。第2楽章、第3楽章は最も自然との一体化を感じる音楽になっています。その美しい自然を都響の美しい響きで感じ、心が安らいでいきます。少しずつ、心が溶け出して、音楽と融合していく感じです。まだ、感動というところにまでは至りません。
第4楽章はアルト独唱で池田香織の美声を楽しみます。よく通るピュアーな声です。だんだん、感動の予感がしてきました。
第5楽章は休止なしに少年合唱がビム、バム、・・・と朗らかに歌い始め、一転して、明るい雰囲気に盛り上がります。途中のアルト独唱もなかなかの歌声で聴かせます。
そして、一気に第6楽章に突入します。また、一転して、実に精神性の高いコラール風の旋律が弦楽器で静かに演奏され始めました。ここでもろくもsaraiの心は崩壊します。涙が滲んできます。ザルツカンマーグートの美しい自然に抱かれて、傍らには若くて美しい妻のアルマがいます。愛情に充足して、幸福の絶頂にいるマーラー。しかし、何故か、美しい旋律には、哀切の響きがあります。saraiの心とマーラーの心がシンパシーで結ばれます。永遠に続くと信じたい愛・・・しかし、心の底では、未来への不安が渦巻いています。永遠の愛なんて、あるんだろうか。そして、いつかやってくる死への恐れ。現実世界は美しいアッター湖と美しいアルマがいるだけ。それで充分じゃないか。もろくて壊れやすい繊細な音楽が静かに美しく響いています。いつまでもいつまでも・・・。音楽は時に爆発もします。不安感に押しつぶされるんです。そして、また、幸福で静謐な音楽に戻ります。ただ、深い哀切感から逃れる術はありません。滲んだ涙で視界も曇ってきます。最後に音楽は高揚していきます。一体、何の高揚なのか、理解できないまま、それでも感動の嵐に巻き込まれていきます。フィナーレで心もずたずたになります。まさに神なき時代の人間の哀歌です。感動した心の向ける方向が分からないままの終結です。それでも我々は知っています。この後、マーラーは交響曲第9番の第4楽章アダージョに向かって、救いを求めて、彷徨っていくことになります。まだまだ、苦悩の道のりは始まったばかりです。

実に音楽性の高い演奏内容でした。ライブでこれだけの演奏ができるのはインバルと都響のコンビ以外にどこがあるでしょう。最高とも言っていいマーラーでした。この演奏はCD化されるようですが、多分、saraiは聴かないでしょう。いや、聴けないというのが正確なところです。もう、このライブの美し過ぎる演奏で十分です。

とりあえず聴き始めたインバル&都響のマーラー・ツィクルスですが、もう、第9番まですべてを聴かずにはいられません。マーラー・ファンのかたは決して聴き逃してはいけませんよ!


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テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

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Author:sarai
オペラ・美術が大好きでヨーロッパの旅にはまっています。音楽の聖地ウィーンが中心で、イタリア、フランス、ドイツも巡っています。国内外のオペラ・コンサートの体験もレポートします。

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ありがたいコメント、嬉しいです。マーラーのファンのかたにこそ、読んでいただきたかったので、気持ちを共有できた思いです。自然の中にこそ、マーラーの音楽の本質はあり

04/23 23:45 sarai

マーラーの作品を聴きながら、ブログを読ませていただいています。
読みながら画像を見て、マーラーの過ごした風景に想いを馳せて楽しんでいます。
素敵なブログをありがと

04/23 21:47 

マーラー6番ですか・・・ハンマー打撃は勘弁してほしいものです。あったとしても、3回目の打撃だけは・・・

04/11 18:10 sarai

まさにマーラー6番な状況です笑

04/11 17:51 kico

お互い、残念でしたね。今年でヨーロッパ遠征を終わりにする予定でしたが、悲劇的な状況になりました。天はまだ我に旅を続けよというご託宣を与えたのでしょうか。1年延期

04/11 03:13 sarai

以前にもコメントさせていただいた者です。来ましたね、楽友協会からのメール。私たちはとりあえず1年延期としましたが、どうでしょうね。困っている人が多い中贅沢な悩み

04/11 00:33 kico

お返事ありがとうございます。
本当に!私もレイルジェットや美術館の手配もしているので、祈るような気持ちです。

03/10 19:06 kico
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