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ドレスデンで音楽・美術三昧:アルテ・マイスター絵画館のドイツ絵画、スペイン絵画

2013年6月13日木曜日@ドレスデン/5回目

ドレスデンDresdenのアルテ・マイスター絵画館Gemäldegalerie Alte Meisterで絵画鑑賞中です。次はドイツ絵画を見ます。この美術館はクラナッハの作品が充実していてsaraiは、大満足です。

まずはハウスブーフの画家の《ピエタ》です。1480年頃の作品です。この作者は1470年代から1500年にかけて、ライン川の中流地域で活躍したと思われる画家で、姓名不詳です。ドイツ南西部のヴォルフエック城に所蔵されていた家庭用祈祷書《ハウスブーフ》の作者であったことから、ハウスブーフの画家Hausbuchmeisterと呼ばれています。素朴ながら、力強い表現が印象深い作品です。


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アルブレヒト・デューラーの《聖母の7つの悲しみ》です。1495年から1496年頃、デューラー24~25歳頃の作品です。この作品はデューラーがニュルンベルクNürnbergに居を定めた後、初めての大きな制作になりました。7枚のそれぞれの場面はキリストの生涯からのものです。中央の欠けている部分は本来、《悲しみの聖母》Mater Dolorosaがありましたが、これは現在、ミュンヘンのアルテ・ピナコテークに所蔵されています。7枚の各パネルは左上からぐるりと反時計周りに、順に《キリストの割礼》、《エジプトへの逃避》、《博士たちと議論するキリスト》、《十字架を担うキリスト》、《十字架へのはりつけ》、《キリストの磔刑》、《キリストの哀悼》が描かれています。デューラーにしては、まだまだ、細かい表現がこれからの感はありますが、よく構成された作品ではあります。


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アルブレヒト・デューラーの《ベルンハルト・フォン・レーゼンの肖像》です。1521年頃、デューラー50歳頃の作品です。デューラーは神聖ローマ帝国皇帝のマクシミリアン1世の寵愛を受けました。その皇帝が1519年に死去し、その翌年、デューラーはネーデルランドに旅立ちます。この作品はその旅先で制作されたものです。デューラーの日記の内容から、この作品のモデルはダンツィヒの商人一家の息子ベルンハルト・フォン・レーゼンと考えられています。この時代、商人は手紙を手にして描かれることが多く、この作品でも茶色の壁を背景に、黒い帽子と黒い衣装の男が手紙を手にして描かれています。円熟したデューラーの筆によるこの作品は、ゆるぎない安定感のもと、男の落ち着いた内面が見事に描き切れています。デューラーの傑作の1枚です。


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さて、いよいよ、クラナッハの作品群です。

ルーカス・クラナッハの《聖カタリナの殉教》です。1506年頃、クラナッハ34歳頃の作品です。1505年、ザクセン選帝侯のフリードリヒ賢明公はクラナッハをヴィッテンベルクWittenbergで宮廷画家として任じます。以来、クラナッハは3代のザクセン選帝侯に50年近く、仕えることになります。この作品は宮廷画家として、初めての大きな委嘱作品であり、初めての祭壇画でもありました。
フリードリヒ賢明公は1502年にヴィッテンベルクに大学を創立しましたが、この作品はそれを記念したものです。聖カタリナは学問の守護聖人。言い伝えによれば、聖カタリナはローマ皇帝が招集した50人の学者を論破して、キリスト教の優位性を示し、彼らをキリスト教に改宗させたそうです。しかし、その結果、彼女は死に追いやられます。釘の打ち付けられた車輪による拷問は神の力で打ち砕かれ、結局、斬首による殉教を遂げることになります。この作品の中央のパネルはそのシーンを描いています。左側のパネルは聖ドローテア、聖アグネス、聖クニグンダが描かれ、右側のパネルには、聖バルバラ、聖ウルスラ、聖マルガレートが描かれています。有名な聖女のオンパレードです。その聖女たちの中でも聖カタリナが史上最高のヒロインです。クラナッハはこれらの聖女たちを好んで取り上げました。この作品は美しく描かれた聖女たちの姿の素晴らしさがとても印象的です。女性を描かせたら右に出るもののいないクラナッハの真骨頂の作品と言えるでしょう。


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ルーカス・クラナッハの《ザクセンのハインリヒ敬虔公とその妻カタリーナ・フォン・メクレンブルク》です。1514年頃、クラナッハ42歳頃の作品です。ザクセン選帝侯のフリードリヒ賢明公はヴェッティン家の流れで、一方、ハインリヒ敬虔公は分派したアルベルティン系のザクセン公です。ハインリヒは、1512年にメックレンブルグ公マグヌス2世の娘カタリーナと結婚しましたが、その祝いとして、クラナッハに夫妻の肖像画を依頼しました。そこでクラナッハは、二人の肖像を一対の作品として完成させました。ハインリヒ敬虔公の堂々たる姿、そして、何よりも、カタリーナの才色兼備の美しさは素晴らしいです。


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ルーカス・クラナッハの《エデンの園》です。1530年頃、クラナッハ58歳頃の作品です。この作品は説明の必要はないでしょう。画面の中央にはアダムとイブが描かれています。クラナッハ得意の題材です。ここでは神から知恵の実の林檎を食べないように約束させられています。時間の経過していくほかの場面も一緒に描き込まれています。林檎を遂に食べてしまう場面、楽園から追放される場面とかです。題材は異なりますが、主君の狩猟場面を描いた作品、人間の黄金時代(ゴールデンエイジ)を描いた作品も同一系列上の作品群です。こういう傾向の作品は過去に多く鑑賞しました。クラナッハの得意の構図の一つです。


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ハンス・ホルバインの《モレット卿、シャルル・ド・ソリエの肖像》です。1534から1535年頃、ホルバイン36~38歳頃の作品です。ホルバインはドイツのアウグスブルク出身でスイス時代を経て、1532年ロンドンに赴き、ヘンリー8世の宮廷画家として、肖像を描いて花を開かせました。ヨーロッパ各地でホルバインの肖像画を見ることができます。特にヘンリー8世と彼の妻、愛人の肖像画が印象的です。この作品はモレット卿、シャルル・ド・ソリエを描いたものですが、彼は4人のフランス王の下で軍人、外交官を務めた人物で、この作品に登場するときは駐英フランス大使の職にありました。威風堂々とした姿で描かれていますが、ホルバインは実際よりも人物を立派に綺麗に粉飾する傾向がありますから、肖像画としては割り引いて見ないといけないでしょう。肖像画ではなく、モデルを用いた人間賛歌と思えば、素晴らしい作品です。


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次は18世紀に進み、スイス絵画を見ます。

ジーン・エティエン・リオタールの《ココアを運ぶ娘》です。1744年から1745年頃、リオタール42~43歳頃の作品です。リオタールっていう画家、全然知りませんが、ジュネーヴ生まれでヨーロッパを転々とした挙句、スイスで亡くなりますから、一応、スイス絵画の画家といってもいいでしょう。それに作風がまさにスイスらしい細密でリアリスティックなものです。絵の内容は当時、高級な飲み物だったココア(チョコレート)が主題になっていて、高価な陶磁器(マイセンと思われます)を運び、緊張している娘の内面が微笑ましく感じられます。


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最後はスペイン絵画を見ます。スペイン絵画ではムリリョの絵画が素晴らしいです。

エル・グレコの《盲人を癒すキリスト》です。1570年頃、エル・グレコ29歳頃の作品です。1567年にヴェネツィアに移住したエル・グレコがヴェネツィア・ルネサンス様式で描いた初期の作品です。後のスペイン時代に見られる熱い個性はまだ感じられません。言わば、借りてきた猫っていう感じでしょうか。ここにはトレドで巨匠に上り詰める人の片鱗も感じられないと言ったら、言い過ぎでしょうか。この人が10年も経ずして、トレドで素晴らしい作品を描くようになるのですから、人間、分からないものです。


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スルバランの《祈る聖ボナヴェントゥーラ》です。1628年から1629年頃、スルバラン30~31歳頃の作品です。スルバランもまたカラヴァッジョの光と影の明暗技法の洗礼を受けた画家です。この作品は聖フランチェスコの弟子であるボナヴェントゥーラの前に天使が現れ、次に選出されるローマ教皇の名前を告げるシーンが描かれています。画面右側には、コンクラーヴェに臨んでいる枢機卿たちの姿が描かれています。構図の素晴らしさはもとより、劇的な緊張感にあふれた名作です。


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ムリリョの《聖キアラ(聖クララ)の死》です。1645年から1646年頃、ムリリョ27~29歳頃の作品です。この作品はフランチェスコとともにフランチェスコ会派を起こした聖キアラの死の場面を描いたものです。アッシジの聖キアラ教会を訪問したときの感銘が蘇ってきます。


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ムリリョの《聖母子》です。1670年から1680年頃、ムリリョ53~63歳頃の作品です。ムリリョ晩年の超名作ですね。美しいマリアに抱かれたかわいいキリスト。名だたる聖母子作品のなかでも光を放つ素晴らしい作品です。ムリリョの最高傑作と言っても過言でないでしょう。


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ドレスデンのアルテ・マイスター絵画館は展示作品の数は多くはないのですが、素晴らしい作品が多く、とても楽しめました。
次はドレスデンに多く名品が所蔵されているというフリードリッヒの絵を見たいところですが、これはノイエ・マイスター絵画館のほうに展示されているので、明日、ゆっくりと鑑賞することにします。


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オペラ・美術が大好きでヨーロッパの旅にはまっています。音楽の聖地ウィーンが中心で、イタリア、フランス、ドイツも巡っています。国内外のオペラ・コンサートの体験もレポートします。

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ありがたいコメント、嬉しいです。マーラーのファンのかたにこそ、読んでいただきたかったので、気持ちを共有できた思いです。自然の中にこそ、マーラーの音楽の本質はあり

04/23 23:45 sarai

マーラーの作品を聴きながら、ブログを読ませていただいています。
読みながら画像を見て、マーラーの過ごした風景に想いを馳せて楽しんでいます。
素敵なブログをありがと

04/23 21:47 

マーラー6番ですか・・・ハンマー打撃は勘弁してほしいものです。あったとしても、3回目の打撃だけは・・・

04/11 18:10 sarai

まさにマーラー6番な状況です笑

04/11 17:51 kico

お互い、残念でしたね。今年でヨーロッパ遠征を終わりにする予定でしたが、悲劇的な状況になりました。天はまだ我に旅を続けよというご託宣を与えたのでしょうか。1年延期

04/11 03:13 sarai

以前にもコメントさせていただいた者です。来ましたね、楽友協会からのメール。私たちはとりあえず1年延期としましたが、どうでしょうね。困っている人が多い中贅沢な悩み

04/11 00:33 kico

お返事ありがとうございます。
本当に!私もレイルジェットや美術館の手配もしているので、祈るような気持ちです。

03/10 19:06 kico
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