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細川俊夫の新作《嵐のあとに》:東京都交響楽団@サントリーホール 2015.11.02

今日のコンサートでは何と言っても、細川俊夫の新作の世界初演に注目です。

もちろん、初聴きです。プレトークでの作曲家・細川俊夫の解説によると、東北大震災によって、音楽に対する考え方が変わり、自然の猛威に人間が何ができるかを音楽で表現してみようとしており、この作品《嵐のあとに》も、猛烈な嵐が起こったあとに2人のソプラノがシャーマン、すなわち巫女として、現世とあの世をつなぐ役割を果たすという音楽を書いてみたということです。音楽をシャーマニズムの一形式として位置付けるという野心的な試みです。

曲の前半は嵐の場面です。打楽器を中心に描写音楽的に嵐を表現します。和のテーストが感じられるような音楽ですが、悪く言えば、陳腐な感じがしなくもありません。正直なところ、ちょっとがっかりです。嵐の頂点で2人のソプラノがユニゾンで叫び声を上げます。野性的とも思える歌声にびっくり。迫力はありますが、違和感も感じます。この展開でどう音楽的に終結点を迎えさせるのかなと要らぬ心配をしているsaraiです。しかし、心配無用でした。急に音楽の転換点に入ります。それは弦楽のトップ奏者による合奏からです。第1ヴァイオリン2人(四方恭子、矢部達哉)、第2ヴァイオリン2人(遠藤香奈子、双紙正哉)、ヴィオラ(店村眞積、鈴木学)、チェロ1人(古川展生)の7人の美しい演奏にうっとりします。この後は鎮魂の音楽が始まります。素晴らしい音楽です。金切声に思えたソプラノ2人も深い鎮魂と祈りの歌に切り換わります。鎮魂の音楽の効果を高めるために前半はあえて、陳腐な音楽に終始したのかもしれません。鎮魂の音楽がジーンと胸に染み入ると音楽もフィナーレ。終わり良ければ、すべてよしの典型のような音楽ですね。願わくば、美しい鎮魂の音楽がもっと長く続いてくれれば、もっと満足できたでしょう。もう一度、聴いてみたいと思わせるような内容のある音楽でした。

ラヴェルとドビュッシーはいつもの都響とはかけはなれたプログラムですが、大変、精度の高い演奏に感心しました。ただ、あまり、こういう音楽はsaraiの好みではないので、この方向に進んでほしくないというのが正直な感想です。やはり、都響はマーラーが一番、似合います。

プロコフィエフのヴァイオリン協奏曲はさすがにレーピンは安定した演奏を聴かせてくれました。こういう難曲も余裕の演奏でシャープな響きを楽しませてくれました。しかし、庄司紗矢香のしみじみとした抒情の第2楽章と迫力の第3楽章の演奏が思い出されてしまいました。レーピンにはこの曲は合わないかもしれません。
予習したのは以下の3枚のCDでしたが、いずれも素晴らしい演奏です。

 チョン・キョンファ、プレヴィン指揮ロンドン交響楽団
 ヴィクトリア・ムローヴァ、プレヴィン指揮ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団
 ジャニーヌ・ヤンセン、ユロフスキ指揮ロンドン・フィル


最後に、今日のプログラムは以下のとおりでした。

  指揮:大野和士
  ヴァイオリン:ワディム・レーピン
  ソプラノ:イルゼ・エーレンス
  ソプラノ:スザンヌ・エルマーク
  管弦楽:東京都交響楽団

  ラヴェル:スペイン狂詩曲
  プロコフィエフ:ヴァイオリン協奏曲第2番 ト短調 Op.63

   《休憩》

  細川俊夫:嵐のあとに - 2人のソプラノとオーケストラのための(2015)
       [都響創立50周年記念委嘱作品・世界初演]
  ドビュッシー:交響詩《海》-3つの交響的スケッチ

今日のプログラムは11月13日からの都響のヨーロッパ遠征の主要な曲目だそうです。何故、フランスものが中心なんでしょうね。都響の得意な曲目には思えませんけどね・・・。


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ジャンル : 音楽

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首都圏の様々なジャンルのクラシックコンサート、オペラの感動をレポートします。在京オケ・海外オケ、室内楽、ピアノ、古楽、声楽、オペラ。バロックから現代まで、幅広く、深く、クラシック音楽の真髄を堪能します。
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07/08 18:59 sarai

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07/08 15:53 じじい@

saraiです。
久々のコメント、ありがとうございます。
哀愁のヨーロッパ、懐かしく思い出してもらえたようで、記事の書き甲斐がありました。マイセンはやはりカップは高く

06/18 12:46 sarai

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06/18 08:33 五十棲郁子

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