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プラハで音楽・美術三昧:ミュシャ作品展(イワン・レンドル所有のポスター完全コレクション)後編

2013年6月18日火曜日@プラハ/3回目

ミュシャ作品展(イワン・レンドル所有のポスター完全コレクション)を前回に続いて、見ていきましょう。ミュシャのパリ時代(1895年~1904年)を見ています。ミュシャのパリ時代はサラ・ベルナールとの出会いに始まり、商業ポスター、カレンダーの原画と続き、パリでの人気アーティストの地位も不動のものとなっていきます。並行して、手がけたのは、室内の装飾パネルです。多くは4点からなるセットでした。

まず、その4点セットの一つ、連作《四季(1896年)》です。1896年、ミュシャ35歳の作品です。ミュシャの連作の中でも最も人気のある作品です。この後も2回、同じテーマで制作の依頼を受けます。それらもこの後、紹介します。

《春》です。金髪の美しい少女が緑色の枝と金髪の毛で竪琴を作っています。


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《夏》です。ブルネットの少女がなにか物憂げな視線で物思いにふけっています。


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《秋》です。赤毛の美女が葡萄を摘んで食べようとしています。


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《冬》です。褐色の髪の少女が小鳥に暖かい息を吹きかけて温めているところです。


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次も4点セットの一つ、連作《四季(1897年)》です。1897年、ミュシャ36歳の作品です。前作の連作《四季(1896年)》の成功を受けて、印刷業者シャンプノワの勧めで同じテーマで制作した作品です。

《冬》と《春》です。うーん、なかなか、いいですね。妖精を描いていますが、モデルが美しいですね。


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《夏》と《秋》です。これはなかなか大胆なポーズです。


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次も4点セットの一つ、連作《四季(1900年)》です。1900年、ミュシャ39歳の作品です。同じテーマの3作目です。これもシャンプノワ社が印刷しました。素晴らしい名作です。

《春》と《夏》です。成熟した女性の魅力にあふれています。


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《秋》と《冬》です。可愛い女性に魅惑されます。


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次も4点セットの一つ、連作《一日の四つの時刻》です。1899年、ミュシャ38歳の作品です。ゴシック様式のステンドグラスを思わせる連作になっています。

《朝の目覚め》と《昼の輝き》です。ほっそりした美女の立ち姿が美しいですね。


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《夕べの夢想》と《夜のやすらぎ》です。横に構えた女性の横顔が美しいですね。


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次も4点セットの一つ、連作《花》です。1898年、ミュシャ37歳の作品です。女性に花をあしらった連作です。女性と花・・・最高のコンビネーションですね。ミュシャの傑作です。

《カーネーション》と《百合》です。何と美しいのでしょう。


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《アイリス》と《薔薇》です。これも言葉にならない美しさです。


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次も4点セットの一つ、連作《4つの星》です。1902年、ミュシャ41歳の作品です。4点を順に見ていきます。

《明けの明星》です。抑えた色調ながら、女性の美しさが浮き出てきます。これも珍しい女性ヌードですね。


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《北極星》です。あえて強調した北極星の明るい光に照らし出される女性の横向きの姿です。女性を光の輪で包んだ構図も見事です。


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《宵の明星》です。後ろからの明るい星の光に照らされながら、顔をそむける女性のポーズが美しいです。


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《月》です。月の輪を背景とした女性のはにかむような顔はちょっとポーズを付け過ぎかもしれませんが、むしろ、女性の美しい肢体が見事に描かれています。4作とも装飾的に絵の周辺を様式化した花で囲んでいますが、装飾パネルにはふさわしいデザインになっています。まさにアール・ヌーヴォー様式です。


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次は2点セット、連作《桜草と羽根》です。1899年、ミュシャ38歳の作品です。これもシャンプノワ社が販売した装飾パネルセットです。。

《桜草》と《羽根》です。光輪を背景に宝冠を着けた女性美はミュシャの独壇場です。


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ミュシャのパリ時代での重要な出来事は1900年のパリ万博でボスニア・ヘルツェゴビナ館の装飾を全面的に手がけたことですが、パリの人気アーティストであったミュシャはこのパリ万博の公式カタログの表紙も制作しました。1899年、ミュシャ38歳の作品です。ミュシャの装飾へのセンスの素晴らしさが如何なく発揮されています。


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1900年のパリ万博では、ミュシャはオーストリアのパビリオンの室内装飾も依頼されます。当時のチェコはオーストリア・ハンガリー帝国の支配下にありましたから、チェコ出身のミュシャは帝国内出身の著名なパリ在住アーティストとして、ウィーンから派遣された政府代表から声を掛けられました。同時にポスター制作も手掛けます。1899年、ミュシャ38歳の作品です。


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1904年のセントルイス万国博覧会のポスターも制作しています。インディアンの酋長と手を取り合っている少女が万博へ招待している構図です。パリからセントルイスまで、汽船で7日、汽車で1日の行程であることを知らせ、フランス人の来訪を呼び掛けています。航空機のない時代、なかなかの長旅だったんですね。


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その自分の描いたポスターに触発されたわけではないでしょうが、1904年にミュシャは新天地のアメリカに出発します。アメリカ時代の始まりです。1910年にチェコ(ボヘミア)に戻るまでの彼の活動はその後の《スラヴ叙事詩》へのステップでもありました。事実、次の作品はそれを裏付けるものです。

《スラーヴィア(Slavia)》です。1907年、ミュシャ46歳の作品です。このポスターはアメリカの保険会社のために描かれましたが、内容はスラヴの女神スラーヴィアで、そのモデルは後に《スラヴ叙事詩》制作の後援者になるアメリカの大富豪チャールズ・クレインの次女ジョゼフィンです。この作品をもとに翌年、油彩画《スラーヴィア》が描かれています。プラハ国立美術館(ヴィレトゥルジェニー宮殿)でも見たばかりです。


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続いて、アメリカ時代の作品を3つほど見ておきましょう。

《トライナー・アンジェリカ・ビター・トニック》です。1907年、ミュシャ46歳の作品です。シカゴに移住したチェコ人のジョゼフ・トライナーは薬用酒の製造業者でした。これは彼のために描いた宣伝用ポスターです。当時、ミュシャは基本的には宣伝用の作品は手掛けていませんでしたが、同国人のトライナーの依頼を断れなかったのでしょう。素晴らしいポスターです。


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《実用的な住まい》誌の表紙です。1907年、ミュシャ46歳の作品です。《実用的な住まい》はインテリア雑誌です。ミュシャはインテリア装飾も手掛けるようになっていました。まさに総合的なデザイナーです。


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《レスリー・カーター》のポスターです。1908年、ミュシャ47歳の作品です。アメリカ時代もミュシャのアール・ヌーヴォー様式のポスター制作は相変わらずで、アメリカ人にも好評でした。レスリー・カーターは舞台女優キャロライン・ルイス・ダッドレーの舞台用の名前で、以前、富豪のレスリー・カーター氏と結婚していたことがあり、レスリー・カーター夫人を名乗り続けていました。このポスターは彼女のブロードウェイでの芝居用に描かれたものです。


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1910年、ミュシャは《スラヴ叙事詩》の後援者を得、ボヘミアの地に戻ります。これ以降はチェコ時代になります。ミュシャは制作時間の大半を《スラヴ叙事詩》にあてるため、それ以外の作品はごく限られたものになります。友人からの依頼やチャリティ目的、民族色を打ち出した展示会用ポスター、政府委託のものなどです。

《モラヴィア教師合唱団》のポスターです。1911年、ミュシャ50歳の作品です。国際的な活動をしていた合唱団のポスターです。パリ時代の華麗な美女ではなく、モラヴィアの田舎娘が描かれています。しかし、こういう絵でもミュシャの描く女性は何と魅力にあふれていることでしょう。色彩の鮮やかさも見事です。


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《南西モラヴィア連盟の宝くじ》のポスターです。1912年、ミュシャ51歳の作品です。貧しそうな少女と泣いているスラヴィアが描かれているポスターは地域の学校制度を支えるための宝くじの購入を呼び掛けるためのものです。宝くじ1枚は1コルナだったようです。


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《イヴァンチッチェでの地方展》のポスターです。1912年、ミュシャ51歳の作品です。イヴァンチッチェはミュシャの故郷の町です。彼はここで畢生の大作《スラヴ叙事詩》に取り組んでいました。この頃、自分の心にかなうもの以外は描いていませんでしたが、これはよほど、気持ちが向かった作品だったのでしょう。


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《チェロ奏者ズデンカ・チェルニー》のポスターです。1913年、ミュシャ52歳の作品です。ミュシャがアメリカ滞在時に世話になったチェルニー家の次女ズデンカはチェロ奏者で、彼女のヨーロッパ公演用に描かれたポスターです。チェルニー家はミュシャと同郷のモラヴィア出身でした。ミュシャのポスター制作の腕は健在で、女性も美しく描かれています。この時代、ポスター制作を減らしたのはもったいないことでした。


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《第6回ソコル大会(1912年)》のポスターです。1911年、ミュシャ50歳の作品です。ソコル大会はプラハで開かれた体育大会です。ソコルSokolはチェコ語で鷹を意味し、1862年に始まった、若者の体を鍛える目的の運動・組織でした。これが次第に民族運動的な色彩も帯び、ミュシャも連帯したのでしょう。スラヴ叙事詩も連想させるスラヴ民族色の強い作品です。少女の描き方は相変わらず、達者なものです。


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《第8回ソコル大会(1926年)》のポスターです。1925年、ミュシャ64歳の作品です。若者の健康な身体を描き出しています。


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《ロシアを再建すべし》のポスターです。1922年、ミュシャ61歳の作品です。ロシアは革命のために国が荒れ、国民は窮乏状態になっていました。このポスターはロシアの飢えた家族を救うための募金キャンペーンを呼び掛けるために描かれました。心のこもった感動的な作品です。


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《スラヴ叙事詩展》のポスターです。1930(1928?)年、ミュシャ67~69歳の作品です。スラヴ叙事詩は17年の歳月をかけて、1928年に全20枚が完成しますが、その年、プラハでチェコ国民に公開されます。また、1930年にはブルノで公開されます。このポスターはそのブルノでのスラヴ叙事詩展のためのポスターです。なお、2年前のプラハでのスラヴ叙事詩展でも同じポスターが使われました。ポスター下部の文言が違っているだけです。したがって、このポスターのオリジナルの制作年は1928年で、1930年にブルノ用に作り直されただけです。ポスターの中心のハープを弾く少女はスラヴ叙事詩の第18作《スラブ菩提樹の下で宣誓する青年たち》の中で手前に描かれた吟遊詩人ルミールの部分で、モデルはミュシャの娘ヤロスラヴァです。ミュシャの人生を締め括るのにふさわしいポスターと言えます。


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これで、ミュシャ作品展(イワン・レンドル所有のポスター完全コレクション)を完了。膨大なコレクションなので、ひとつひとつすべてを詳細に見ることができなくて、とても残念です。しかし、プラハで思いがけず、この作品展とスラヴ叙事詩に出会えて、とても幸運でした。ところで、イワン・レンドルはまだ現役のテニス選手だった1982年から、ミュシャの作品のコレクションを始め、これまでにほとんどすべてのポスター作品のコレクションを完成したそうです。世界中のどの個人コレクション、美術館よりもコレクションは完全なのだそうです。偉大なテニス選手は今や、偉大なミュシャのコレクターなんですね。日本でも講談社から、このレンドルのミュシャ・コレクションを紹介する本が1986年に発行されているようですから、約30年前にはコレクションは既に相当なものだったようです。現在のコレクションはその上にさらに積み重ねたもので、レンドルのコレクターとしての努力には頭が下がります。1枚1枚のポスターも実に保存状態のよいものばかりでした。


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首都圏の様々なジャンルのクラシックコンサート、オペラの感動をレポートします。在京オケ・海外オケ、室内楽、ピアノ、古楽、声楽、オペラ。バロックから現代まで、幅広く、深く、クラシック音楽の真髄を堪能します。
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aokazuyaさん

コメントありがとうございます。デジタルコンサートホールは当面、これきりですが、毎週末、聴かれているんですね。ファゴットのシュテファン・シュヴァイゲ

03/03 23:32 sarai

DCHは私も毎週末、楽しみに聞いています。
・スーパースターには、ファゴットのシュテファン・シュヴァイゲルトの名も挙げたいところです。
・清水直子さん後半のみ登場、D

03/01 19:22 aokazuya

金婚式、おめでとうございます!!!
大学入学直後からの長いお付き合い、素晴らしい伴侶に巡り逢われて、幸せな人生ですね!
京都には年に2回もお越しでも、青春を過ごし

10/07 08:57 堀内えり

 ≪…長調のいきいきとした溌剌さ、短調の抒情性、バッハの音楽の奥深さ…≫を、長調と短調の振り子時計の割り振り」による十進法と音楽の1オクターブの12等分の割り付けに

08/04 21:31 G線上のアリア

じじいさん、コメントありがとうございます。saraiです。
思えば、もう10年前のコンサートです。
これがsaraiの聴いたハイティンク最高のコンサートでした。
その後、ザル

07/08 18:59 sarai

CDでしか聴いてはいません。
公演では小沢、ショルティだけ

ベーム、ケルテス、ショルティ、クーベリック、
クルト。ザンデルリング、ヴァント、ハイティンク
、チェリブ

07/08 15:53 じじい@

saraiです。
久々のコメント、ありがとうございます。
哀愁のヨーロッパ、懐かしく思い出してもらえたようで、記事の書き甲斐がありました。マイセンはやはりカップは高く

06/18 12:46 sarai
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