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2回目の感動!マーラー2番byオッター、ラトル+ベルリン・フィル@コンツェルトハウス 2013.6.6

昨夜と同じく、感動の涙! 素晴らしいマーラーでした。

フォン・オッターの素晴らしい歌唱、ラトルの素晴らしい指揮、それらは昨夜、語り尽くしました。今夜は演奏の流れに沿って、ふりかえってみます。

第1楽章、高弦のさざ波のようなトレモロに乗って、低弦が力強い主題を奏でます。ベルリン・フィルの強力な地響きのようなアンサンブルです。ラトルの指揮はとても柔らかく、自然です。次第に熱を帯びて、音楽は進行していきます。強烈なフォルテでは、ベルリン・フィルのアンサンブルの極限までラトルの棒は要求し、とても緊張感の高い演奏が繰り広げられます。これがラトル、そして、ベルリン・フィルのマーラーです。来日公演で聴いたマーラーの交響曲第9番の演奏がデジャヴのように思い出されます。曲が変わっても、彼らのマーラー演奏は基本軸が固まっており、演奏の極限を極めることのように思えます。並みのオーケストラならば、とっくにアンサンブルが崩壊してしまうようなぎりぎりの演奏で、決して、何も恐れずにマーラーの音楽の本質に果敢に挑戦していきます。
マーラーの音楽は多面性を帯びていますが、それ故の曲想の目まぐるしい変化をどう表現していくかが演奏の難しさになります。ラトルは思いっ切り、ベルリン・フィルをドライブし、緩急、強弱を変化させ、オーケストラの合奏力にすべてを委ねます。こんなに切り込んだ高いレベルの演奏は聴いたことがありません。ここまでやっていいのかとも思えますが、明瞭でメリハリの利いた演奏は説得力があることは確かです。ラトルはよほど譜面を読み込んだようです。ラトルの美点はその努力が音楽演奏の精密さだけに留まらないことです。部分、部分の精密さというよりも、音楽の大きな流れ・構造のなかにきっちりと崩壊寸前まで切り込んだ表現を展開していることです。その結果、マーラー音楽の本質である多面性が見事に表現されました。第1楽章はまさにその典型で、この楽章だけで、独立した音楽叙事詩を聴いた思いになりました。もともと、第1楽章はマーラーが交響詩《葬礼》として作曲したものですが、ラトルはその意図に沿って、この交響曲第2番の序章として、この第1楽章を演奏したようです。実際、この第1楽章の後だけに長い休憩を入れていました。

第2楽章、ここから第4楽章まではアッター湖畔の作曲小屋で作曲されましたが、美しい自然、変わりやすい自然、そういったものを肌に感じられる音楽です。ラトルは序章に続き、この第2楽章からを交響曲の始まりのように演奏します。ちょうど、交響曲第4番のような感じです。そのように演奏されると、これまで聴いてきた第2番とかなり、趣きが変わって聴こえてきます。弦楽合奏の舞曲風の旋律もアッター湖畔の自然のなかの響きに感じられます。時折、天候が崩れたりもしますが、自然のなかのおおらかな響きに満ちて、この楽章は終始します。ベルリン・フィルの美しい合奏力ならではの音楽です。珠玉のような演奏と言って、差し支えないでしょう。

第3楽章、グロテスクな自然、それでも美しい自然を感じさせる音楽です。この楽章は次の第4楽章と同様に、『子供の不思議な角笛』と強い関わりを持ち、自然の魔力に満ちています。ラトルは多彩な表情をつけながら、次第に熱を帯びた終盤に向かいます。ここでソロ歌手の入場です。舞台の上方にあるオルガンの張り出しの上に歌手が立ちます。フォン・オッターは昨日と同じ赤いドレス姿で座って、第4楽章を待ちます。

第4楽章、第3楽章が終わると同時に、フォン・オッターが「赤い小さな薔薇よ」と歌い始めます。繊細な響きで、感動的な歌声です。もう、うるうるするしかありません。オーケストラの演奏が少し続き、デル・メンシュ(人間は)・・・という決然としていながら、哀感に満ちた歌が始まります。もう、たまりません・・・。哀感あふれる木管の響きもたまりません・・・。もう、ここで最初の涙・・・・。この《原光》が聴きたくて、2度もこのコンツェルトハウスに足を運びましたが、それは十分に報われました。静かな、本当に静かな感動で胸がいっぱいになりました。フォン・オッター、最高です。

第5楽章、静かな第4楽章が終わるや、即、オーケストラの強烈な響きです。長大な楽章の幕開きです。前半はオーケストラの演奏ですが、最初の山場は復活のテーマの提示です。管楽器のスローな演奏で、インパクトの強い楽想が提示されます。展開部にはいり、行進曲風な音楽がベルリン・フィルの見事な合奏で演奏されると、ぐっと気持ちが高ぶっていきます。そして、合唱が低い歌声で復活賛歌を歌い始めます。「よみがえる、・・・」です。合唱やソロなどで次第に音楽は頂点をめざします。彼岸を思わせるバンタのアンサンブルも実に見事です。バンタの響きは素晴らしく効果的で、演奏場所を変えながらの演奏です。このあたりにもベルリン・フィルの底知れぬ実力が垣間見えます。
そして、最後の大合唱、「・・・神のもとへとおまえを運んでいくだろう!」。もう、涙が流れて、感動して、どうしようもありません。ベルリン・フィルのアンサンブルの響きも最高ですが、やはり、人間の声に勝るものはありません。大合唱がsaraiの体を貫いていきます。最後の管弦楽の後奏はカタルシスのように、優しく感じられるくらいでした。演奏が終わってもラトルの棒が下されるまでは静寂が続きます。感動の静寂です。本当にこの静寂が神のもとに自分を運んでくれるように感じます。これは聴衆も参加した音楽でした。

最後に、今日のプログラムをまとめておきます。昨日とまったく同じです。

  指揮:サイモン・ラトル
  ソプラノ:サラ・フォックス
  メゾ・ソプラノ:アンネ・ゾフィー・フォン・オッター
  管弦楽:ベルリン・フィル
  合唱:ウィーン・シングアカデミー

マーラー:交響曲第2番ハ短調《復活》

この2日間の《復活》を聴いただけでも、今回の旅は価値あるものでした。ウィーンという街、コンツェルトハウスという途轍もない音楽ホール、ウィーンに培われた合唱団、そして、ラトルとベルリン・フィル、マーラー歌手フォン・オッター、それらがひとつになってこその素晴らしいコンサートでした。それにしても、ラトルという指揮者、これまでsaraiが読み違えしていたようです。今後、注目して、聴きこんでいかねばと痛感させられました。ラトルありきのベルリン・フィルも恐ろしいレベルの演奏が期待できそうです。


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ジャンル : 音楽

       ベルリン・フィル,

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