ウィーンで音楽三昧:マーラーのお墓参りは交響曲第9番のアダージョで
グリンツィング墓地Grinzinger Friedhofの入口の前までやってきます。

入口を入ると、左手に花が並べられて販売されています。が、どうもsaraiの感性に合う花がありません。先ほどの花屋さんで買ってくればよかったと悔やみます。残念ですが、花はパスすることにします。

墓地の中は整然とお墓が並んでいます。もちろん、マーラーのお墓への案内板などはありません。

事前に印刷しておいた国際マーラー協会の案内図に従ってお墓を探すと、すぐに見つかります。周りの豪華な墓石に比べると一見地味そうに見えますが、ヨーゼフ・ホフマンのデザインした素晴らしい墓石です。ユーゲントシュティール様式の墓石なんて、そんじょそこらにあるものじゃありませんね。

お墓の前で、saraiは一番大好きな交響曲第9番の第4楽章のアダージョを聴き始めます。30分近い長大で美しい音楽です。お墓の前でマーラー晩年の作品に聴き入りながら、静かな感動にふけります。

ようやく気を取り直したsaraiは、お墓の上に小石を乗せようとしますが悲しいことに届きません。バリトン歌手のハンプソンは簡単に乗せていたのにね。

それでも、軽く放り投げて乗せることができ、満足というかホッとします。お墓の上には小石が一杯のっています。これでマーラーへの手向けになったでしょうか。

近くには妻アルマと彼女の娘マノン・グロピウス(マーラーが死んだ後に再婚したドイツの大建築家グロピウスとの間にできた娘)のお墓もあるので、ここにもお参りです。マーラーのお墓の右後方に背中あわせにたっています。

アルマと言えば、彼女を深く愛していた画家ココシュカの傑作《風の花嫁》のモデルにもなっている女性です。わざわざバーゼルまで足を運び、素晴らしい青い色彩に魅せられたことが思い出されます。できれば、もう一度見に行きたい作品です。アルマへの愛情、そして破局に触発されて生み出された名画中の名画です。アルマほど、大芸術家たちを惹きつけた女性もいないでしょう。
アルマの墓石は、黒くて墓碑銘が見にくいですね。

お墓には美しいツル日々草の花が咲き誇っています。優しい色です。

アルマの娘マノン・グロピウスについては、彼女の夭折を悼んで捧げられたベルクの名作ヴァイオリン協奏曲《ある天使の思い出のために》が忘れられません。ベルクはマノンをとても可愛がっていたそうです。彼自身もこの作品の完成後に亡くなり、この作品は遺作になりました。今回は準備不足でしたが、マノンのお墓の前で是非この曲を聴きたいところです。
マノンの墓石は花の間に置かれた3角形の白いものです。夭折した彼女に似合っています。

マーラーのお墓の前に戻り、マーラーのお墓とアルマのお墓の両方を一緒に見てみようとします。残念ながら、マーラーのお墓からはアルマのお墓の裏側がほんの少し見えるだけです。一番右手の黒い墓石の後方に見えている黒い薄い石がアルマのお墓です。

マーラーのお墓の上には青空が広がってきます。人間の生と死にこだわっていたマーラーの心情を考えながら、深い感慨を覚えます。

マーラーのお墓に対峙しながら、静かに消えていく交響曲第9番のアダージョの響きに聴きいります。合掌・・・

これでマーラーのお墓参りは終わりです。墓地内を散策しながら、帰りましょう。
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