ヴァイマールは芸術家が花盛り:城美術館の素晴らしいクラナッハの作品群
ヴァイマールWeimarのお城StadtSchlossの中庭に入ります。正面奥が城美術館Schlossmuseumの入口です。

中庭の中央に立って振り返ってみると、お城の入口側の建物とその上に城門の塔が見えます。お城は美しいロココ調ですが、これは15世紀に建てられた建物が焼失後、18世紀に再建されたものです。再建にはゲーテが建築委員の一人として、大きな役割を果たしました。城門と塔だけは15世紀のものが残ったそうです。

城美術館は、もちろんチューリンゲンカードは有効で入場無料。まだ、12時前です。パンフレットをいただきます。パンフレットはヴァイマールのどの施設も同じデザインです。

美術館の入口を入ると、右側の部屋にクラナッハの作品がずらっと展示されています。いずれも保存がよく、作品のレベルも素晴らしいものばかりです。今まで見たことのない構図の作品も揃っています。これは期待していた以上の展示です。クラナッハ好きの方は、是非ここを鑑賞することをお勧めします。鑑賞後、目ぼしい作品の絵葉書を買い求めます。ヴァイマールの施設はほとんどすべてが内部での写真撮影禁止なんです。ブログの美術関係の記事に写真は必須なので、絵葉書をスキャンして代用します。
《ルターの肖像》です。クラナッハとルターはとても親しく、ルターを描いた肖像画も多いです。この肖像画は、その中でもとても素晴らしいものです。

《ルターの妻カタリナ・ルターの肖像》です。カタリナ(旧姓:カタリナ・フォン・ボラ)は貴族の子女でカトリックの修道女でしたが、26歳のときに修道院を脱出して、当時41歳のルターと結婚しました。年の差婚ですね。カトリックでは聖職者の結婚は禁じられていますが、プロテスタントは聖職者の結婚を認めています。それを始めたのが宗教改革を起こしたルターです。因みにプロテスタントでは牧師のことを聖職者とは呼ばないそうです。ですから、ルターは聖職者ではなく、牧師です。カタリナは牧師の妻ということになります。
この肖像画も素晴らしい出来です。

これも《ルターの肖像》です。正式には《ユンカーのヨルグの姿をしたルター》です。アイゼナハEisenachのヴァルトブルグ城Schloss Wartburgに隠棲したルターは、当局からの追求を逃れるために自身をユンカーのヨルグという名前で偽っていました。宗教改革に信念を貫くルターの強い姿が穏やかに描かれた傑作です。

《シビレー・フォン・クレーベ姫の肖像》です。ザクセン選帝侯ヨハン・フリードリッヒⅠ世の所へ嫁いでいく花嫁を描いた作品です。女性を描かせたらこの上もなく素晴らしいクラナッハの作品の中でも、ウィーン美術史美術館の「ユディット」に匹敵する美しさにsaraiはうっとりです。当時、花嫁のシビレーは14歳だったそうです。初々しい美女です。ふわりと広がる髪は処女を表現しているそうです。なるほどね! 髪飾りの花冠は花嫁であることを表現しています。この素晴らしい作品を見るだけでも、このヴァイマールを訪問する価値があります。

《カリタス》(慈愛)です。3人の子供に囲まれた女性(ヴィーナス?)の母性愛を描いたものです。クラナッハお得意のヴィーナスですね。

《法律と慈悲の寓話》です。モチーフはクラナッハの宗教画でよく見るものですが、このような構成の絵は初めて見ました。左側の楽園追放はかなり変わった絵です。

このようにクラナッハ好きにとっては必見の充実したコレクションです。クラナッハが最後に暮らした街の面目躍如です。
城美術館ではクラナッハに絞って、鑑賞しました。もうすぐ12時です。もう時間的にチューリンゲンカードを使って入れるのは一つくらい。ともかく急いで次のところに回りましょう。
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