人生の最終ゴール・・・ハイティンク+RCOのブルックナー第8番@コンセルトヘボウ 2013.4.5
今日のプログラムは以下です。
指揮:ベルナルト・ハイティンク
管弦楽:ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団
ブルックナー:交響曲第8番ハ短調(ノヴァーク版))
過大な期待はしていました。しかし、まさにその期待した以上の演奏に接し、これが人生最後に聴く音楽であっても、悔いはないという思いです。
第1楽章から、素晴らしい演奏です。コンセルトヘボウ管の透き通った響きが体を貫いていきます。低弦の素晴らしい響き! 高音弦の透き通った響きと同質の透明感のある響きです。想像を絶する響きでした。高音弦の美しさでは、ウィーン・フィルが1枚上かも知れませんが、高音から低音までバランスのとれた響きでは、コンセルトヘボウ管は無敵だと感じます。管ももちろん、パーフェクトな響き。ホルンに若干の乱れはあるものの、これもブルックナーでここまで吹けるオーケストラはないでしょう。
そして、何と言っても、この素晴らしいオーケストラを完璧にコントロールするハイティンクの指揮、そして、彼のブルックナー解釈の素晴らしさ。saraiにとっては、もう、これ以上のブルックナーはありえないと断言できる内容の深さです。
第2楽章の迫力、そして、中間部の美しさ。感動は深まる一方です。
そして、第3楽章。長大な楽章ですが、音楽のあらゆる要素・・・美、迫力、滋味、等々がすべて、表現され尽くした感動的な演奏です。ブルックナー演奏の頂点、そして、クラシック音楽の頂点を極めたものと感じました。曲の隅々まで、丁寧に表現され、それでいて、全体の構成感もゆるがせにしないという趣です。この第3楽章までで、音楽は完成しています。が、さらに第4楽章でさらなる感動の世界に飛翔します。
ここまで、大音量の迫力あるパートも、あくまでも透明感のある繊細な響きの上に構築されて、自然で奥行きの深い世界を繰り広げてきました。第4楽章の冒頭の咆哮もその音楽の延長線上で、決して、気品を失うことはありませんが、迫力感は凄まじいまでです。そして、また、自然で美しい音楽が始まります。何度も、何度も、感動に酔いしれながら、フィナーレへ。上昇旋律が繰り返されながら、天上への飛翔感を味わい、最後に爆発的なコーダへ突き進みます。最後のジャジャジャンがホールに残響を残し、ハイティンクのタクトが静かに下されます。ホールはしばしの静寂に包まれます。素晴らしい聴衆は音楽の余韻を味わっています。そして、満場の拍手と歓声! すぐに聴衆が立ち上がり始め、saraiもスタンディングオベーションの輪に加わります。気が付くと、ホール全体でスタンディングオベーションです。
凄い演奏を聴きました。この日のコンサートに邂逅するために自分の人生があったんだという思いに駆られます。
前に当ブログで書きましたが、チェリビダッケのリスボン・ライブのCDに収められた演奏がブルックナーの交響曲第8番の最高の演奏、さらに言えば、クラシック演奏の規範とも感じていましたが、今日の演奏はそのチェリビダッケの演奏を凌駕するものでした。
ハイティンクのブルックナーは先月、第9番の最高の演奏を聴いたばかりでしたが、今日の演奏は遥かなる高みに達した極限の演奏でした。
明後日も同じコンビで同じくブルックナー8番を聴きますが、到底、今日以上の演奏は想像もできません。ですが、それでも、まだ、楽しみは続きます。
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