20年ぶりのベルリン:ドイツ・ロマン派のフリードリヒをたっぷり堪能し、満足!
旧ナショナル・ギャラリーAlte Nationalgalerieの3階のフリードリヒの部屋に釘付けになっています。本当に素晴らしいコレクションです。ウフィツィ美術館Galleria degli Uffiziのボッティチェリのコレクション、ウィーン美術史美術館Kunsthistorisches Museum Wienのブリューゲルのコレクション、ウィーン・レオポルド美術館Leopold Museumのシーレのコレクション、ボルゲーゼ美術館Museo Galleria Borgheseのカラヴァッジョのコレクション、ルーブル美術館Musée du Louvreのラ・トゥールのコレクション、クレーラー・ミューラー美術館Kröller Müller Museumとオルセー美術館Musée d'Orsayのゴッホのコレクションなど、質も量も素晴らしいコレクションでしたが、このフリードリヒのコレクションもそれらに肩を並べる素晴らしさです。ベルリンでは必見です!
フリードリヒの絵画鑑賞を続けましょう。
これは《窓辺の婦人》です。この後ろ姿のご婦人はフリードリヒの妻です。この絵だけはフリードリヒらしさがあまり感じられません。妻を描くと、感情が入り過ぎるのでしょうか。後ろ姿にしても、こんなに画面いっぱいに描いてしまうと、彼女の視線の先にある風景が見えません。ダリの有名な《窓辺の人物》は超絶技巧で描かれた作品ですが、このフリードリヒの作品と構図がまったく同じで、フリードリヒの作品へのオマージュです。

これは《グライフスヴァルトの港》です。グライフスヴァルトGreifswaldはフリードリヒの生地で北ドイツの地です。この絵も空のグラデーションが素晴らしいですね。マストの切り立った船を中心に据えて、構図も美しいです。自然と人間の営みの融合が感じられます。

これは《ヴァッツマン山》です。ヴァッツマン山Watzmannはザルツブルグ近郊にある標高3000m弱の山です。この絵も写実的な絵に見えますが、もちろん、フリードリヒの心の中で再構成された心象風景です。雪山と緑の岩山の対比が印象的です。このヴァッツマン山もこの目で直に見たいですね。

これは《雪のなかの樫の木》です。雪と樫の木はフリードリヒが好んで描いた題材です。恐くなるくらい、とても厳しい絵です。

これは《月を想う男と女》です。深い森のなかで月に向かって、佇む若い男女。とってもロマンチックで、幻想的でもあります。ロマン派を実感させる1枚です。美の極致とも思えます。

これは《月の光の森深く》です。これも上の絵と同様の自然を描いていますが、人間の営みと対称的に描くことで、自然の美しさが際立っています。

これは《海辺の2人の男》です。海辺に立つ2人の男の後ろ姿とその先にある海と空、そして、バラ色の月の光。まさに典型的なフリードリヒの世界です。水平線の位置を下から3分の1くらいのところに置き、その水平線の上に男達の肩から上を持ってくるという構成の妙が際立っています。それにしても、フリードリヒはよくよく月を描くのが好きですね。

これは《月の光の海岸の風景》です。この絵も上の絵と同様の題材ですが、ずい分、雰囲気が変わり、暗い感じです。水平線の位置も中央付近です。

これは《海辺の修道士》です。この絵は前回ご紹介した《樫の森のなかの修道院》と一緒にプロイセン王室に買い上げられた初期の傑作です。この絵も海辺の風景ですが、画面の大半は空です。

これは《雪で覆われた山小屋》です。冬の自然の厳しさが伝わってきます。

合計15枚のフリードリヒの傑作群を鑑賞し、フリードリヒの世界を満喫しました。来年はドレスデンDresdenに行くので、そこにあるフリードリヒのコレクションを是非、鑑賞しましょう。ほぼ、それでフリードリヒの傑作のかなりの作品がカバーできそうです。
引き続き、旧ナショナル・ギャラリーの鑑賞が続きます。
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