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20年ぶりのベルリン:旧ナショナル・ギャラリーでベックリンの作品群を見る

2012年4月15日日曜日@ベルリン/6回目

旧ナショナル・ギャラリーAlte Nationalgalerieでの鑑賞はドイツの印象派、象徴主義の画家の作品にはいっています。これまでは象徴主義の画家アルノルト・ベックリンの作品は1点しか見ませんでしたが、この後はベックリンのオンパレードです。前にご紹介した通り、ベックリンはスイスのバーゼルで生まれ、イタリアのフィレンツェのフィエゾレの地で没しました。フィエゾレと言えば、ルネサンス期にメディチ家の別荘があったところで、ギリシャ人や知的な人物が集ったプラトン・アカデミーが有名です。そのなかから、ボッティチェリの《春》、《ビーナスの誕生》も生まれました。saraiも以前、フィエゾレの丘に上り、遠くフィレンツェの眺望を楽しみ、在りし日の優雅さを思い起こしました。ベックリンがどのような思いでかの地を最期の住まいにしたのかは定かではありませんが、イタリア・ルネッサンスと無関係な筈はないでしょう。
ベックリンは人生の大半はドイツとイタリアで過ごしましたが、フィレンツェのフィエゾレで晩年を過ごす前にもフィレンツェに1874年から1885年まで過ごし、その間、傑作の数々を描きました。

旧ナショナル・ギャラリーで絵画を鑑賞中していると、ベックリンの超有名な《死の島》を見つけます。正直びっくりです。ここにあるんですね。かって、ヒットラーの総統室に掛けられていた作品だそうです。ところがこれをカメラに収めようとしたら、無情にもバッテリー切れ。普通はカバンに予備のバッテリーを入れて携行しているのですが、美術館では入館時に荷物をコインロッカーに預けるのがこちらの流儀です。あわてて、コインロッカーのある1階まで駆け下りて、バッテリーを交換し、戻って、パチリ。ふーっ・・・疲れる! 
これが苦労して撮影した《死の島》です。実に幻想的な雰囲気をたたえた作品です。しかも磁力に満ちていて、絵の中に自分も入り込んでしまいそうな錯覚を覚えます。ある意味、怖い絵です。


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興奮して、この絵を見ているうちにデジャヴのような感覚に襲われます。何だか、どこかで見たことがあるような気がします。よくよく考えてみると、バーゼル市美術館Kunstmuseum Baselで見たことがあります。ゴッホの絵なんかもそうですが、同じ絵を何枚も描いているものがありますが、この《死の島》は発表当時、大変な人気があったせいか、5枚も描かれたそうです。
第1バージョンは1880年に描かれて、それがバーゼル市美術館に展示されています。この旧ナショナル・ギャラリーにあるのは1883年に描かれた第3バージョンでプロイセン王室が買い上げた作品です。来年の4月に予定しているライン川の旅では、再度、バーゼル市美術館にも立ち寄る予定(目的はココシュカの《風の花嫁》に再会するためですが)なので、ちゃんと《死の島》も見てきましょう。ちなみに第2バージョンはニューヨークのメトロポリタン美術館、第4バージョンは第2次世界大戦で焼失、第5バージョンはライプツィヒ造形美術館にあります。《死の島》はフィレンツェで描かれた傑作の1枚です。

続いて、ベックリンのコレクションをまとめて鑑賞します。
これは《寄せ波》です。人魚のような裸体の女性に波が寄せている不思議な絵です。激しい波の音の響きが聞こえてきそうな感じです。この絵も1879年のフィレンツェ時代の絵です。


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これは《ヴァイオリンを弾く死神のいる自画像》です。この作品は《死の島》と並んで、ベックリンの代表作とされています。ヴァイオリンを弾く死神の音楽の響きに魅入られたようになっているベックリン。一体、どんな音楽なんでしょう。画家の表情からすると、魅惑的な響きのようです。パガニーニを連想してしまいます。
この作品はフィレンツェ時代に先立つミュンヘン時代に描かれました。


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これは《アンジェラ・ベックリンの肖像》です。ベックリンは1853年にアンジェラ・バスクッチと結婚しました。この肖像画は10年後の1863年に描かれました。結婚10周年記念ってことはないでしょうね(笑い)。


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これは《彫刻家ヨーゼフ・フォン・コップ(Josef von Kopf)の肖像》です。浅学にして、この彫刻家のことはまったく知りません。上の妻の肖像画と同じ1863年に描かれました。
ベックリンは優秀な肖像画家でもありました。


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これは《早春の農地》です。フィレンツェのフィエゾレを思わせる風景ですが、もしかしたら、ドイツかもしれませんね。1884年の作品です。


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これは《隠者》です。隠者が密やかにヴァイオリンを弾いているのを天使たちが覗き見ている不思議な光景です。ヴァイオリンからの響いてくるのは、内省的な音楽でしょう。1884年の作品です。きっと、フィレンツェで描かれたんでしょう。


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これは《画家とその妻》です。ベックリンとその妻アンジェラです。微笑ましいとしか言いようがありません。1864年~1865年の作品です。


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ベックリンは象徴主義とは言っても、ギュスターブ・モロー、ルドン、クノップフのような、ある意味エキセントリックとも思える画風とは違い、柔らかい幻想に満ちており、一般家庭に飾る絵としても成り立つところが一世を風靡したのだと思います。一方、それが彼の限界でもあったわけでしょう。新時代を切り開くシャープさがもうひとつであったとも考えられます。

旧ナショナル・ギャラリーには、フリードリヒ、ベックリン(彼はスイス人ですがドイツ語圏なので準ドイツ人かな)、リーバーマンというドイツを代表する画家たちの作品だけでなく、フランスの印象派の作品も展示されています。引き続き、旧ナショナル・ギャラリーの展示作品を見ていきましょう。


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オペラ・美術が大好きでヨーロッパの旅にはまっています。音楽の聖地ウィーンが中心で、イタリア、フランス、ドイツも巡っています。国内外のオペラ・コンサートの体験もレポートします。

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ありがたいコメント、嬉しいです。マーラーのファンのかたにこそ、読んでいただきたかったので、気持ちを共有できた思いです。自然の中にこそ、マーラーの音楽の本質はあり

04/23 23:45 sarai

マーラーの作品を聴きながら、ブログを読ませていただいています。
読みながら画像を見て、マーラーの過ごした風景に想いを馳せて楽しんでいます。
素敵なブログをありがと

04/23 21:47 

マーラー6番ですか・・・ハンマー打撃は勘弁してほしいものです。あったとしても、3回目の打撃だけは・・・

04/11 18:10 sarai

まさにマーラー6番な状況です笑

04/11 17:51 kico

お互い、残念でしたね。今年でヨーロッパ遠征を終わりにする予定でしたが、悲劇的な状況になりました。天はまだ我に旅を続けよというご託宣を与えたのでしょうか。1年延期

04/11 03:13 sarai

以前にもコメントさせていただいた者です。来ましたね、楽友協会からのメール。私たちはとりあえず1年延期としましたが、どうでしょうね。困っている人が多い中贅沢な悩み

04/11 00:33 kico

お返事ありがとうございます。
本当に!私もレイルジェットや美術館の手配もしているので、祈るような気持ちです。

03/10 19:06 kico
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