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笑ってしまうほど凄い!《幻想交響曲》byソキエフ+ウィーン・フィル@ウィーン楽友協会 2013.6.7

昨日のベルリン・フィルのマーラー:交響曲第2番《復活》では、感動して、涙でしたが、今日のウィーン・フィルのベルリオーズ:幻想交響曲では、あまりの素晴らしさに唖然として、思わず、高笑いしながらのフィナーレでした。いずれも凄いオーケストラで甲乙つけるようなものではありません。ベルリン・フィルの切れ味鋭い先鋭的とも言える響きに対して、ウィーン・フィルのどこまでもまろやかで柔らかい響き、どちらも究極の美しさに達している最高峰のオーケストラ。まあ、それで言えば、4月に聴いたロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団の高弦・低弦のバランスのとれた響きも忘れられません。このあたりのレベルになると、良し悪しよりも聴く者の好みによって変わってくるかもしれませんね。それに指揮者が加わってくると、簡単に評価できるものではありません。今年の現在までの評価で言えば、ハイティンクの指揮という要素の加わったロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団のブルックナー:交響曲第8番が最高ランクですが、ウィーン・フィルは今秋のティーレマン指揮のベートーヴェン交響曲チクルスと言う大物が控えているだけに、まだ、今年のランキングがどうなるかは予断を許しません。それにしても、今年の日本の秋はそれらの3大オーケストラが集結するのが凄いことです。指揮者も粒ぞろいだしね。

話を今日のコンサートに戻します。
まず、最初はブラームスの《ヴァイオリンとチェロのための2重協奏曲》です。ヴァイオリンはウィーン・フィルのコンサートマスターのシュトイデ、チェロはウィーン・フィルの首席チェリストだと思っていましたが、ウィーン・フィルのメンバー表にないソモダリです。あれっと思い、調べてみたら、ウィーン国立歌劇場管弦楽団のソロ・チェリストとして、昨年、入団したばかりで、まだ、ウィーン・フィルには登用されていないようです。道理で顔はウィーン国立歌劇場でお目にかかっていました。実質的には、ウィーン・フィルの首席チェリストの一人だと言ってもいいのではないかと思います。昨年、首席チェリストだったフランツ・バルトロメイが定年退職したので、その代わりになるのでしょう。
ソモダリについて、長々と書いたのは、彼のチェロがあまりに素晴らしかったからなんです。先輩格のシュトイデを完全に食っていて、大変、美しいチェロの響きにうっとりとしてしまったのが、ブラームスの2重協奏曲の印象です。
もちろん、楽友協会のグローサーザールに渋く響くブラームスには、大変な感銘を受けました。ウィーン・フィルのいつものブラームスのような美しい響きというよりも、まるでドイツのオーケストラのような落ち着いた渋い響きだったのには驚きました。交響曲ではなく、協奏曲だったので、抑えた響きになったのでしょうか。心にじわじわと沁みこんでくるようなブラームスの響きが、この楽友協会の美しいホールで聴けて、大変な幸福感を味わいました。ただ、不満だったのは、木管の出来がよくないことです。当然、名人技を期待していただけに、響きがよくないことにがっかりです。後半のベルリオーズは木管が重要なので、とても心配です。

長い休憩後、ベルリオーズの幻想交響曲です。先ほど、ヴァイオリンのソロを弾いたシュトイデがコンサートマスター席に付き、その横にダナイローヴァがシフト。万全の体制ですね。ウィーン・フィルの団員でないソモダリは下がったようです。
ベルリオーズの幻想交響曲と言えば、どうしても、パリ管弦楽団の十八番のように思ってしまいますが、実はウィーン・フィルも昔から素晴らしい演奏をしていることを、今回、予習して、初めて知りました。ハイティンクがウィーン・フィルの客演に招かれるようになった頃、両者で録音したCDをヨーロッパに向かう機内で聴きました。ウィーン・フィルの美しい響き、そして、意外なほど、思い切った表現を付けたハイティンクの指揮によって、ミュンシュ+パリ管弦楽団と同レベルの素晴らしい演奏でした。残念ながら、この素晴らしいCDはカタログから消えていて、入手困難な状況にあります。もったいないことです。
そして、今夜のウィーン・フィルの演奏もありえないような美しさに満ちた演奏でした。第1楽章出だしの艶やかな高弦の響きはまるで夢のような世界。そして、圧巻だったのは第3楽章のアダージョです。弦のユニゾンの美しいこと! そして、木管の各パートの名人技、ブラームスとはうって違った出来です。コールアングレの深い響き、クラリネットの多彩な響き、素晴らしいってもんではありません。
第2楽章のワルツも流麗で気品に満ちていましたし、第4楽章の《断頭台への行進》はそれは迫力満点。第3楽章終盤から第4楽章にかけてのティンパニ奏者たちの神経質なほどの気合の入れようにも感銘を受けました。
そして、第5楽章の悪夢に狂奔する音楽の素晴らしさときたら、もう笑ってしまうほどです。実際、フィナーレの強烈なアンサンブルには、大口を開いて、声だけは出さずに笑っていました。凄い! 凄過ぎる!

そうそう、指揮のソヒエフ(ソキエフとも表記するいうです)はロシア出身の若手ですが、幻想交響曲、見事な指揮でした。ウィーン・フィルの自発性と自分の個性をうまく織り交ぜた巧みな指揮ぶりでした。今後、楽しみな指揮者です。

最後に、今日のプログラムをまとめておきます。

  指揮:トゥガン・ソヒエフ
  ヴァイオリン:フォルクハルト・シュトイデ
  チェロ:ペーター・ソモダリ
  管弦楽:ウィーン・フィル

ブラームス:ヴァイオリンとチェロのための2重協奏曲イ短調 Op.102

   《休憩》

ベルリオーズ:幻想交響曲 Op.14

今回の旅で楽友協会もウィーン・フィルもこの1回だけでしたが、十分に満足したコンサートでした。



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オペラ・美術が大好きでヨーロッパの旅にはまっています。音楽の聖地ウィーンが中心で、イタリア、フランス、ドイツも巡っています。国内外のオペラ・コンサートの体験もレポートします。

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08/07 00:28 sarai

えりちゃさん、saraiです。お久しぶりです。

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07/20 12:41 sarai

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04/23 21:47 

マーラー6番ですか・・・ハンマー打撃は勘弁してほしいものです。あったとしても、3回目の打撃だけは・・・

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