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倉敷散策:大原美術館

2010年11月1日月曜日~11月2日火曜日@横浜~倉敷~南九州/3回目

さて、倉敷に到着したのは午後3時。
ホテルの部屋に荷物も入れずに、急いで大原美術館に向かいます。

倉敷はこれまでも来たことがありますが、ちょうど、年末年始の休暇中だったりして、いつも大原美術館には縁がありませんでした。
閉館時間は5時までなので、何とか鑑賞できるでしょう。

アイビースクエアの裏門から出ると、すぐに倉敷川の流れる美観地区に出ます。ここには何度も来ていますが、相変わらず、風情がありますね。そんなに観光の垢にまみれていないのがいいですね。


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川沿いにゆったりと歩くと、すぐに大原美術館です。
立派な建物です。まずは外側から建物の外観を鑑賞します。


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とはいえ、時間が迫っているので、この大原美術館本館にともかく急いではいりましょう。
まず、入口で目に飛び込むには、この絵。


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大原美術館の根幹を成す絵の収集を行った児島虎次郎の描いた《和服を着たベルギーの少女》です。
大原美術館の功労者として、彼の絵が展示されていますが、それ以上の価値もある美しい作品です。

この美術館の素晴らしさはこれまでも紹介されてきましたが、自分の目で見て、十分にそれが確認できます。
それは一流の画家であった児島虎次郎の確かな目で名品が選び抜かれて収集されたこととそれを援助した大原孫三郎の懐の大きさが素晴らしいことです。
事実、当時の有名画家の傑作ばかりがほぼ1点か2点ずつ展示されていることで分かります。
モネの《積藁》は好きな作品群ではありませんが、ここの光に満ちた《積藁》はよい作品です。モネと言えば、児島虎次郎が直接画家自身から買い受けたという《睡蓮》も今でこそ、日本でもよく見られる作品ではありますが、早い時期に日本人に公開された価値のあるものです。


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モディリアーニは彼の作品の中でも最高レベルの作品。《ジャンヌ・エビュテルヌの肖像》です。モデルのジャンヌはモディリアーニの内縁の妻。彼女の油彩肖像画は20枚以上描かれていますが、この作品はジャンヌが妊娠している姿を描いたものです。


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ロートレックに至ってはなかなかお目にかかれない素晴らしい油絵です。《マルトX夫人の肖像 ボルドー》です。1900年から翌年にかけて、ボルドーに滞在した折に描かれました。女性のふとした表情から、その内面を表現するロートレックの才能はここでも遺憾なく発揮されていますね。


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ルノワールもなかなかよい。《泉による女》です。


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なかでもsaraiが驚嘆したのは、マティスの《マティス嬢の肖像》です。


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配偶者とこの絵はパーフェクトな絵だと感嘆します。暖かい眼差しの絵でマティスのこのような絵を見るのは初めてです。全体に落ち着いた渋い色調で安定した構図で高い完成度で、人間的なぬくもりを感じさせる絵です。それでいて、お洒落な感じも併せ持っています。また見にきたい絵ですね。
もちろん、この美術館の至宝、エル・グレコの《受胎告知》は特別な場所に1点だけ展示されていますが、これはエル・グレコの全作品中でも代表作と呼べる絵でしょう。このような絵が日本国内で見ることができるのは幸せなことです。


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意外なことに現代美術も充実しており、ピカソ、ブラック、カンディンスキー、デュフィの名品から、フォンタナ、ポロック、ロスコ、リキテンシュタインなどの有名画家の作品を網羅しているのは驚きます。

ピカソの《鳥かご》です。キュビズムの画風が希薄になってきています。


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デュフィの《ドーヴィルの競馬場》です。色彩感、構図ともに素晴らしいですね。


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一通り、最後まで見て、配偶者の発案でもう一度、最初の作品から見て回ることにします。それほど、価値があると感じさせてくれる名品揃いです。

あっと言う間に時間が経ち、本館を出るときには既に閉館時間の5時。
係の方に急げば、棟方志功の作品などを展示している工芸館も間に合いますよって言われますが、もう、良い意味で美術鑑賞欲を十分に満たしていましたので、その旨をお伝えし、遠慮させてもらいます。

日本のプライベート美術館でヨーロッパのそれにも優るとも劣らないものがあることを遅まきながら、実感できて、実り多い体験となりました。


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首都圏の様々なジャンルのクラシックコンサート、オペラの感動をレポートします。在京オケ・海外オケ、室内楽、ピアノ、古楽、声楽、オペラ。バロックから現代まで、幅広く、深く、クラシック音楽の真髄を堪能します。
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07/08 15:53 じじい@

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06/18 12:46 sarai

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