グザヴィエ・ドゥ・メストレ ハープ・リサイタル@紀尾井ホール 2016.1.8
ドゥ・メストレは元ウィーン・フィルの首席ハープ奏者で大変なイケメンです。女性に人気があるらしく、ホール内は女性であふれています。と言っても、ドゥ・メストレは大変な実力の持ち主です。天は二物を与えたんですね。
彼のハープ演奏は華麗さの中に哀感を湛えた響きが魅力です。
最初のペシェッティのソナタもそういう響きの美しい演奏です。特にアンダンテの第2楽章が魅力にあふれています。緩徐楽章にこそ、彼のハープの響きが活かされているように感じます。
プログラム前半では、タレガの《アルハンブラの思い出》とファリャの《スペイン舞曲》が手の内にはいった演奏で見事なものです。この2曲は前回聴いたコンサートでもアンコール曲で聴いたものです。余程、得意にしているのでしょう。
後半は前半よりも音の響きがよくなり、素晴らしい演奏です。チャイコフスキー原曲の《歌劇「エフゲニー・オネーギン」の主題による幻想曲》はロシアの憂鬱さを見事に表現し、深い陰りのある響きに魅せられます。反面、ワルツの明るさはなんだか浮いた感じ。これはハープという楽器の持つ長所と短所なんでしょうか。
ドビュッシーの3曲は原曲がピアノ曲であることを忘れさせるような快演。ハープの魅力に満ちた演奏です。東洋風の雰囲気が見事に表現された素晴らしい演奏。この日の最高の演奏でした。彼の参加するドビュッシーの《フルート、ヴィオラとハープのためのソナタ》を聴いてみたいものです。
“モルダウ”はハープのソロでよく、ここまで演奏するねって感じです。彼のハープの魅力全開というわけにはいきませんね。
独奏楽器としては、ピアノのような迫力に満ちた表現は難しいものの、透明感のある哀調を活かした響きは聴く者の心に沁み入ってきました。とても優雅なコンサートでした。
今日のプログラムは以下です。
ハープ:グザヴィエ・ドゥ・メストレ
ペシェッティ(X.メストレ編):ソナタ ハ短調
モーツァルト(X.メストレ編):ピアノ・ソナタ第16番 ハ長調 K.545
グリンカ:歌劇「魔笛」の主題による変奏曲 変ホ長調
リスト(H.ルニエ編):2つのロシア民謡より第1番《アリャビエフの夜鳴きうぐいす》
タレガ(X.メストレ編):アルハンブラの思い出
ファリャ(M.グランジャニー編):歌劇《はかなき人生》より ...「スペイン舞曲」第1番
《休憩》
チャイコフスキー(エカテリーナ・ワルターキューネ編):歌劇「エフゲニー・オネーギン」の主題による幻想曲
ドビュッシー:2つのアラベスク/月の光
スメタナ(H.トゥルネチェック編):交響詩「わが祖国」より“モルダウ”
《アンコール》
ゴトフロワ:ヴェニスの謝肉祭
ハチャトリアン:2つの小品より第2曲「トッカータ」
アンコールの1曲目の《ヴェニスの謝肉祭》は大変な力演。アンコールとは思えないほどです。なんだか、よく知っている曲だと思いながら聴いていましたが、この曲はフルートの名曲でしたね。昔、フルートでさわりの部分を吹いて楽しんでいた曲です。
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