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マタイ受難曲、ラ・プティット・バンド@東京オペラシティ コンサートホール 2016.3.5

クイケン率いるラ・プティット・バンドのバッハ《マタイ受難曲》はやはり素晴らしい音楽でした。ピリオド奏法はもちろんですが、アメリカの音楽学者ジョシュア・リフキンの提唱するOVPP(One Voice per Part)を実践する代表格がクイケン&ラ・プティット・バンドです。OVPPとは、合唱の1声部を一人で歌うというもので、独唱者たちだけで合唱もこなします。この日も2群に分かれた4人ずつの独唱者が重唱の形式で合唱パートを歌います。少年合唱はどうするんだろうと思っていると、舞台後方に立つソプラノ歌手が一人で少年合唱のパートを歌っていました。舞台後方の別働隊のような歌手はこのソプラノを含めて3人です。昨年聴いたバッハ・コレギウム・ジャパンも独唱者が合唱に参加しており、ほとんど、このOVPPと同様ではありましたが、クイケン&ラ・プティット・バンドは完全なOVPPの形式にのっとっています。
このピリオド奏法&OVPPによる《マタイ受難曲》ですが、CDで聴いたときよりも、合唱と管弦楽のバランスがよく、ともかく合唱がくっきりとしていて、ピュアーな響きです。コラールは1曲目の第1音を聴いたときにその響きの素晴らしさに感動してしまいました。ともかく、その後もコラールが歌われるたびに大変な感銘を受けました。普通の合唱に比べて、バッハが精魂込めて作曲したコラールの和声の素晴らしさが際立ちます。《マタイ受難曲》はイエスの受難の物語を音楽で描き出していますが、その悲惨とも言える物語を優しく包み込むのが要所要所に配置されたコラールです。そのコラールの胆になっているのが和声であることに今更ながら、思い至りました。和声の安定感、それもバッハが高いレベルで完成した和声は、聴くものの心を癒し、天国的な高みに飛翔させます。この《マタイ受難曲》では、数々の素晴らしいアリアもありますし、エヴァンゲリストの見事な語りもあり、今日の演奏はそれらも素晴らしかったのですが、8人の重唱による優しく感動的なコラールが最高でした。本来は独唱者や管弦楽にも触れないといけないのですが、コラールのあまりの素晴らしさに気持ちが向いてしまったので、それらの感想は割愛させてもらいます。あー、それにしてもとりわけ、繰り返し歌われた受難コラールの素晴らしさといったら・・・・!!!

今日のプログラムは以下です。

  音楽監督&ヴァイオリン:シギスヴァルト・クイケン
  ソプラノⅠ:ミンナ・ニーベリ
  ソプラノⅡ:マリー・クイケン
  アルトⅠ:ルチア・ナポリ
  アルトⅡ:リディア・ヴィネス・カーティス
  テノールⅠ & エヴァンゲリスト:シュテファン・シェルペ
  テノールⅡ:バルタザール・ズーニガ
  バスⅠ & イエス:シュテファン・ヴォック
  バスⅡ:イェンス・ハーマン
  管弦楽:ラ・プティット・バンド


  J.S.バッハ:マタイ受難曲BWV244

   1部と2部の間に《休憩》をはさみ、3時間ほどの長丁場の演奏

この《マタイ受難曲》は聖金曜日の音楽です。今年の聖金曜日は3月25日。日本では、その日には毎年、バッハ・コレギウム・ジャパンが《マタイ受難曲》を演奏する習わしになっているようです。したがって、海外から来日する団体の《マタイ受難曲》の演奏はその前に行われることになるようです。今日の公演もそのひとつ。来週は今日のピリオド奏法&OVPPとは対極にあるような聖トーマス教会合唱団&ゲヴァントハウス管弦楽団の演奏を聴く予定です。バッハの音楽の素晴らしいところは、色んな形態・様式の演奏それぞれで感動を受けられること。決して、こういう演奏でなければならないということはありません。それほど奥深い内容を秘めた音楽がこの《マタイ受難曲》です。今度はどんな楽しみ、発見があるでしょうか。


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オペラ・美術が大好きでヨーロッパの旅にはまっています。音楽の聖地ウィーンが中心で、イタリア、フランス、ドイツも巡っています。国内外のオペラ・コンサートの体験もレポートします。

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えりちゃさん、お久しぶりです。saraiです。

なかなか、海外渡航の見通し、立ちませんね。来年あたりはどうでしょうね。長期戦覚悟で我慢するしかありませんね。

こちら

04/10 02:37 sarai

saraiさま、
お久しぶりです!
お元気にコンサートや旅行を楽しんでおられますね!
ブログ、楽しく拝見しています。おフランス、良いね😊
私は春だというのに、仕事と用事以

04/09 05:29 えりちや

気になってたずねても 
誰にも知らんと言われなんやろ
と思いつづけて居ました❗
写真みつけてこれだと思いました❕スッとしました
教えて下さって嬉しいです
ありがとうご

02/13 22:26 みーちゃん

みーちゃんさん、saraiです。

あの謎の建物は雄琴沖総合自動観測所という施設で琵琶湖の水質を測定しているそうです。

https://www.water.go.jp/kansai/biwako/html/repo

02/13 21:40 sarai

ずーと前にうきみどうに行きました
やはり、琵琶湖の真ん中の建物が何なのか気になったままです
分かりましたか
教えてください

02/13 20:54 みーちゃん

五十棲郁子さん、コメントありがとうございます。

水道水のこと、tap waterって言うんですね。知らなかった。単にwaterで通していました。ましてや、フランス語はほとんど

02/11 00:12 sarai

フランスも地方へ行くと英語が通じないでしょう。tap water ぐらいフランス語で言えないとね。

02/10 12:54 五十棲郁子
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