FC2ブログ
 
  

第21回宮崎国際音楽祭「ヴェルニコフ・トリオ」~ウィーンの風にのせて~@都城市総合文化センター中ホール 2016.5.9

九州の実家に帰省するにあたり、ついでと言っては何ですが、宮崎国際音楽祭も聴いてみようとプログラムをチェックすると、面白そうな室内楽のコンサートを発見。ヴァイオリンのヴェルニコフ、ピアノの菊池洋子、チェロの古川展生でピアノ三重奏をやるようです。もっともその時点ではプログラムは発表されていませんでしたが、何でも構わないでしょう。~ウィーンの風にのせて~というタイトルが付いているので、ベートーヴェンなどのウィーンの作曲家の誰かの作品でしょう。

当日、車を走らせて、都城市総合文化センターに駆けつけました。もちろん、初めて訪れるホールです。なかなか立派なホールです。自由席なので、早めに並んで、2列目の中央の席をゲット。

前半はモーツァルトのピアノ・ソナタとヴァイオリン・ソナタが素晴らしい演奏。そうなんです。前半のプログラムはピアノ三重奏曲ではなくて、ピアノを軸としたデュオとソロの曲でした。久しぶりに聴く菊池洋子のモーツァルトのピアノ・ソナタは流石の演奏。濁りのないタッチでありながら、重量感も感じさせる独特のモーツァルトの演奏ですが、モーツァルト演奏のひとつの規範を示すような会心の演奏です。長大な第3楽章の変奏曲は変奏ごとに表情をがらっと変えながらの多面的なスタイルの演奏で楽趣は尽きません。意外に難しいモーツァルトを見事に弾きこなす菊池洋子はやはり只者ではありません。もっと評価が高まってもおかしくない逸材です。願わくば、聴き逃してしまったモーツァルトのピアノ・ソナタ全曲演奏会をもう一度企画してもらいたいものです。ところで4年ほど前に聴いた菊池洋子のリサイタルの記事はここです。モーツァルトのピアノ・ソナタ、中期の第10番と第14番を聴きました。今日と同様に素晴らしい演奏でした。

続くヴァイオリン・ソナタはヴェルニコフの安定感ある美音と菊池洋子の抑制された表現が相まって、見事としか言えない素晴らしい演奏。これまた、お二人のモーツァルトのヴァイオリン・ソナタの連続演奏会を聴きたいものです。シンプルなK.304の2楽章構成のソナタですが、第1楽章の第1主題はヴァイオリンの響きに物悲しさを感じます。短調の調べなんですね。予習で聴いたグリュミオー&ハスキルはもっと明るい印象がありましたが、より陰影を感じる演奏です。圧巻だったのは第2楽章。パリで最愛の母を亡くしたこともあるのでしょうが、繊細極まりない音楽です。その曲を奏でる2人の演奏はまさに天国的な高みにある美しさ。心にしみじみと響いてきます。これ以上のモーツァルト演奏は考えられないほどのパーフェクトな演奏にうっとりと聴き入りました。saraiがこれまでに聴いたモーツァルトのヴァイオリン・ソナタで最高の演奏でした。この短いソナタを聴くだけでもこのコンサートに足を運んだ甲斐がありました。

後半はシューベルトの晩年の大作の一つであるピアノ三重奏曲第2番 D.929です。晩年の特徴であるとっても長い作品です。50分を超える演奏でシューベルトを堪能しました。随所にシューベルトらしい美しいメロディーはありますが、歌謡性よりもダイナミックな表現が先行します。そのためにシューベルトの作品中、それほどの人気作になっていませんが、聴き込んでいくと、その起伏に富む音楽はシューベルトが晩年に作曲したというよりも、音楽的に絶頂に上り詰めていく過程の作品であることに思い至ります。せめて5年、できれば10年生きていてくれたら、シューベルトは大変な作品を遺してくれただろう・・・そう思わせてくれるような勢いに満ちた作品、そして、演奏でした。特にロンド・ソナタ形式の第4楽章はその長さも含めて、大変、聴き応えのある音楽であり、演奏でした。初聴きでしたが、聴けば聴くほど、その素晴らしさに捉われそうな予感がします。そういう演奏をプレゼントしてくれた3人の音楽家に感謝です。

プログラムとキャストは以下です。

  ヴァイオリン:バヴェル・ヴェルニコフ
  チェロ:古川展生
  ピアノ:菊池洋子

  ベートーヴェン:「ユダス・マカベウス」の「見よ勇者は帰る」の主題による12の変奏曲 ト長調 WoO.45
  モーツァルト:ピアノ・ソナタ第6番 ニ長調 K.284
  モーツァルト:ヴァイオリン・ソナタ 第21番 ホ短調 K.304

   《休憩》

  シューベルト:ピアノ三重奏曲第2番 変ホ長調 Op.100 D.929

   《アンコール》

   シューベルト:ピアノ三重奏曲第2番 変ホ長調 Op.100 D.929より第3楽章

ところで、慣れない都城市総合文化センターで女性スタッフのかたの献身的とも言えるご親切な対応に感銘を受けました。コンサート待ちのためのカフェを紹介いただいただけでなく、わざわざ案内までしていただきました。地方の文化の醸成に今後も力を尽くしてください。ありがとうございました。


↓ 音楽を愛する同好の士はポチっとクリックしてsaraiと気持ちを共有してください

 いいね!



関連記事

テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

コメントの投稿

非公開コメント

人気ランキング投票、よろしくね
ページ移動
プロフィール

sarai

Author:sarai
オペラ・美術が大好きでヨーロッパの旅にはまっています。音楽の聖地ウィーンが中心で、イタリア、フランス、ドイツも巡っています。国内外のオペラ・コンサートの体験もレポートします。

来訪者カウンター
CalendArchive
最新記事
カテゴリ
指揮者

ソプラノ

ピアニスト

ヴァイオリン

室内楽

演奏団体

リンク
Comment Balloon

えりちゃさん、お久しぶりです。saraiです。

なかなか、海外渡航の見通し、立ちませんね。来年あたりはどうでしょうね。長期戦覚悟で我慢するしかありませんね。

こちら

04/10 02:37 sarai

saraiさま、
お久しぶりです!
お元気にコンサートや旅行を楽しんでおられますね!
ブログ、楽しく拝見しています。おフランス、良いね😊
私は春だというのに、仕事と用事以

04/09 05:29 えりちや

気になってたずねても 
誰にも知らんと言われなんやろ
と思いつづけて居ました❗
写真みつけてこれだと思いました❕スッとしました
教えて下さって嬉しいです
ありがとうご

02/13 22:26 みーちゃん

みーちゃんさん、saraiです。

あの謎の建物は雄琴沖総合自動観測所という施設で琵琶湖の水質を測定しているそうです。

https://www.water.go.jp/kansai/biwako/html/repo

02/13 21:40 sarai

ずーと前にうきみどうに行きました
やはり、琵琶湖の真ん中の建物が何なのか気になったままです
分かりましたか
教えてください

02/13 20:54 みーちゃん

五十棲郁子さん、コメントありがとうございます。

水道水のこと、tap waterって言うんですね。知らなかった。単にwaterで通していました。ましてや、フランス語はほとんど

02/11 00:12 sarai

フランスも地方へ行くと英語が通じないでしょう。tap water ぐらいフランス語で言えないとね。

02/10 12:54 五十棲郁子
月別アーカイブ
検索フォーム
RSSリンクの表示
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR