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ゲント散策:聖バーフ大聖堂の祭壇画≪神秘の子羊≫に感動!!

2015年6月30日火曜日@ゲント/2回目

聖バーフ大聖堂Sint-Baafskathedraalの祭壇画≪神秘の子羊Het Lam Gods≫に遂に対面します。375×520cmという大きな多翼祭壇画です。大聖堂内の有料エリアに設置されています。朝一番でまだ見学者もまばらです。ファン・エイク兄弟が描いた油彩画は完璧な出来栄えです。

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画面上でじっとこちらを見つめる子羊の姿は神々しいとしか表現できません。子羊は人類の罪を贖うために十字架に懸けられたイエスを象徴するものです。体から血を流しています。子羊の手前には生命の泉から清らかな水がこんこんと湧き出しています。イエスの復活を象徴しています。圧倒的な画面の美しさに茫然として見入るだけです。いやでも子羊のこちらを見つめる視線に捉われてしまいます。そして、罪深いsaraiの心の中を見透かすかの如くです。もっとまっとうな人生に立ち返らないといけないという切迫した気持ちが沸き起こります。

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聖母マリアやキリスト(神という説もある)も実に細密な表現で、これが油彩画の初期の作品とは信じられません。フランドル絵画を代表するだけでなく、西欧絵画の最大傑作と言っても過言でありません。やはり、人生でこの作品を見るという行為を怠らなかったのは大正解でした。

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現在、修復作業中ですが、パネルを順番に修復していており、現在は扉の裏側のパネル(外装パネル)を修復中。表側の12枚のパネル(内装パネル)は普通に展示されていて、ラッキーです。

12枚のパネル(内装パネル)を順にご紹介しましょう。これらのパネルは《ヨハネの黙示録》で世界の終りの後に訪れる永遠の神の国の幻想のフィナーレで、人類の罪が赦されて、神の国の都《天上のエルサレム》が出現する様を描いています。

上段のパネルを左側から見ていきます。

《アダム》です。(上部は《カインとアベル》)

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《合唱する天使》です。

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《聖母マリア》です。

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《父なる神(キリスト)》です。

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《洗礼者ヨハネ》です。

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《奏楽する天使》です。

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《イヴ》です。(上部は《カインのアベル殺害》)

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下段のパネルを左側から見ていきます。

《正義の裁判官》です。このパネルは1934年に盗難にあい、現在も行方不明です。ここに展示されているのはゲントの祭壇画がナチスの略奪にあった後、戦後、ベルギーに返還された際に損傷したパネルを修復した際に新たに作成された複製画です。

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《騎士》です。

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《神秘の子羊の礼拝》です。

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《隠者》です。

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《礼拝者》です。

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実は最下段にもう1枚、細長いパネルが1枚あったそうです。キリストが地獄の死者を救う場面が描かれていたそうです。これが揃えば、人類の救済という究極のテーマが完璧に完成した筈です。このパネルがもし発見されることがあれば、人類史上の大発見になります。そして、多くの人がこの作品でさらなる安寧を得られることでしょう。

フーベルトとヤンのファン・エイク兄弟は大変な作品を世を遺してくれました。以後の芸術家はこれ以上の作品は描けないと嘆いたそうです。なお、兄のフーベルトはこの作品の制作中の1426年に亡くなり、その画業や生涯は今も謎に包まれたままです。この作品が完成したのはフーベルトの死後6年経った1432年のことだとされています。最終的には弟のヤンが完成させましたが、兄フーベルトの偉業は燦然と輝いています。惜しまれるフーベルトの死でしたが、弟のヤンもこの作品を完成した後、わずか10年でこの世を去ります。saraiの個人的な見解では、あまりに緻密な細密画の制作が二人の命を縮めたんだろうと確信しています。もっとも、その素晴らしい細密画が二人に永遠の命を与えたとも言えます。さても芸術家の運命は過酷なものですね。

この祭壇画は昔、通常は裏のパネル(外装パネル)で閉じられた状態になっていて、特別な場合だけ外装パネルが開かれて、内装パネルが公開されたそうです。有力者や多額の寄進をしたものはその内装パネルを特別に見ることができ、saraiのような一般大衆は祭礼のときだけに多くの群集の雑踏のなかでちらっと見ることだけができたそうです。特別な祭壇画だったんですね。今、こうして、簡単に祭壇画を見ることのできるsaraiはいかに幸福なんでしょう。

祭壇画の裏の外装パネルは、裏に周って見ることができるように展示されています。
裏の外装パネルは抑えた色調で3階建ての家の内部をイメージして描かれています。3階はキリスト誕生を預言する旧約聖書に登場する預言者のふたりと巫女、2階は受胎告知の場面、1階は左右に寄進者ヨドクス・フェイトとその妻、中央に洗礼者聖ヨハネと福音書記者ヨハネが描かれています。

これが左側の裏の外装パネルです。

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これが右側の裏の外装パネルです。

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実際は一部、修復中で見られない外装パネルもありました。そのパネル修復中の様子が見られるそうなので、この後、ゲント美術館に行きましょう。



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ジャンル : 海外情報

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オペラ・美術が大好きでヨーロッパの旅にはまっています。音楽の聖地ウィーンが中心で、イタリア、フランス、ドイツも巡っています。国内外のオペラ・コンサートの体験もレポートします。

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ありがたいコメント、嬉しいです。マーラーのファンのかたにこそ、読んでいただきたかったので、気持ちを共有できた思いです。自然の中にこそ、マーラーの音楽の本質はあり

04/23 23:45 sarai

マーラーの作品を聴きながら、ブログを読ませていただいています。
読みながら画像を見て、マーラーの過ごした風景に想いを馳せて楽しんでいます。
素敵なブログをありがと

04/23 21:47 

マーラー6番ですか・・・ハンマー打撃は勘弁してほしいものです。あったとしても、3回目の打撃だけは・・・

04/11 18:10 sarai

まさにマーラー6番な状況です笑

04/11 17:51 kico

お互い、残念でしたね。今年でヨーロッパ遠征を終わりにする予定でしたが、悲劇的な状況になりました。天はまだ我に旅を続けよというご託宣を与えたのでしょうか。1年延期

04/11 03:13 sarai

以前にもコメントさせていただいた者です。来ましたね、楽友協会からのメール。私たちはとりあえず1年延期としましたが、どうでしょうね。困っている人が多い中贅沢な悩み

04/11 00:33 kico

お返事ありがとうございます。
本当に!私もレイルジェットや美術館の手配もしているので、祈るような気持ちです。

03/10 19:06 kico
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