レジス・パスキエ&金子陽子 デュオ・リサイタル@横浜上大岡ひまわりの郷 2016.5.15
そのアンコール曲ですが、フォーレを思わせるようなフランスの香り高い音楽です。パスキエの演奏と言ったら、それまで本編で弾いていたウィーンの作曲家の作品とはうって変わって、実にナイーブな感覚の演奏です。思い入れの深い作品のようです。とても素晴らしい演奏にうっとりと聴き入ってしまいました。こういう演奏をするんだったら、本編もラヴェルとかドビュッシーとかフォーレとか言ったフランス音楽を聴かせてくれたらよかったのにと思ってしまいました。この作品を作曲したリリ・ブーランジェはとても才能に恵まれた作曲家で若くしてパリ音楽院で女性として初めてローマ大賞を受賞した人でしたが、幼い頃から臓器不全に冒されていて、24歳で夭折してしまったそうです。パスキエは日本の聴衆にこういう素晴らしい作曲家がいたことを紹介しようとしたんでしょう。素晴らしいアンコール曲の演奏に本編の演奏のとき以上に熱くなって拍手を送りました。きっと、パスキエはリリ・ブーランジェの姉のナディアから直伝でこの曲を学んだに違いありませんね。とてもよいものが聴けて、満足です。
肝心の本編の演奏ですが、モーツァルトもベートーヴェンも真面目できっちりした演奏で文句の付け所はありませんが、saraiとしてはもっと柔らかいウィーン風の演奏が好みです。シューベルトも同じ感想ですが、それでも、最後の幻想曲は名曲ですから、第2楽章の美しさには聴き入ってしまいました。それにしても幻想曲は演奏上、大変な難曲であることも分かりました。それに晩年のシューベルトはどれも長いですね。
今日のプログラムは以下です。
ヴァイオリン:レジス・パスキエ
ピアノ:金子陽子
モーツァルト:ヴァイオリン・ソナタ 第41番 K.481
ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ 第7番 Op.30-2
《休憩》
シューベルト:ヴァイオリンとピアノのためのソナチネ 第1番 D.384
シューベルト:幻想曲 D.934
《アンコール》
リリ・ブーランジェ:ヴァイオリンとピアノのための夜想曲 ヘ長調
実はレジス・パスキエの演奏はこの同じホールで5年ほど前に聴いています。そのときのブログの記事を読んでみると、まったく今日と同じような感想だったので思わず笑ってしまいました。やはり、フランスものがよいようです。それに硬質な演奏はバルトークにむいているようです。そのときの記事はここです。
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