ブルージュ散策:メムリンクの傑作《聖ヨハネ祭壇画》
聖ヨハネ施療院Sint-Janshospitaal内のメムリンク美術館Hospitaalmuseum Memling in Sint Janでメムリンクの最高傑作の《聖ウルスラの聖遺物箱》を始め、メムリンクの名品の数々と対面しています。
次は《聖ヨハネ祭壇画》(聖カタリナの神秘の結婚)です。これは礼拝堂のようにしつらえられた一画に展示されています。これもメムリンクの最高傑作のひとつでしょう。素晴らしい作品です。

これが中央のパネルです。聖母マリアに抱かれた幼子イエスによって、聖カタリナの指に指輪がはめられています。聖カタリナのモデルになったのはブルゴーニュ公国の美しき姫君マリー・ド・ブルゴーニュだという説があるそうです。マリー・ド・ブルゴーニュはハプスブルグ家出身の神聖ローマ帝国皇帝マキシミリアン1世と結婚しますが、若くして落馬事故でこの世を去ることになります。彼女はブルゴーニュ公国の最後の君主で民衆から絶大な人気があったそうです。ですから、ここでも聖カタリナのモデルになったんでしょう。ちなみにハプスブルグ家はこの結婚で大きく領土を広げることになりました。絵の話に戻りましょう。エジプト・アレキサンドリアの知事コンストゥスの娘だった聖カタリナは名声、富、容姿と知性に恵まれていましたが、キリスト教の隠者から「その方(キリスト)の美は太陽の輝きよりも勝り、知性は万物を治める。富は世界の隅々にまで広がっている」と諭されて、自分の結婚相手にふさわしい人物はキリストということを自覚するようになります。そして、彼女は幻想のなかで天国に行き、キリストと婚約することになります。この中央のパネルはその場面を描いたものです。したがって、この祭壇画には『聖カタリナの神秘の結婚』という副題が付けられています。それにしても、この天国のシーンでの女性たちがみな美しいですね。メムリンクの素晴らしい筆さばきです。

左翼のパネルには洗礼者聖ヨハネが斬首された場面が描かれています。

右翼のパネルには福音書記者聖ヨハネが流刑先のパトモス島で黙示録を書き終えた後、天国を見に行った様子が描かれています。そこには神を讃える4つの生き物と24人の長老がいたそうです。

左翼のパネルの裏面は閉扉時に見られるものですが、ここには聖ヒエロニムスとパドヴァの聖アントニウス、2人の寄進者アントニオ・セーヘルスとヤコプ・デ・ケウニンクが描かれています。

右翼のパネルの裏面も同様に閉扉時に見られるものですが、ここには聖アグネスと聖クララ、2人の女性寄進者アグネス・カセンブロードとクララ・ヴァン・フルセン(聖ヨハネ施療院の看護人と婦長)が描かれています。

聖ヨハネ施療院のシンボルとしてメムリンクに委嘱した絵画ですが、本当に素晴らしい出来栄えの作品です。この作品を見ずして、メムリンクは語れません。
次は《マールテン・ニューエンホーフェの二連画》です。左翼にはとびっきり美しい聖母マリアが描かれています。マリアはイエスにリンゴを渡そうとしています。リンゴは人類の救済、すなわち受難の象徴だそうです。イエスが新たなアダムとしての役割を担って、自らを犠牲にして原罪を消し去るということです。右翼にはこの二連画の寄進者マールテンが描かれています。右の窓のステンドグラスには聖マルティヌスが描かれています。聖マルティヌスはマールテンの守護聖人です。
この二連画はのちにブリュージュ市長となったマールテン・ファン・ニューエンホーフェが23歳のとき、信仰の証しとして寄進したものです。なお、背景に描かれているのはブルージュの愛の湖Minnewaterだということです。まさにこのブルージュゆかりの作品です。

次は《若い女性の肖像》です。女性は両手を額縁に置いているように見えますね。だまし絵の技法です。

これでメムリンクの6作品すべてを見ることができました。メムリンクの素晴らしさを堪能しました。なかでもベルギー7大秘宝の一つとされる《聖ウルスラの聖遺物箱》、それに《聖ヨハネ祭壇画》の素晴らしさはどうでしょう。大変、素晴らしい作品を楽しめました。
いやぁ、半端じゃない暑さです。ホテルで休憩しましょう。市街の中心にあるホテルは助かります。もうチェックインの時間です。ホテルのレセプションでは先客がいますが、すぐにチェックインできます。

早速、部屋に入ります。カナルビューの部屋を予約しておきました。運河に面した素敵な部屋です。窓からは運河が見下ろせます。

使いやすそうなデスクです。壁には雰囲気のよい絵が架かっています。

ベッドの上から窓を通した外の風景が楽しめそうです。

2つの窓から風景を楽しめます。

水回りもチェック。依頼しておいた通り、ちゃんとバスタブがあります。

窓の外、左のほうには、市庁舎の裏の建物が見えています。

運河を見下ろします。右手前には運河クルーズの乗り場が見えます。先ほど観光船に乗ったところです。

部屋にいながら、ブルージュの景色が楽しめます。窓を全開し、小さな扇風機を最強にしてベッドに横になっていたら、眠り込んでしまいました。気持ちのよい午睡です。部屋の窓から運河を見おろしながら、惰眠をむさぼります。じっとり汗ばんで目覚めました。本当に暑いです。
配偶者は、とりあえずお洗濯、saraiはせっせとブログ書き。
夕方を過ぎても一向に暑さは尋常ではありませんが、夜7時半ころになったので、食事にでかけることにします。
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