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4人だけのウィーン・フィル再び:シュトイデ・カルテット@鶴見サルビアホール 2014.11.21

今年6月のキュッヒル・カルテットに続き、ウィーン・フィルのメンバーで固めた弦楽四重奏団の演奏を聴きます。第1ヴァイオリンのシュトイデはキュッヒルと同じく、ウィーン・フィルの現役コンサート・マスター4人のうちの一人ですが、まだまだ、若手のヴァイオリニストです。ほかのメンバーも若く、キュッヒル・カルテットの精度の高い演奏に対して、シュトイデ・カルテットは元気がよく、勢いのある演奏です。とはいえ、どちらのカルテットも全員ウィーン・フィルのメンバーなので、ウィーン・フィルの響きを継承しており、室内楽というよりもウィーン・フィルのシュリンク版オーケストラという感じ。実際、弦楽四重奏団としては破格の豊かな響きです。今日のホールが客席が100しかないコンパクトなホールのせいもあり、音が大き過ぎるほどです。まあ、理屈抜きで聴き応えがあります。

今日のプログラムは以下です。

  弦楽四重奏:シュトイデ・カルテット
   第1ヴァイオリン:フォルクハイト・シュトイデ
   第2ヴァイオリン:ホルガー・グロー
   ヴィオラ:エルマー・ランダラー
   チェロ:ヴォルフガング・ヘルテル

  モーツァルト:弦楽四重奏曲第14番ト長調 K.387
  ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第11番ヘ短調 Op.95「セリオーソ」

   《休憩》

  シューベルト:弦楽四重奏曲第14番ニ短調 D.810「死と乙女」

   《アンコール》
    ドヴォルザーク:弦楽四重奏曲第12番 Op.96「アメリカ」より 第2楽章

1曲目のモーツァルトの弦楽四重奏曲第14番はいわゆるハイドン・セットの1番目を飾る曲。名曲です。勢いのあり、よく響く演奏でしたが、それがこの曲には少し裏目に出たようです。気持ちよくは聴けましたが、感銘を受けることはできませんでした。予習した以下のCDでは、ハーゲン・カルテットに近い演奏でしたが、もっとオーソドックスな演奏がぴったりくるような気がします。

 バリリ四重奏団、エマーソン・カルテット、ハーゲン・カルテット

バリリ四重奏団は時代は違いますが、やはり、ウィーン・フィルのメンバーで固めた弦楽四重奏団です。さすがに素晴らしい演奏でした。最近の演奏ではエマーソン・カルテットが出色の出来。ハーゲン・カルテットは少し、癖のある演奏で好き嫌いが分かれるでしょうが、saraiはもう一つに感じました。

2曲目はベートーヴェン中期の最後を飾る第11番、いわゆる、「セリオーソ」です。これはシュトイデ・カルテットの強い響きがぴったりとはまり、素晴らしい演奏でした。特に第4楽章の有名な旋律を聴いて、高揚感を味わうことができました。今年6月にキュッヒル・カルテットでも同じ曲を聴きましたが、その演奏も素晴らしく、この曲は、変な言い方ですが、ウィーン・フィルと相性のよい曲のような気がします。予習したのは以下のCD。

 ブッシュ四重奏団(1932年)、ヴェーグ四重奏団の新盤

ブッシュ四重奏団は間違いなく、素晴らしい演奏ですが、今回、初めて聴いたヴェーグ四重奏団の演奏に大変、感銘を受けました。中期の四重奏曲の勢いと後期のヴェーグ四重奏団の味わい深さを兼ね備えたような名演でした。

休憩後はシューベルトの弦楽四重奏曲の名曲中の名曲、第14番「死と乙女」です。これは素晴らしい演奏でした。まさに一糸乱れぬアンサンブル、鉄壁の演奏です。ウィーン・フィルのメンバーならではの響きとアンサンブル。この曲は本当は切々たる味わいの深い演奏が好きなのですが、今日のような第1楽章のバリバリとした演奏、そして、第2楽章では対極的に抑えた表現と見事に弾き分けられると納得せざるを得ません。第4楽章のフィナーレの凄まじいアンサンブルも迫力たっぷりで感銘を受けました。予習したのは以下のCD。

 ブッシュ四重奏団(LPレコード)、メロス・カルテット

ブッシュ四重奏団のLPレコードはsaraiにとって、宝物のようなものです。中古レコード屋さんをあさっていて、発掘したものです。saraiの理想の演奏です。CDも持っていますが、響きが違います。メロス・カルテットのシューベルト弦楽四重奏曲全集はリファレンス盤のようなものです。ただ、ブッシュ四重奏団のような、沁み入るような抒情はブッシュ四重奏団だけのものです。

アンコールは、これも名曲中の名曲、ドヴォルザークの「アメリカ」です。ちょっと、思いっ切り弾き過ぎのような気もしましたが、それはそれで見事な演奏でした。満足です。

今日はモーツァルト、ベートーヴェン、シューベルトというウィーンを代表する作曲家の名曲をウィーン・フィルのメンバーで聴けて、とても幸せなコンサートでした。






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