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パシフィカ・クァルテット:ショスタコーヴィチ・プロジェクト第2回@鶴見サルビアホール 2016.6.13

今日はパシフィカ・クァルテットによるショスタコーヴィチの弦楽四重奏曲全15曲チクルスの2回目を聴きます。初日から大変な熱演でしたが、今日はさらに素晴らしい演奏。特に前半に演奏された第5番と後半に演奏された第8番は会心の演奏に圧倒される思いでした。

今日のプログラムは以下のとおりです。

  ショスタコーヴィチ・プロジェクト

  パシフィカ・クァルテット
    シミン・ガナートラvn、 シッビ・バーンハートソンvn
    マスミ・バーロスタードva、 ブランドン・ヴェイモスvc

  弦楽四重奏曲 第4番 Op.83
  弦楽四重奏曲 第5番 Op.92

   《休憩》

  弦楽四重奏曲 第6番 Op.101
  弦楽四重奏曲 第8番 Op.110

今日は既に初日に演奏された第7番を除き、第4番から第8番までを聴きます。ショスタコーヴィチにとってはジダーノフ批判を浴びて厳しい冬の時代、そして、スターリンの死を経て、フルシチョフ体制に移行して、比較的、自由な創作活動が行えるようになった時期にあたり、作品の雰囲気も変遷していきます。

まず最初は第4番です。もう、すっかりとパシフィカ・クァルテットの演奏スタイルは分かっているので、ほぼ、予想通りの演奏です。作品自体はジダーノフ批判を浴びて、交響曲の作曲もできない状況ですが、それほど鬱屈した音楽になっているわけではありません。パシフィカ・クァルテットの美しくてロマンティックな表現で聴くと、そういう厳しい冬の時代の作品には思えません。それにしても、ショスタコーヴィチの弦楽四重奏曲は同じようなパッセージが執拗に繰り返されます。ある意味、聴く側はそれを我慢しながら聴くわけで、まるで修行のようなものです。ここに集まった100人の聴衆はよほどの物好きですね。もちろん、saraiもそうなんですけどね。しかし、パシフィカ・クァルテットの第1ヴァイオリンのシミン・ガナートラはとてもロマンティックなメロディーを奏でてくれて、これがショスタコーヴィチなのかと疑いたくなるような演奏で耳を楽しませてくれます。もちろん、クールな演奏もよいのでしょうが、これが彼女のスタイルなんですね。厳しい時代のショスタコーヴィチの作品もロマンティックなスタイルで聴かせてもらいました。

次の第5番は大変な力演でした。3楽章が続けて演奏されますが、長大な作品です。同じようなメロディーが執拗に繰り返されます。ドミトリー・ショスタコーヴィチの頭文字DSHの音型が基本になっています。第2楽章は瞑想的な音楽をシミン・ガナートラのヴァイオリンが実にロマンティックに奏でてくれます。もう、うっとりして聴き入ります。よい意味でショスタコーヴィチではありません。一転して、第3楽章は激しい音楽に心が揺さぶられます。こういう強烈なインパクトの演奏もパシフィカ・クァルテットの得意とするところのようです。いやはや、第5番の素晴らしさにすっかり魅惑されました。ところでこの作品の後に交響曲第10番が作曲されることになります。同じようなベースを持つ両曲ですが、今日の演奏を聴く限り、まったく印象を異にします。交響曲第10番と言えば、saraiの持つ印象は沈痛さということに尽きます。一方、今日の弦楽四重奏曲第5番は美しくて、希望さえ感じられるような音楽です。パシフィカ・クァルテットは救いのある音楽をプレゼントしてくれました。持ち前の温か味のある響きがそう感じさせてくれるようです。こういうショスタコーヴィチもよいでしょう。

休憩後、第6番です。最初の妻ニーナの死、母の死もありましたが、私生活でも第2の妻マルガリータとの結婚(短命には終わりましたが)もあり、決定的なのはスターリン体制の崩壊で自由な作曲環境になったのが大きいのでしょう。ショスタコーヴィチにしてはとても明るい音楽です。パシフィカ・クァルテットが演奏するとさらに明るい音楽になります。しかし、第3楽章はパシフィカ・クァルテットが演奏しても哀しい挽歌です。でもロマンティックで心に響きます。4楽章中、白眉の音楽に耳を傾けました。

最後は第8番です。ショスタコーヴィチの弦楽四重奏曲中、恐らく一番人気でよく演奏される音楽です。ショスタコーヴィチの弦楽四重奏曲は内省的な音楽がほとんどですが、この作品は例外的に外面的な派手さもあり、聴きやすい作品です。パシフィカ・クァルテットはその音楽を見事に盛り上げて演奏してくれました。一番集中して聴けました。ダイナミックな部分の演奏の強烈なインパクトはもちろん、ちょっとしたメロディアスなところの表現の温かさも心に響いてきます。ここまで第1番から第8番まで聴きましたが、この第8番が最高に素晴らしい演奏に思えました。

これで半分聴きました。あと残り半分のコンサートが続きます。次第に難しい音楽に入っていきます。さて、どう聴かせてくれるでしょうか。


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ジャンル : 音楽

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オペラ・美術が大好きでヨーロッパの旅にはまっています。音楽の聖地ウィーンが中心で、イタリア、フランス、ドイツも巡っています。国内外のオペラ・コンサートの体験もレポートします。

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06/23 23:50 sarai

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11/09 22:13 sarai

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