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河村尚子の熱いラフマニノフ_山田和樹&バーミンガム市交響楽団@サントリーホール 2016.6.28

河村尚子がラフマニノフのピアノ協奏曲第3番を弾くというので、大変期待して聴きに行くことにしました。河村尚子と言えば、彼女の弾いたプロコフィエフの戦争ソナタの1曲、ピアノ・ソナタ第6番の圧巻の演奏は今でも忘れられません。そのときの記事はここです。こんなにプロコフィエフが弾けるんだから、当然、ラフマニノフも素晴らしいに違いないというのがsaraiの意見なんです。で、どうだったかというと、saraiの期待に応えてくれる素晴らしい演奏です。冒頭のシンプルなメロディーのところはえらくまろやかな響きでエッと驚きましたが、それはテクニック的に余裕のパートだからなんだと思いました。もっと鮮鋭な響きなんだろうと想像していたからの驚きでしたが、彼女はそのまろやかな響きでこの難曲の難しいパートも弾きこなしていきます。フォルテッシモでは流石にまろやかな響きは崩れて、割れんばかりの大音響が炸裂します。なかなかのパワーです。もっともsaraiは最前列でピアノの真ん前で聴いているので、もっと後ろの席ならば、フォルテッシモでももっとまろやかに響くのかもしれません。いずれにせよ、最前列ではピアノとオーケストラのバランスが崩れ、ほとんどピアノの音しか聴こえません。でも、saraiのようなピアノ好きにはそれは承知の上のことで、その崩れたバランスでいいんです。第1楽章、第2楽章と河村尚子の迫力満点のピアノに聴き惚れます。でも、ラフマニノフ特有のやるせなさが聴こえてこないのが唯一の不満です。美しいロマンティシズムは感じられるし、一種の狂気のような叫びも聴こえてきます。しかし、期待していた第3楽章が始まると、そういうsaraiの思いの数々はすべて吹っ飛びます。河村尚子の熱い響きが弾丸のようにsaraiの体を貫いていきます。凄い気魄も伝わってきます。もう、saraiはピアノの響きと一体化して、意識が飛びそうです。そして、クライマックスはフィナーレ。熱いロマンの響きがピアノとオーケストラから発せられて、感動の波が押し寄せてきます。音楽に浸る喜びに優るものは人生にはありません。素晴らし過ぎる河村尚子の熱いラフマニノフでした。

日本期待の若手指揮者である山田和樹は実は初聴きです。彼のマーラー・ツィクルスにも食指が動いたのですが、これ以上、音楽スケジュールがたて込むと大変なので自重しました。今日聴いた感想ですが、その素直な音楽性は好ましく思えました。妙な思い入れのない、よい意味で普通の音楽作りです。それにとても丁寧で手抜きのない音楽が流れます。それが如実に現れたのが最初に演奏されたベートーヴェンの『エグモント』序曲です。軽く演奏してもよかったのでしょうが、実に誠実に作り込まれた音楽に聴き入ってしまいました。きびきびと若さにあふれた音楽に爽やかささえ感じました。もちろん、きっちりとアインザッツも決め、重厚な音楽でもありました。でも一番の良さはオーソドックスな音楽表現であったことです。ベートーヴェンをベートーヴェンらしくということです。これは最後に演奏されたベートーヴェンの交響曲第7番にもそのままあてはまります。どこがどうという感想は控えますが、バーミンガム市交響楽団のしっかりしたアンサンブルを引き出して、正統的なベートーヴェンを聴かせてくれました。モダン過ぎず、重過ぎもせず、現代に演奏されるべきベートーヴェンという感じの演奏で、ワーグナーが絶賛して評した《舞踏の聖化(Apotheose des Tanzes)》を十分に表現し尽くした音楽作りに聴き惚れました。山田和樹は今後が楽しみである指揮者であることを実感しました。どういう方向に進んでいくのか注視していきたいですね。

今日のプログラムは以下です。

  指揮:山田和樹
  ピアノ:河村尚子
  管弦楽:バーミンガム市交響楽団

  ベートーヴェン:劇音楽『エグモント』序曲
  ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第3番ニ短調 Op.30
   《アンコール》 ラフマニノフ:エチュード Op.33-8

   《休憩》

   ベートーヴェン:交響曲第7番イ長調 Op.92

   《アンコール》
     ウォルトン:「ヘンリー5世」より「彼女の唇に触れて別れなん」


ところで今日の河村尚子の弾いたラフマニノフのピアノ協奏曲第3番はとても素晴らしかったのですが、未だにsaraiの聴いたベストのラフマニノフのピアノ協奏曲第3番は上原彩子の演奏です。そのときの記事はここです。もう4年前のことです。今の上原彩子ならば、もっと凄い演奏になりそうです。あー、聴きたい!!



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テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

       河村尚子,

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