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最高のモーツァルト!!《コジ・ファン・トゥッテ》@ザルツブルク音楽祭(フェルゼンライトシューレ) 2016.7.31

いやあ、こんな凄い公演が聴けるなんて、さすがにザルツブルク音楽祭ですね。もう満足を通り越して、唖然としてしましました。実は今回のザルツブルク音楽祭でsaraiが購入したチケットで最高額の公演なんです。会場は祝祭大劇場でなく、フェルゼンライトシューレだし、オーケストラはウィーン・フィルでなく、モーツァルテウムだし、指揮者も若手のダントーネだし、歌手も超一流ではないし・・・何故こんなにチケットが高いのって思いで公演に臨みます。そんなに期待していたわけではなく、ザルツブルク音楽祭でモーツァルトのオペラをひとつくらい聴いておかないといけないなっていう軽いノリでした。
会場はモーツァルト劇場と共通の入口です。入るとフェルゼンライトシューレの大きなロビーというか大広間が見えます。その広間の中ほどにホールへの入口があります。このホールは映画《サウンド・オブ・ミュージック》でコンクールのあった会場です。エーデルワイスの大合唱を聴いて感動した青春の日を思い出します。フェルゼンライトシューレは直訳すると岩窟乗馬学校で、乗馬学校の裏の岩山を利用した劇場です。映画ではまさにそういうイメージでしたが、今や、相当に改修されたようで、屋根はついているし(ステージ上方は開閉式)、座席は立派です。痕跡があるのは舞台後方の岩山をくりぬいた大きな3段の回廊と側面に露出している岩肌くらいなものです。このホールに入ると、まだ開演前なのに既に舞台上に役者が10人ほど上がって演技?中です。この舞台は見たことのないような広大なもので幕は下せないようです。野外オペラの一種なんですね。ですから、舞台は丸見えなので何か演技らしきものをしているのでしょう。演出家ベヒトルフの細かい気遣いが感じられます。saraiの席は前から2列目。1列目とも段差があるので、凄く見やすいです。オーケストラピットと最前列の間にはちょっと広めの通路があります。そして、ピットの前には舞台からの狭い通楼が巡らせてあります。オーケストラの前に出て、観客席の前でも歌うようです。まるでコンサート形式みたいです。てなことを観察したり、プログラム(高い! 9.5ユーロもする)を読んだりしているうちに開演です。
普通はここで序曲ですが、先に狂言回しのドン・アルフォンソが登場して、ちょっと何か歌って、さあ、序曲。おっ、なかなか素晴らしい響き・・・ザルツブルク・モーツアルテウムもなかなかやりますね。それにホールの響きもとてもよろしい。もちろん、ピリオド奏法ですが、オーケストラ自体はモダーンオーケストラですから、普通に聴こえます。途中からテンポが速まるところから、ぐっとオペラへの期待に気持ちが引き込まれていきます。序曲が流れるなか、舞台には登場人物は総登場。何故かフィオルディリージ、ドラベッラ、デスピーナの3人は正体不明の男たちに襲われて、眠り薬をかがされて、昏倒します。
このあとの展開は意外に素直な演出。衣装も普通です。もっと現代的な訳の分からない演出を覚悟していたので、ある意味、満足です。あらすじはここでは語りません。まずは若手の指揮者ダントーネの見事な音楽作りとザルツブルク・モーツアルテウムの健闘を称えたいところです。これだったら巨匠率いるウィーン・フィルと変わりませんね。そして、何と言っても、このホール(舞台がとても広い)の特性を生かした面白い演出が最高に素晴らしいです。使えるところはどこでも使うって感じですね。広い舞台のあちこち、オーケストラの前の通楼、奥の岩屋の回廊、観客席最前列の前の通路、どこでもありです。非常に立体的な演出です。音楽的にもよく考えられていて、ここぞという歌唱はオーケストラ前で歌われます。saraiの目の前ですから、とても迫力があります。音楽が分かり、モーツァルトがわかった演出家のなせる業です。さすがに演出家ベヒトルフの面目躍如ですね。
そして、フィオルディリージ役のユリア・クライターの美貌とその美しく澄み切った声の響きに魅了されました。昨年、ベルギーのゲントで聴いたフィガロの伯爵夫人も素晴らしい歌唱でしたが、今や、最高のモーツァルト歌いという感じです。独唱のアリアもよし、ドラベッラとの2重唱の美しさも最高です。また、ドン・アルフォンソを歌ったミヒャエル・ヴォッレの演技と歌、とても貫禄があり、知恵と悪を感じさせるものです。フェルナンドを歌ったマウロ・ペーターの伸びやかなテノールの響きも好感の持てるものでした。まあ、saraiはフィオルディリージとドラベッラが若くて美しく、それに美しい肢体なのが目の保養にもなりました。
ともかく6人の主要キャストが歌も演技も最高に素晴らしく、ザルツブルグのモーツァルトはさすがに格別でした。
ところで終幕は普通はわだかまりはあってもまるく収まりましたというのが通例ですが、お遊びで始めた恋愛ごっこでフィオルディリージとフェルランドは結構本気モードになり、それにやきもちを焼くグリエルモという構図で最後はまるく収まらないというのが今回の演出。saraiは納得の演出です。どうしてかっていうと、やはり、ソプラノとテノールが結ばれるのがオペラの定番ですから、なるべくそれに近い線がよろしいようで・・・。

キャストは以下です。

  指揮:オッタヴィオ・ダントーネOttavio Dantone
  演出:スヴェン・エリック・ベヒトルフSven-Eric Bechtolf

  フィオルディリージ:ユリア・クライターJulia Kleiter
  ドラベッラ:アンジェラ・ブロワーAngela Brower
  デスピーナ:マルティナ・ヤンコヴァMartina Janková
  フェルランド:マウロ・ペーターMauro Peter
  グリエルモ:アレッシオ・アルドゥイーニAlessio Arduini
  ドン・アルフォンソ:ミヒャエル・ヴォッレMichael Volle
  合唱(演技?):ウィーン・フィルハーモニー・アンゲリカ・プロコップ・サマーアカデミーのメンバー
  合唱:ウィーン国立歌劇場合唱団・コンサートユニオン(Konzertvereinigung Wiener Staatsopernchor)
  管弦楽:ザルツブルク・モーツアルテウム・オーケストラ

モーツァルトの生誕の地で始まったザルツブルク音楽祭で聴くモーツァルトのオペラは一味も二味も異なるものでした。


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オペラ・美術が大好きでヨーロッパの旅にはまっています。音楽の聖地ウィーンが中心で、イタリア、フランス、ドイツも巡っています。国内外のオペラ・コンサートの体験もレポートします。

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ありがたいコメント、嬉しいです。マーラーのファンのかたにこそ、読んでいただきたかったので、気持ちを共有できた思いです。自然の中にこそ、マーラーの音楽の本質はあり

04/23 23:45 sarai

マーラーの作品を聴きながら、ブログを読ませていただいています。
読みながら画像を見て、マーラーの過ごした風景に想いを馳せて楽しんでいます。
素敵なブログをありがと

04/23 21:47 

マーラー6番ですか・・・ハンマー打撃は勘弁してほしいものです。あったとしても、3回目の打撃だけは・・・

04/11 18:10 sarai

まさにマーラー6番な状況です笑

04/11 17:51 kico

お互い、残念でしたね。今年でヨーロッパ遠征を終わりにする予定でしたが、悲劇的な状況になりました。天はまだ我に旅を続けよというご託宣を与えたのでしょうか。1年延期

04/11 03:13 sarai

以前にもコメントさせていただいた者です。来ましたね、楽友協会からのメール。私たちはとりあえず1年延期としましたが、どうでしょうね。困っている人が多い中贅沢な悩み

04/11 00:33 kico

お返事ありがとうございます。
本当に!私もレイルジェットや美術館の手配もしているので、祈るような気持ちです。

03/10 19:06 kico
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