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圧巻のベートーヴェン!!ルドルフ・ブッフビンダー・ピアノ・リサイタル@ザルツブルク音楽祭(祝祭大劇場) 2016.8.2

ウィーンを代表するピアニストと言っても過言でないルドルフ・ブッフビンダーのピアノ・リサイタルを聴きます。祝祭大劇場が満員になったのはびっくり。彼の人気の度合いが分かりますね。実はこれまで機会がなく、saraiはブッフビンダーのピアノを生で聴くのはこれが初めてなんです。うつむき加減で元気なく舞台に現れたブッフビンダーはピアノの前に座るとシャキッとします。最初のハイドンのピアノ・ソナタを弾き始めますが、驚くほど色彩感豊かな響きです。もちろん美しい響きです。これがハイドンかと言う感じの豊かな響きですが、決してもたれるような音楽の流れではありません。残念ながらハイドンのピアノ・ソナタはほとんど聴き込んでいないので、詳細な部分までは聴きとることができませんがとても美しい演奏でした。2曲目のシューマンの謝肉祭は男性的というか、スケール感のある演奏です。そもそもシューマンのピアノ曲は大好きなので、とても楽しんで聴けます。シューマンらしい気分がくるくると変わっていくような曲想をダイナミックに演奏していきます。繊細で美しい部分と激しく大胆な部分のコントラストがくっきりとした演奏で特に強いタッチの演奏が目立ちます。最初と最後の祝典的なパートの演奏が見事です。パーフェクトな演奏という感じではありませんが、シューマンを満喫させてくれる演奏でした。シューマン好きとしては満足の演奏です。ロマンチストたるシューマンの爽やかさを楽しみました。

後半のベートーヴェンになると、ブッフビンダーの演奏がガラッと変わります。やはり、この人はベートーヴェン弾きなんですね。特にピアノ・ソナタ第10番はパーフェクトとも思える見事な演奏です。実に流麗で磨き抜かれた響き。この曲はこんな響きだったのかと再認識させられました。ピアノ・ソナタ第23番《熱情(アパッショナータ)》もピアノ・ソナタ第10番ほどでないにしても素晴らしい演奏です。ダイナミックというよりも繊細さが勝った演奏です。これがウィーン風なんでしょうか。ほどほどの熱さですが、とても美しい演奏です。引き込まれるように集中して聴いてしまいました。ブッフビンダーのベートーヴェンには脱帽です。こういう演奏が生で聴けるのは嬉しい限り。ベートーヴェンの偉大さも今更ながら感じさせられます。

アンコールがあるようです。曲目を紹介しますが、声が聴きとれません。演奏が始まった途端、あっと驚きます。ベートーヴェンの名曲中の名曲、《テンペスト》の第3楽章です。まさか、アンコールでこういう曲を取り上げるとは思ってもみない嬉しい驚き。《アパッショナータ》以上の素晴らしく充実した演奏でした。感激です。こんなものを弾いてくれたのでアンコールはもうお終いと思っていたら、もう1曲、弾くようです。今度もシューベルトという声が聴けただけ。弾き始めると、即興曲です。流麗な美しい響きの素晴らしい演奏。見事です。ここで満場、スタンディング・オベーション。すると、舞台を去るフェイントをかけて、また、ピアノに戻り、3曲目のアンコール。バッハです。耳馴染みのある曲ですが、曲名は思い当たりませんでした。心を落ち着かせてくれる演奏です。再び、満場、スタンディング・オベーションで名演奏を称えます。素晴らしいピアノ演奏でした。

プログラムは以下です。

  ハイドン:ピアノ・ソナタ第62番 変ホ長調 Hob.XVI:52
  シューマン:謝肉祭 Op.9

    《休憩》

  ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第10番 ト長調 Op.14-2
  ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第23番 ヘ短調 Op.57《熱情(アパッショナータ)》

    《アンコール》

  ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第17番 ニ短調 Op.31-2《テンペスト》 より 第3楽章 アレグレット
  シューベルト:即興曲 Op.90,D.899 第2番 変ホ長調
  バッハ:??



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首都圏の様々なジャンルのクラシックコンサート、オペラの感動をレポートします。在京オケ・海外オケ、室内楽、ピアノ、古楽、声楽、オペラ。バロックから現代まで、幅広く、深く、クラシック音楽の真髄を堪能します。
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08/04 21:31 G線上のアリア

じじいさん、コメントありがとうございます。saraiです。
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07/08 18:59 sarai

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07/08 15:53 じじい@

saraiです。
久々のコメント、ありがとうございます。
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06/18 12:46 sarai

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06/18 08:33 五十棲郁子

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05/13 23:47 sarai
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