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静謐の美に深く感動!!《ダナエの愛》@ザルツブルク音楽祭(祝祭大劇場) 2016.8.5

R・シュトラウスの晩年の音楽って、何て素晴らしいんでしょう。彼の書いた15のオペラのうち、最後の2つ、《ダナエの愛》と《カプリッチョ》はなにものにも代えがたい作品。そして、R・シュトラウスを聴くんだったらウィーン・フィルほど、色んな意味でふさわしいオーケストラはないでしょう。3年前に聴いた《カプリッチョ》に続き、遂に《ダナエの愛》もウィーン・フィルで聴くことができました。それもザルツブルグ音楽祭という特別な機会ですから、R・シュトラウス好きとしては感慨深いものがあります。1944年、R・シュトラウス自身でザルツブルグ音楽祭で初演する筈だったのが無念のゲネプロで終わり、R・シュトラウスの生前は結局、上演されることはありませんでした。そして、1952年に盟友クレメンス・クラウスの指揮で初演されたのもザルツブルグ音楽祭でした。いずれもオーケストラはウィーン・フィル。このザルツブルグ音楽祭でウィーン・フィルの演奏でこの《ダナエの愛》が聴けたのは望外の喜びです。

演奏は第3幕の後半、オーケストラの間奏のような美しい音楽が奏でられて、ダナエが心の平安と愛をしっとりと歌い上げるところから後はもう静謐な美に包まれて、静かな感動に心を浸すのみです。主役はウィーン・フィルの美しい響き。そして、それを引き出したウェルザー・メストのタクト。ストヤノヴァの美しい歌唱も心に響きます。ユピテル役のトマス・コニエチュニーのしみじみとした歌唱も心に沁みます。ウィーン・フィルの響きが静かに消えて、音楽が終わった後、本当の感動が心に残りました。R・シュトラウスは何て素晴らしい音楽を遺してくれたんでしょう。第2次世界大戦の激しい戦闘中に作られた音楽とは思えません。

今回の公演は第1幕、きらびやかな衣装と舞台装置で華々しく幕を開けます。ウィーン・フィルの演奏もウィーン国立歌劇場合唱団の合唱もそれにふさわしく、実に華々しく演奏されます。この派手とも思える劇的な展開は第2幕まで続きます。そして、第3幕後半に至り、それまでの展開の裏返しのように貧しさの中の愛と平安の物語に移り変わります。この対比が素晴らしいんです。見る者はこの物欲からの脱却に美を感じるでしょう。R・シュトラウスの芸術の力です。そして、今回の公演に参加した人々すべての熱意の結晶がこの素晴らしい演奏・舞台につながったのだと思います。
これまで、このオペラはあまりヴィデオ化されてきませんでしたが、今日はオーストリア放送協会が多くのカメラで録画していたので、きっとヴィデオ化されるでしょう。この素晴らしいオペラが正当に評価されるきっかけになることは間違いありません。また、今後、この公演をもとにウィーン国立歌劇場でも上演されることを望みたいと思います。

キャストは以下です。

  指揮:フランツ・ヴェルザー・メスト
  演出:アルヴィス・ヘルマニス

  ダナエ:クラッシミラ・ストヤノヴァ
  ユピテル:トマス・コニエチュニー
  ミダス(クリゾフェル):ゲルハルト・ジーゲル
  メルクール:ノルベルト・エルンスト
  ポリュックス:ヴォルフガング・アプリンガー=シュペルハッケ
  クサンテ:レジネ・ハングラー
  セメレ:マリア・チェレン
  オイローパ:オルガ・ベツメルトナ
  アルクメーネ:ミカエラ・ゼーリンガー
  レダ:ジェニファー・ジョンストン
  
  合唱:ウィーン国立歌劇場合唱団
  管弦楽:ウィーン・フィル

ところで先日、ひょんなこと(モーツァルテウムでの魔笛の作曲小屋探し)で日本人テノールのKさんと知り合いました。彼はウィーン国立歌劇場合唱団の一員として、今回の舞台の中央に立って、活躍していました。同胞として、嬉しかったです。今後の活躍をお祈りします。昨日の《マノン・レスコー》の合唱にも参加されていたようです。



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オペラ・美術が大好きでヨーロッパの旅にはまっています。音楽の聖地ウィーンが中心で、イタリア、フランス、ドイツも巡っています。国内外のオペラ・コンサートの体験もレポートします。

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昨日投稿した記事の一部に誤りがありました。ドイツ騎士団の中庭はパスしないで、ちゃんと見ていました。追記・修正しました。申し訳ありません。

08/07 00:28 sarai

えりちゃさん、saraiです。お久しぶりです。

これは昨年の9月のウィーンですが、現在のコロナ禍では、古き良き日という風情ですね。もう、ポスト・コロナでは、行けたにし

07/20 12:41 sarai

Saraiさま、
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新型コロナウィルス、自粛中。
このウィーンの散策を読んでいると、なんだか切なくて悲しくなってきました。
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06/14 23:46 Yuichironyjp

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04/23 23:45 sarai

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04/23 21:47 

マーラー6番ですか・・・ハンマー打撃は勘弁してほしいものです。あったとしても、3回目の打撃だけは・・・

04/11 18:10 sarai
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