会心のシベリウス:交響曲第1番_オッコー・カム&神奈川フィル@横浜みなとみらいホール 2016.10.15
オッコー・カムが振るシベリウスですから、素晴らしいだろうと期待して出かけましたが、期待以上の出来でした。特に後半の交響曲第1番、とりわけ第4楽章の素晴らしさには参りました。アンコールのカレリア組曲も見事な演奏で、すっかり、上機嫌になっての帰還になりました。来シーズンは神奈川フィルを聴くのはやめようと思っていましたが、今日の演奏で心が動きました。やはり、オーケストラは指揮者次第でこんなにも変われるものだということを再認識した次第です。
オッコー・カムを聴くのは一昨年末のラハティ交響楽団とのシベリウス・ツィクルス以来になります。そのときは交響曲第4番の演奏が最高でしたが、アンコール曲でラストに演奏された交響詩「フィンランディア」は圧巻の演奏でした。まずはその交響詩「フィンランディア」で今日のコンサートは幕が開きます。このところ出来の悪かった神奈川フィルの管、特に金管に不安感を持っていましたが、カムの見事なタクトは無難に金管をまとめます。少し抑え気味、8割くらいの演奏ですが、楽しく聴くことができます。それに弦と管のバランスのとり方も絶妙です。ラハティ交響楽団との最高の「フィンランディア」には及びませんでしたが、プログラムの冒頭ですから、これくらいの演奏で十分でしょう。やり過ぎると、後の曲とのバランスが崩れます。流石のシベリウスを堪能しました。
次は交響曲第7番です。この曲も「フィンランディア」同様、少し抑え気味、8割くらいの演奏です。曲の性格から言っても、爆発的な演奏は好ましくないので、この程度は妥当なところだと納得できる演奏です。もう少し、透明感のある響きだと最高ですが、ラハティ交響楽団とのシベリウス・ツィクルスでの演奏とそんなに差はなかったと思います。それにこの曲は元々、難解とも思える曲ですから、これ以上の演奏は望みません。
休憩後、最後は交響曲第1番です。これはよほど力を入れて、リハーサルを重ねたようです。大変な力演にsaraiも高揚させられました。実はラハティ交響楽団とのシベリウス・ツィクルスで最初に演奏された、この曲はアンサンブルが悪過ぎて、大変がっかりさせられた演奏だったんです。ですから、オッコー・カムがそのときの不出来だった演奏を今日こそ挽回してほしいと思っていましたが、そのsaraiの願いを見事にかなえてくれました。前半の抑え気味だった演奏とは打って変わって、かなり踏み込んだ演奏です。特に第4楽章は全開モードの演奏です。それでいて、アンサンブルは綺麗に揃っていました。快速パートの歯切れのよい演奏、中間部の抒情的な歌い込み、シベリウスの魅力を満喫しました。神奈川フィルの力量が100パーセント発揮された素晴らしい演奏に心が躍りました。不満だったのは会場の聴衆の反応が今一つだったことです。これだけの演奏はなかなか聴けるものではありません。そう言えば今日は都響のコンサートマスターの山本友重が何故かゲスト出演していました。彼の力も今日の会心の演奏に一役かっていたのでしょうか。
今日は定期演奏会なのになぜかアンコール曲が演奏されて、嬉しいびっくり。これがまた素晴らしい演奏。冒頭の弦楽合奏の素晴らしさにうっとりしました。オッコー・カムはラハティ交響楽団とのシベリウス・ツィクルスでも素晴らしいアンコール曲を聴かせてくれましたが、どうやら、アンコール曲がお得意のようです。きっと、これも十分にリハーサルしたんでしょう。「カレリア」組曲を全曲、聴かせてもらいたいところでした。
来シーズンはオッコー・カムのプログラムが組まれていないのがとても残念です。是非、シベリウスの交響曲第4番をやってほしいのですが、神奈川フィルの関係者のかたのご検討をお願いしたいところです。来来シーズンは何とか考えて下さいね。
今日のプログラムは以下です。
指揮:オッコー・カム
管弦楽:神奈川フィル
シベリウス:交響詩「フィンランディア」Op.26
シベリウス:交響曲第7番ハ長調Op.105
《休憩》
シベリウス:交響曲第1番ホ短調Op.39
《アンコール》
シベリウス:「カレリア」組曲op.11から第3曲《行進曲風に(アラ・マルチャ)》
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