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上原彩子の《展覧会の絵》は熱く燃焼!!@浜離宮朝日ホール 2016.10.20

まあ、上原彩子という人はなかなか理解しがたいところがあります。このところ、非常に素晴らしい演奏ばかり聴かせてもらいましたが、今日は起伏の多い内容で玉石混交の演奏でした。神をも恐れぬ業で今日の演奏を採点してみると、モーツァルトは可、シューマンは良、ムソルグスキーは特優、アンコールのラフマニノフは特優ということになります。つまり、ロシアもの、あるいは近代ものだけが素晴らしかったということになります。ドイツ・オーストリア系、あるいは古典およびロマン派はもう一つだったということです。よく考えると、これは今日だけのことではなくて、ずっとそうだったような気がします。ラフマニノフを中心にプロコフィエフ、チャイコフスキーなどのロシアもので、はずれはなかったような気がします。もっともロシアもの以外ではショパンのコンチェルトが素晴らしかったことを思い出します。ショパンも元をたどれば、東欧がルーツですから、ロシアに近いですね。あっ、ラヴェルも素晴らしかったこともありました。フランスものも意外に得意なのかな。何故、こんなことをつらつらと書き綴るかと言うと、上原彩子がバッハ、モーツァルト、ベートーヴェン、シューマンというドイツ系の音楽で本領を発揮できないかが不思議だからです。もっとも、saraiとしては別にラフマニノフだけを聴いていても一向に構いませんけどね。とても余人が対抗できないほどの素晴らしさです。

ということで、もうすでに今日のコンサートの内容は俯瞰してしまいましたが、一応、もう一度、おさらいしてみましょう。

最初のモーツァルトのピアノ・ソナタ第10番ですが、そもそもピアノの響きがsaraiが思い描くモーツァルトの響きとはかけ離れています。シンプルに粒立ちのよいタッチで弾いてもらいたいのですが、響かせ過ぎに思え、響きがピュアーでありません。音階の運びもスムーズさを欠きます。ピリスやペライアのような響き、さらに言うと古くはハスキルのような美しい響きを目指してほしいというのがsaraiの願いです。音楽的には第2楽章などは気持ち良くは聴けたんです。上原彩子にはもっともっと高いレベルで演奏を望みます。

次はシューマンの謝肉祭です。これはモーツァルトほど違和感はありませんが、やはり響かせ過ぎのように感じます。第1曲の《前口上Préambule》は急ぎ過ぎで響きが少し濁り、うるさい感じが残ります。ただ、弾き進めるにつれて、こちらの耳が慣れてきたのか、あるいは上原彩子のピアノの響きが洗練されてきたのか、第13曲《エストレラEstrella》あたりからは心に沁みるような響きに思えます。熱情的な演奏が迫力を増します。何となく、謝肉祭にしては熱すぎるような感はありますが、こういう演奏もありでしょう。もう少しピュアーな響きだったらベストだったでしょう。

休憩後、ムソルグスキーの組曲《展覧会の絵》です。前にも一度、上原彩子のピアノで聴いたことがありますが、そのときと同様に安定していて、それでいて、迫力のある切れ味十分な演奏です。第9曲の《ババ・ヤーガ》に至って、急に演奏がヒートアップします。物凄い迫力です。まるでリヒテルの伝説の名演を再現するかのようです。もちろん、ミスタッチも増えますが、そういうことは気にならないほどの迫力です。終曲の《キエフの大門》も凄まじい演奏。いやあ、見事な演奏でした。すっかり、満足しました。

アンコール曲のクライスラー原曲の《愛の悲しみ》は編曲とは言え、ラフマニノフそのものという曲。ラフマニノフを弾くときの上原彩子は鬼気迫るものがあります。素晴らしい演奏でした。この日、最高の演奏だったと思います。

今日のプログラムは以下です。

  モーツァルト:ピアノ・ソナタ第10番ハ長調 K.330
  シューマン:謝肉祭 Op.9

   《休憩》

  ムソルグスキー:組曲《展覧会の絵》

   《アンコール》

    クライスラー(ラフマニノフ編曲):愛の悲しみ

また、ラフマニノフを中心に据えたロシアもののプログラムを聴きたいものです。


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テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

       上原彩子,

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オペラ・美術が大好きでヨーロッパの旅にはまっています。音楽の聖地ウィーンが中心で、イタリア、フランス、ドイツも巡っています。国内外のオペラ・コンサートの体験もレポートします。

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ありがたいコメント、嬉しいです。マーラーのファンのかたにこそ、読んでいただきたかったので、気持ちを共有できた思いです。自然の中にこそ、マーラーの音楽の本質はあり

04/23 23:45 sarai

マーラーの作品を聴きながら、ブログを読ませていただいています。
読みながら画像を見て、マーラーの過ごした風景に想いを馳せて楽しんでいます。
素敵なブログをありがと

04/23 21:47 

マーラー6番ですか・・・ハンマー打撃は勘弁してほしいものです。あったとしても、3回目の打撃だけは・・・

04/11 18:10 sarai

まさにマーラー6番な状況です笑

04/11 17:51 kico

お互い、残念でしたね。今年でヨーロッパ遠征を終わりにする予定でしたが、悲劇的な状況になりました。天はまだ我に旅を続けよというご託宣を与えたのでしょうか。1年延期

04/11 03:13 sarai

以前にもコメントさせていただいた者です。来ましたね、楽友協会からのメール。私たちはとりあえず1年延期としましたが、どうでしょうね。困っている人が多い中贅沢な悩み

04/11 00:33 kico

お返事ありがとうございます。
本当に!私もレイルジェットや美術館の手配もしているので、祈るような気持ちです。

03/10 19:06 kico
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