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二人のシュトラウスからベートーヴェンまで魅惑の響き、ルートヴィヒ・チェンバー・プレイヤーズ@上大岡ひまわりの郷 2016.10.23

やっぱり、音楽って、実際に聴いてみないと分かりませんね。その存在すら知らなかったルートヴィヒ・チェンバー・プレイヤーズは達人揃いの素晴らしい室内楽グループでした。この7人の演奏家たちが滅法、上手い事に舌を巻きました。日本人主体の弦楽奏者、そして、管楽器奏者はシュトゥットガルト放送交響楽団の首席奏者という構成です。全員、ヨーロッパ在住ですから、来日コンサートということになります。

まずはJ.シュトラウスの「こうもり」序曲 。一人目のシュトラウスですね。管楽器奏者3人、クラリネット、ファゴット、ホルンのあまりのうまさに驚愕します。うまいけれども、決して、自己主張するのではなく、アンサンブルに徹して、見事な演奏。ホルンなどはあまり聴こえないほどの抑えた音量で、縁の下の力持ちのような感じ。クラリネットの渋い音色には参ります。上手過ぎるクラリネットです。そして、弦楽器奏者4人も上手いんです。特にヴァイオリンの白井圭も上手い。唖然として、7人の演奏に聴き入ります。音楽的にどうだという前に、音響的な響きの見事さに唸ってしまいました。恐るべきアンサンブルです。

次はA.ブランの七重奏曲です。このA.ブランというのはアドルフ・ブランAdolphe Blancというフランスの室内楽の作曲家で、19世紀のパリ楽壇で活躍したそうです。ただ、室内楽という地味な分野のせいか、いつしか、忘れ去られる存在になったようです。現在はこの七重奏曲が最も知られているだけのようです。その無名とも思える七重奏曲をルートヴィヒ・チェンバー・プレイヤーズは見事な演奏で聴かせてくれました。こういう演奏が知られれば、もっとメジャーな楽曲になるかもしれませんね。メロディアスな聴きやすい音楽でした。演奏は先ほどの「こうもり」序曲 と同様に美しい響きとアンサンブルで聴き惚れるだけです。

前半の最後はR.シュトラウスの《もう1人のティル・オイレンシュピーゲル》です。二人目のシュトラウスの登場です。ただし、これは管弦楽版の《ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら》を5人編成(ヴァイオリン、コントラバス、クラリネット、ファゴット、ホルン)の室内楽に編曲されたもので曲も半分ほどの長さに圧縮されたものです。もともと、スーパーオーケストラが演奏する楽曲ですが、達人揃いの5人が見事な演奏を聴かせてくれます。笑ってしまうほどの素晴らしい演奏でした。音楽的にどうかと言うことは言いっこなしです。そりゃ、原曲の管弦楽版の《ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら》をウィーン・フィルあたりで聴くほうがいいに決まっていますからね。

休憩後は今日のメインの曲目のベートーヴェンの七重奏曲です。初期のベートーヴェンが最後に作曲した娯楽音楽の傑作です。予習で聴いたウィーン・フィルの名人たちの演奏では実に典雅で柔らかい雰囲気でした。

 ウィーン八重奏団(ボスコフスキーほか)
 ウィーン室内合奏団(ヘッツェルほか)

今日のルートヴィヒ・チェンバー・プレイヤーズはそういうウィーン風の演奏とは趣きが異なり、もっと芯がしっかりしたシンフォニックとも言える演奏で、娯楽音楽というよりももっと真摯な演奏で聴かせてくれます。CDで聴くなら、やはり、ウィーン風の柔らかい響きが好ましいと思いますが、実演では今日のようなしっかりした演奏も迫力があります。終始、各楽器の美しい響きの演奏が続き、長い6楽章もあっという間に終わります。全6楽章のうち、第2楽章の天国的な音楽に感銘を受けました。モーツァルト以外の音楽でこのような天国的な雰囲気を感じたことはありません。初期の娯楽音楽でもベートーヴェンは天分を発揮していたことを再認識するとともにルートヴィヒ・チェンバー・プレイヤーズの演奏能力の高さにも魅了されました。

今日のプログラムを紹介しておきます。

  ルートヴィヒ・チェンバー・プレイヤーズ
   ヴァイオリン:白井 圭  ヴィオラ:ヤニス・リールバルディス  チェロ:横坂 源
   コントラバス:幣 隆太朗  クラリネット:ディルク・アルトマン
   ファゴット:ハンノ・ドネヴェーグ  ホルン:ヴォルフガング・ヴィプフラー

  J.シュトラウス:オペレッタ「こうもり」序曲
  A.ブラン:七重奏曲変ホ長調 Op.40
  R.シュトラウス(ハーゼネール編):もう1人のティル・オイレンシュピーゲル

  《休憩》

  ベートーヴェン:七重奏曲 Op.20

   《アンコール》
     J.シュトラウス:フランス風ポルカ「野火」Op.313

いやはや、音楽の世界は広く、まだまだ、saraiの知らない素晴らしい才能がいることに驚かされました。6年前にシュトゥットガルト放送交響楽団の演奏を聴きましたが、そのときはサー・ロジャー・ノリントンの指揮のノン・ヴィブラート奏法に驚かされたので、このオーケストラの真の実力が分かりませんでしたが、名人たちの集団だったんですね。正確に言えば、そのときもハイドンの交響曲第1番を弦楽器奏者9人、管楽器奏者5人で見事な演奏を聴かせてくれたので上手いとは思っていましたが、今日とは違って、ノン・ヴィブラート奏法だったので、その実力がどれほどのものかは分かっていませんでした。今日の管楽器奏者の演奏を聴いて、ドイツの放送局オーケストラの凄さの一端を垣間見たような気がします。


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オペラ・美術が大好きでヨーロッパの旅にはまっています。音楽の聖地ウィーンが中心で、イタリア、フランス、ドイツも巡っています。国内外のオペラ・コンサートの体験もレポートします。

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ありがたいコメント、嬉しいです。マーラーのファンのかたにこそ、読んでいただきたかったので、気持ちを共有できた思いです。自然の中にこそ、マーラーの音楽の本質はあり

04/23 23:45 sarai

マーラーの作品を聴きながら、ブログを読ませていただいています。
読みながら画像を見て、マーラーの過ごした風景に想いを馳せて楽しんでいます。
素敵なブログをありがと

04/23 21:47 

マーラー6番ですか・・・ハンマー打撃は勘弁してほしいものです。あったとしても、3回目の打撃だけは・・・

04/11 18:10 sarai

まさにマーラー6番な状況です笑

04/11 17:51 kico

お互い、残念でしたね。今年でヨーロッパ遠征を終わりにする予定でしたが、悲劇的な状況になりました。天はまだ我に旅を続けよというご託宣を与えたのでしょうか。1年延期

04/11 03:13 sarai

以前にもコメントさせていただいた者です。来ましたね、楽友協会からのメール。私たちはとりあえず1年延期としましたが、どうでしょうね。困っている人が多い中贅沢な悩み

04/11 00:33 kico

お返事ありがとうございます。
本当に!私もレイルジェットや美術館の手配もしているので、祈るような気持ちです。

03/10 19:06 kico
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