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庄司紗矢香、意欲的なデュティユー・・・東京都交響楽団@サントリーホール 2016.11.19

今日の大野和士の音楽への取り組みは評価できるポイントとそうでないポイントのいずれもがあった印象です。まず、評価できたポイントは今日のこのプログラムの素晴らしさです。《ペレアスとメリザンド》にかかわる2つの作品でデュティユーのヴァイオリン協奏曲をはさみこむという離れ業のようなプログラムは大野和士の知的な音楽センスなしには考えられません。さらなるポイントは演奏面での知的なアプローチです。よく考え抜かれた作品解釈であるという印象でした。その解釈に基づいたオーケストラの統率力も見事なものでした。しかし、その結果とした生み出された音楽の内容にはsaraiはいささか納得できません。フォーレの組曲《ペレアスとメリザンド》の出だしは抑えた見事な表現でおっと驚かされましたが、その後のフォルテがいけません。鳴らせ過ぎで音が濁り、うるさい感じ。どうして、ここまで鳴らす必要があるのか、不思議です。ただ、それを除くととても上品な音楽表現で全体としては素晴らしい音楽でした。次のデュティユーのヴァイオリン協奏曲については後にして、最後のシェーンベルクの交響詩《ペレアスとメリザンド》について触れましょう。これは一言で言えば、ただただ力み過ぎとしか言えません。大野和士によれば、この曲は明らかにワーグナーの《トリスタンとイゾルテ》に影響を受けているとのこと。そのせいか、どうにもうるさく鳴らせ過ぎとしか思えません。もっと静かに後期ロマン派の美しい響きを聴かせてほしかったところです。実際、予習で聴いたブーレーズ&グスターフ・マーラー・ユーゲント管弦楽団は素晴らしい演奏でした。もっとも同じブーレーズが指揮したシカゴ交響楽団はもう一つの演奏でしたから、この曲はなかなかの難曲ではありますね。

で、いよいよ本題のデュティユーのヴァイオリン協奏曲です。演奏のよしあしは別にして、とても惹き付けられて聴き入った演奏ではありました。まず、この曲の素晴らしさ・・・無調をベースにして、熱情の込められた音楽です。というと、まるでベルクの音楽を連想してしまいます。新ウィーン楽派の流れを継ぐ音楽にフランス音楽のエッセンスを加えたという具合に感じられます。この曲を充実著しい庄司紗矢香がどう演奏するかが期待されました。で、結果ですが、彼女の真っ正面からの真摯な取り組みは新鮮な音楽となって、とても魅了されました。が、一方、彼女ならば、もっと踏み込んで、熱い演奏ができたのではないかという残念さも残りました。少し、この曲の取り組みが足りなかったようです。是非、もう一度チャレンジしてほしいと感じました。もうひとつ感じたのはもっと自由奔放に弾きまくってほしかったという思いです。指揮の大野和士のアンサンブルに取り込まれ過ぎていた印象があるんです。たしかにオーケストラとのアンサンブルはよかったのですが、そうではなくて、ヴァイオリニストの庄司紗矢香が感じるままに弾き、それを大野和士と都響がサポートするという音楽が聴きたかったんです。明らかにこの演奏を支配していたのは指揮者でした。そういう音楽もあるのでしょうが、やはり、ソリストと指揮者、オーケストラの真剣勝負が聴きたいんです。特に庄司紗矢香はそういうことを期待するレベルの音楽家ですからね。満足と不満足がミックスされた演奏でした。アドレナリンが出まくった演奏ではあったんです。ものすごく集中して聴いたという意味では素晴らしい音楽ではありました。

今日のプログラムは以下のとおりでした。

  指揮:大野和士
  ヴァイオリン:庄司紗矢香
  管弦楽:東京都交響楽団

  フォーレ:組曲《ペレアスとメリザンド》 Op.80
  デュティユー:ヴァイオリン協奏曲《夢の樹》

   《休憩》

  シェーンベルク:交響詩《ペレアスとメリザンド》Op.5

予習したデュティユーのヴァイオリン協奏曲《夢の樹》は以下のものです。

 ルノー・カプソン、チョン・ミュンフン、フランス国立放送局管弦楽団
 アモイヤル、デュトワ、フランス国立管弦楽団

特にアモイヤルとデュトワのCDが素晴らしい演奏を聴かせてくれました。庄司紗矢香もこのレベルで聴きたいものです。



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テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

       庄司紗矢香,

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オペラ・美術が大好きでヨーロッパの旅にはまっています。音楽の聖地ウィーンが中心で、イタリア、フランス、ドイツも巡っています。国内外のオペラ・コンサートの体験もレポートします。

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ありがたいコメント、嬉しいです。マーラーのファンのかたにこそ、読んでいただきたかったので、気持ちを共有できた思いです。自然の中にこそ、マーラーの音楽の本質はあり

04/23 23:45 sarai

マーラーの作品を聴きながら、ブログを読ませていただいています。
読みながら画像を見て、マーラーの過ごした風景に想いを馳せて楽しんでいます。
素敵なブログをありがと

04/23 21:47 

マーラー6番ですか・・・ハンマー打撃は勘弁してほしいものです。あったとしても、3回目の打撃だけは・・・

04/11 18:10 sarai

まさにマーラー6番な状況です笑

04/11 17:51 kico

お互い、残念でしたね。今年でヨーロッパ遠征を終わりにする予定でしたが、悲劇的な状況になりました。天はまだ我に旅を続けよというご託宣を与えたのでしょうか。1年延期

04/11 03:13 sarai

以前にもコメントさせていただいた者です。来ましたね、楽友協会からのメール。私たちはとりあえず1年延期としましたが、どうでしょうね。困っている人が多い中贅沢な悩み

04/11 00:33 kico

お返事ありがとうございます。
本当に!私もレイルジェットや美術館の手配もしているので、祈るような気持ちです。

03/10 19:06 kico
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