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天才R.シュトラウスの音響世界を描き尽すティーレマン&シュターツカペレ・ドレスデン@サントリーホール 2016.11.22

この5日間、ロベルト・ホルの《白鳥の歌》の絶唱をはさんで、サントリーホールで素晴らしいオーケストラコンサートを聴き続けて、これ以上の満足はないくらいです。特に昨日のMTT&サンフランシスコ交響楽団のマーラー、今日のティーレマン&シュターツカペレ・ドレスデンのR.シュトラウスは絶品中の絶品で感動の極み。

今日はティーレマンもさることながら、シュターツカペレ・ドレスデンの素晴らし過ぎる響きに酔いしれました。最初のベートーヴェンのピアノ協奏曲第2番での何とも言えない弦楽合奏の響きは音響的に聴いているだけで気持ちよくなります。音楽以前の素晴らしさです。やはり、世界最高峰に並び立つオーケストラです。そして、後半のR.シュトラウスのアルプス交響曲ではオーケストラ演奏の極みとも言うべき痺れるような官能美に満ちた音響を響き渡らせてくれました。弦楽パートの素晴らしいことはもちろんですが、金管がこれほどのレベルにあるのはシカゴ交響楽団くらいしか思い当たりません。そのシカゴ交響楽団を聴いたのも随分以前のことですから、saraiがしっかりと記憶に留めている超一流のオーケストラのなかではこのシュターツカペレ・ドレスデンが最強です。トータルな力量で言えば、シカゴ交響楽団を番外にすると、ウィーン・フィル、ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団と並んで世界の3強です。ティーレマンが首席指揮者に就任後はますます強力なアンサンブルに上りつめている印象もあります。今度の日曜日にヤンソンス指揮のバイエルン交響楽団を聴きますが、この3強に食い込める実力が感じられるでしょうか。ベルリン・フィルは音響的には素晴らしいですが、音楽的表現で3強の後塵をはいしている感じが否めません。もちろん、ハンティンクやティーレマンが振れば、その実力を発揮するかもしれませんけどね。ペトレンコはまだ聴いたことがないので、これからベルリン・フィルがどうなるのか、予想もできません。

さて、肝心のティーレマンですが、もちろん、シュターツカペレ・ドレスデンのアンサンブル力だけによって音楽を構成しているわけではありません。ワーグナー、ブルックナー、そして、R.シュトラウスを振るときには尋常ではない力を思い知らされることになります。シュターツカペレ・ドレスデンとのR.シュトラウスでは、英雄の生涯、メタモルフォーゼン、ばらの騎士(オペラ)と聴いてきて、思わぬことに気が付きました。意外に正統派的な指揮で、その剛直さを隠して、とても美しい演奏を展開するんです。多分、よほど、R.シュトラウスは相性がよくて、余計な力を入れないで、真っ正面から音楽美・音響美を追求できるのではないでしょうか。実は今日のアルプス交響曲も高らかに音響美を追求した演奏でした。もちろん、それだけに終わったら、下手な描写音楽に堕することになりますが、ティーレマン流の綿密な音楽設計が底流にあります。見かけ上はシュターツカペレ・ドレスデンのアンサンブルの音響美が聴こえてくるわけですが、その実、本当に素晴らしかったのはティーレマンの音楽解釈です。後半まではとても美しい自然描写とも思える音響が流れます。後半、嵐の中を下山した後に音楽の本当の山場がやってきます。予習したティーレマンが指揮したウィーン・フィルとの演奏でもそうでした。激しい起伏のある音楽のあとにやってくるカタルシスとも思える安らかな音楽が極め付きなんです。自然の中に己を置いて、自然の大きさ・豊かさを感じ、自然と自分を一体化して、安らかで優しい気持ちになり、来るべき死を受け入れる。これこそ、天才R.シュトラウスの究極のテーマではないでしょうか。それをティーレマンは最高の形で表現してくれます。晩年のR.シュトラウスは《4つの最後の歌》でもこういう最終的な安寧さを提示してくれましたし、最後の2つの楽劇《ダナエの愛》、《カプリッチョ》でも最終的な安寧さで聴く者を感銘させてくれました。晩年にはまだ遠かったアルプス交響曲でも既にこの終生のテーマは埋め込まれていたことをティーレマンは見事に表現してくれました。シュターツカペレ・ドレスデンの音響美をベースに究極の音楽表現を完成したティーレマンの偉大な才能に敬意を表したいと思います。saraiはこの終盤の美しさ、安らかさ、優しさに大変な感動を味わうことができました。

今日のプログラムは以下です。

  指揮:クリスティアン・ティーレマン
  ピアノ:キット・アームストロング
  管弦楽:シュターツカペレ・ドレスデン

  ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第2番 変ロ長調 Op.19
   《アンコール》 J.S.バッハ:パルティータ第1番 変ロ長調 BWV825 メヌエット(ピアノ・アンコール)

   《休憩》

   R.シュトラウス:アルプス交響曲 Op.64


ところでブロンフマンの代役を務めたキット・アームストロングは見事なピアノを聴かせてくれました。このモーツァルトもどきとも言えるベートーヴェンのピアノ協奏曲第2番に関しては、恐らく、ブロンフマンと同等以上のピアノ演奏を繰り広げてくれたという印象です。ブロンフマンの真骨頂はプロコフィエフにありますから、今回の曲目はもともと、そんなに期待していませんでした。キット・アームストロングは粒立ちのよいクリアーな響きでモーツァルト、あっ違った、ベートーヴェンの協奏曲を美しく表現しました。モーツァルト的な音階も見事な演奏でした。アンコールのバッハは音量を少し抑えて、バッハの静謐な音楽を美しく演奏。何と言っても、このパルティータがsaraiが偏愛する曲なので、そんなに簡単に最高だったとは言いませんが、これならば、リサイタルでも聴いてもいいかなと思えるほどの演奏ではありました。楽しみな若手のピアニストの一人が現れました。

音楽の秋のコンサートはほとんど、これでおしまい。残すはヤンソンス指揮バイエルン放送交響楽団のマーラーの交響曲第9番を残すのみ。まだ、最後の楽しみが残っています。それを聴いた後にsaraiの重大な発表を予定しています。お楽しみにね。



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オペラ・美術が大好きでヨーロッパの旅にはまっています。音楽の聖地ウィーンが中心で、イタリア、フランス、ドイツも巡っています。国内外のオペラ・コンサートの体験もレポートします。

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ありがたいコメント、嬉しいです。マーラーのファンのかたにこそ、読んでいただきたかったので、気持ちを共有できた思いです。自然の中にこそ、マーラーの音楽の本質はあり

04/23 23:45 sarai

マーラーの作品を聴きながら、ブログを読ませていただいています。
読みながら画像を見て、マーラーの過ごした風景に想いを馳せて楽しんでいます。
素敵なブログをありがと

04/23 21:47 

マーラー6番ですか・・・ハンマー打撃は勘弁してほしいものです。あったとしても、3回目の打撃だけは・・・

04/11 18:10 sarai

まさにマーラー6番な状況です笑

04/11 17:51 kico

お互い、残念でしたね。今年でヨーロッパ遠征を終わりにする予定でしたが、悲劇的な状況になりました。天はまだ我に旅を続けよというご託宣を与えたのでしょうか。1年延期

04/11 03:13 sarai

以前にもコメントさせていただいた者です。来ましたね、楽友協会からのメール。私たちはとりあえず1年延期としましたが、どうでしょうね。困っている人が多い中贅沢な悩み

04/11 00:33 kico

お返事ありがとうございます。
本当に!私もレイルジェットや美術館の手配もしているので、祈るような気持ちです。

03/10 19:06 kico
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