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マーラーの描くもの・・・薄明の先の無、ヤンソンス&バイエルン放送交響楽団@サントリーホール 2016.11.27

素晴らしいエンディングでした。美しい弱音で表現される人生の終わりを告げるような薄明の世界に強い感銘を受けて、目を閉じながら、演奏に耳と心を集中します。そして、遂に弦楽器の響きが途絶えます。そこにはぽっかりと虚無の暗黒が広がるのみです。ヤンソンスが表現したのは甘美な死の世界ではなく、残酷過ぎる絶対的な死の世界。この先、何にもありはしません。渺渺たる暗黒の世界を覗き込むような沈黙がホールを包み込みます。それが長い時間だったか、短い時間だったのか、気が付くとホールに歓声と大きな拍手があふれています。saraiは拍手もできず、呆然としていました。大多数の聴衆とは気持ちが共有できなかったようです。
第4楽章の後半までは、もうひとつ心に響くものが足りない演奏に思えました。オーケストラの響きは素晴らしいし、ヤンソンスの指揮も的確ですが、感動がありません。マーラーの交響曲第9番で感動がなければ、致命的です。美しい音楽が頭の中を通り過ぎていくだけ。何故、こんなに空疎に思えるのか、不思議でした。思い当たったのはオーケストラの姿勢の問題です。いくら超一流のオーケストラであっても、マーラーの交響曲第9番で聴衆に感動を与えるためには、圧倒的に曲にのめり込む気持ちが不可欠です。今日のバイエルン放送交響楽団には、その思い詰める気持ちが不足していたのではないでしょうか。指揮者のヤンソンスにも責任の一端はあるでしょうが、バイエルン放送交響楽団ほどのオーケストラならば、指揮者に煽り立てられなくてもマーラーの交響曲第9番が何たるものかを心得るべきでしょう。ラファエル・クーベリックが培ってきたマーラー演奏の伝統は継承されなかったのか・・・まあ、今日はたまたま日が悪かったのかもね。終わりよければ、すべてよしということにしましょう。

今日のプログラムは以下です。

  指揮:マリス・ヤンソンス
  管弦楽:バイエルン放送交響楽団

  
マーラー:交響曲第9番 ニ長調


ちなみに比べるのも変な話ですが、1週間前に聴いたマイケル・ティルソン・トーマスの超絶的なマーラー(こちらは交響曲第1番でしたが)の素晴らしさが思い出されました。サンフランシスコ交響楽団の懸命に打ち込む演奏、それを統率したマイケル・ティルソン・トーマスは尊敬すべきものでした。こちらで第9番を聴きたかったくらいです。

今回の予習はベルナルト・ハイティンクの最近の録音を聴きました。

 2009年 ロンドン交響楽団 ライブ、非正規盤
 2011年 ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団 ライブ、非正規盤
 2011年 バイエルン放送交響楽団 ライブ、正規盤

実は巨匠ハイティンクの指揮でもバイエルン放送交響楽団の演奏はもうひとつで、ほぼ、今日の演奏と同じようなものだったんです。もっとも、このときの演奏はヤンソンス指揮の予定だったのが、ヤンソンスが健康不良でハイティンクは代役の指揮でした。準備不足もあったかもしれません。その2年前のロンドン交響楽団の演奏はテンポも遅めで実に気合のはいった名演。CDではありますが、感動しました。ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団の演奏はその中間くらいの出来です。ハイティンクのこの曲の初録音は1969年のアムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団ですから、ほぼ半世紀にわたって指揮してきていることになります。全部で9種類の録音が残されています。

何故、こんなにハイティンクの演奏だけを聴いたかと言えば、ここだけの話、来年のザルツブルグ音楽祭でのハイティンク指揮ウィーン・フィルのマーラーの交響曲第9番を聴きにいこうとひそかに計画しているからです。saraiの人生の総仕上げに、是非ともハイティンク指揮でマーラーの交響曲第9番を聴きたかったし、是非ともウィーン・フィルの演奏でマーラーの交響曲第9番を聴きたかった・・・その夢が一挙に実現できるんです。それほど、saraiにとって、マーラーの交響曲第9番は特別な曲なんです。この夢が実現できれば、もう思い残すことはありません。長く続けてきたヨーロッパ、音楽の旅も完了してもいいかなと思っています。



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たかぼんさん、初めまして。saraiです。

嬉しいコメント、ありがとうございます。ブッシュ四重奏団は素晴らしいですよ。とりわけ、第14番は最高です。
もっとも、ブッシュ

09/17 02:04 sarai

とても素晴らしいお話をお聞かせ頂き感謝いたします。
私は今まで、後期の4曲はブダペスト四重奏団できまり!と思っておりました。
ブッシュ四重奏団は別なレコード(死

09/16 13:52 たかぼん

ミケランジェロさん、saraiです。

遅レスで申し訳けありません。敬愛するジョナサン・ノットをご評価いただき、ありがとうございます。

相変わらず、独自の音楽探求を続

06/23 23:50 sarai

こんにちは。

ジョナサン・ノット氏の公演鑑賞を拝読したく参りました。毎回とても沢山の公演記録を私達に届けて下さり、ありがとうございます。

マエストロは数年前のイ

06/14 08:27 michelangelo

えりちゃさん、コメントありがとうございます。
最終公演に行きますが、ムーティ&ウィーン・フィルは渾身の力で凄い演奏を聴かせてくれますよ。特にシューベルトは有終の

11/09 22:13 sarai

尻上がりに素晴らしくなりました!
あの弦の響きにもうハマるのですよ!
あと2公演ありますが、もう既に同じプログラムを2回演奏しているので、ますます良くなるか、ち

11/09 10:56 えりちゃ

えりちゃさん、お久しぶりです。saraiです。

なかなか、海外渡航の見通し、立ちませんね。来年あたりはどうでしょうね。長期戦覚悟で我慢するしかありませんね。

こちら

04/10 02:37 sarai
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