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《フィガロの結婚》を聴くなら、ここでしょ!@エステート劇場 2013.6.18

モーツァルトの数ある作品でも、これこそ最高傑作と言えるのはこのオペラ《フィガロの結婚》に留めをさすと思っています。オペラ史上、最高のロマンチックコメディーです。これに対抗できるのは、モーツァルト回帰したR・シュトラウスがこの《フィガロの結婚》を目指して作曲したと思われる楽劇《薔薇の騎士》だけでしょう。

《フィガロの結婚》は1786年5月1日にウィーン・ブルク劇場で初演されましたが、不人気ですぐに上演中止。同年12月にプラハのこのエステート劇場で再演され、プラハで大変な人気になります。即座にモーツァルトにお呼びがかかり、翌年1月にはモーツァルトがこのエステート劇場の指揮台に上がり、《フィガロの結婚》を演奏しました。モーツァルトはこの《フィガロの結婚》の演奏に先立ち、名作、交響曲第38番《プラハ》を1月に初演しています。このプラハでの成功をきっかけにエステート劇場から依頼のあったオペラ《ドン・ジョヴァンニ》を同じ年にエステート劇場でモーツァルト自身の指揮で初演しています。また、レオポルド2世のボヘミア王戴冠を記念して、ボヘミア政府から依頼のあったオペラ《皇帝ティトの慈悲》を1791年にモーツァルト自身の指揮でエステート劇場で初演しています。レオポルド2世の臨席のもとでした。これは国王夫妻には不評だったようですが、プラハ市民の間では大変な人気だったそうです。モーツァルトはこの年に亡くなります。モーツァルトは死ぬ前の5年間、プラハ、特にこのエステート劇場と大変強いつながりを持っていたんです。

前置きが長くなりましたが、モーツァルト好き、それも《フィガロの結婚》の大好きなsaraiにとって、このエステート劇場で《フィガロの結婚》を聴くことは、もうそれだけでも、うるうるものなんです。

今日は珍しく、平土間ではなく、ロジェ・バルコンで聴きます。実はネットでの販売がなかなか始まらず、いざ、始まったら、既に平土間の良い席は埋まっていました。それでLINKS3番のロジェのシートを予約しました。ロジェは基本1室2席なので、saraiと配偶者だけの密室。ゆったりと平土間を見下ろしながら、俄か貴族気分になれます。乗り出さないと舞台の3分の1ほどが見えませんが、そんなに気になりません。配偶者は靴を脱いで、椅子の上に正座して聴いています。お行儀がいいのか、悪いのか、よく、分かりませんが、リラックスできて、楽しかったようです。オーケストラの演奏もすべて視界におさめることができます。

あのわくわく感たっぷりの序曲が始まりました。オーケストラのアンサンブルは・・・はっきり言って、不揃いです。しかし、何か、ほのぼの感もあり、昔日の演奏を聴いて、懐かしさも感じるような演奏です。切れ味鋭い演奏とは程遠く、昔の電蓄でレコードを聴いているような感覚です。暖かさにあふれた演奏です。緊張感もなく、楽しみながらの演奏です。単にへたくそと決めつけることはできません。こういう音楽もありでしょう。

第1幕、最初のシーンでフィガロとスザンナが登場しますが、スザンナ役のKaterina Knezikova(以降、カテリーナと呼びます)が実にキュートで気に入ります。声の響きもクリアで新鮮で活き活きしており、一気に惹きつけられます。《フィガロの結婚》では、各配役に美しいアリアがありますが、何故かスザンナだけは、あまり、素敵なアリアがありません。それでもやはり、この《フィガロの結婚》の真の主役はスザンナです。アリアを補って、余りある、レシタティーボや重唱での活躍があります。そのスザンナを歌うカテリーナが素晴らしいので、今日のオペラは素晴らしくなる予感がします。カテリーナは歌だけなく、容姿も若くて、清潔で美しく、演技もとてもキュートでスザンナにぴったりです。重量級のネトレプコよりも好みです。声も透き通っていて、ホールによく響きます。エステート劇場は客席数600名とこぶりな劇場でモーツァルトのオペラも室内オペラのような感じで、歌手の声がよく響きます。モーツァルトはこういうホールを意識してオペラを作ったのかと納得しました。

あとはもう、嬉しくて、にこにこしながら、アリア、重唱、合唱、オーケストラを楽しむのみです。隅々まで知り尽くしたオペラですが、場面、場面でオーケストラの演奏楽器が巧みに使い分けられていることに初めて気が付き、モーツァルトの天才ぶりの感嘆します。木管のオーボエを中心にフルート、クラリネットを使い分け、通常は、オーボエとファゴットとホルンで演奏し、ここぞというところで、トランペットとティンパニが参入します。それが舞台上の歌、筋書と如何にマッチしているか、恐ろしいほどです。

第3幕の伯爵夫人のアリアが素晴らしく、その表現力に瞠目するばかりです。続く《そよ風に寄せるカンツォネッタ》は伯爵夫人を中心にカテリーナのスザンナも素晴らしく、うっとりと聴き入ります。このあたりから、オペラは佳境を迎えていきます。
第4幕の素晴らしいこと、saraiの聴いたなかでは最高です。重唱が多いのですが、その美しさ・迫力。最後は伯爵が許しを請い、伯爵夫人が優しく許してくれる最高の場面。もう、涙するしかありません。だって、他人事ではありません。何かと罪を犯し続けるsaraiのことを配偶者が優しく許してくれるという勝手な妄想を描いてしまうからです。昨日のオペラ《ペレアスとメリザンド》では、ゴローに救いはありませんでした。ここには、大きな救いがテーマとして描かれています。無論、saraiは許しを得て、人生を全うしたいんです。だから、《フィガロの結婚》は大好き。
フィナーレは許しの音楽のしっとりしたところから一転して、活き活きとした全員の重唱で圧巻の幕です。感動!! 単純だと言われようが、ここには人生、人間への愛が満ちています。それらを享受してこその音楽って、最高だとは思いませんか?

今日のキャストは以下です。

  演出:Josef Prudek
  指揮:Jan Chalupecky
  管弦楽:プラハ国民劇場管弦楽団

フィガロ:Frantisek Zahradnicek
  スザンナ:Katerina Knezikova
アルマヴィーヴァ伯爵:Jiri Bruckler
  伯爵夫人:Marie Fajtova
ケルビーノ:Stanislava Jirku
  バルトロ:Ludek Vele
  アントニオ:Ales Hendrych
  マルチェリーナ:Lenka Smidova
  バジリオ:Vladimir Dolezal
  バルバリーナ:Erika Jarkovska
  ドン・クルツィオ:Vaclav Lemberk
  
明日からはウィーンに戻って、オペレッタ、オペラ2回、大声楽曲を4夜連続で聴いて、今回の旅は完了です。明日からの音楽体験も是非、共有してくださいね。


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テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

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オペラ・美術が大好きでヨーロッパの旅にはまっています。音楽の聖地ウィーンが中心で、イタリア、フランス、ドイツも巡っています。国内外のオペラ・コンサートの体験もレポートします。

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昨日投稿した記事の一部に誤りがありました。ドイツ騎士団の中庭はパスしないで、ちゃんと見ていました。追記・修正しました。申し訳ありません。

08/07 00:28 sarai

えりちゃさん、saraiです。お久しぶりです。

これは昨年の9月のウィーンですが、現在のコロナ禍では、古き良き日という風情ですね。もう、ポスト・コロナでは、行けたにし

07/20 12:41 sarai

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07/20 05:08 えりちゃ

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06/14 23:46 Yuichironyjp

ありがたいコメント、嬉しいです。マーラーのファンのかたにこそ、読んでいただきたかったので、気持ちを共有できた思いです。自然の中にこそ、マーラーの音楽の本質はあり

04/23 23:45 sarai

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読みながら画像を見て、マーラーの過ごした風景に想いを馳せて楽しんでいます。
素敵なブログをありがと

04/23 21:47 

マーラー6番ですか・・・ハンマー打撃は勘弁してほしいものです。あったとしても、3回目の打撃だけは・・・

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