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驚異的な新人デビュー!《ロメオとジュリエット 》@ウィーン国立歌劇場 2013.6.21

今夜はウィーン最後のオペラ。最後の最後にとんでもない隠し玉というか、サプライズが待っていました。

発端はウィーン国立歌劇場の入り口に着いた時。妙にチケット売りの人が多い! 妙な胸騒ぎがして、張り出してある今日のポスターを見に行きます。ゲゲッ!!! 何と、主役のジュリエットを歌うニーノ・マチャイゼの名がなく、何だか、まったく知らない名前が記載されています。それも何と何と、ウィーン国立歌劇場に今夜、デビューする新人です。ここで一気にテンションがダウンします。ニーノ・マチャイゼはネトレプコの代役でジュリエットを歌い、大成功した若手です。ヴィデオでも、ヴェローナ野外音楽祭の素晴らしい歌唱を聴いて、大いに期待していたんです。

テンションダウンして、すっかりリラックスムードでオペラを聴き始めます。それに今日のウィーン国立歌劇場は観光客でいっぱいです。タイトルが《ロメオとジュリエット》なので分かりやすかったのか、ドミンゴが指揮をするので、客が集まったのか、定かではありませんが、決して、いい雰囲気ではありません。昨日の《カプリッチョ》とは様変わりです。白けながら聴き始めましたが、さすがにウィーン国立歌劇場のオーケストラは素晴らしい響きでグノーの甘美な旋律を奏でます。そうそう、今日はコンサートマスターがキュッヒルさんです。相変わらず、早くからピットにはいり、練習に励んでいます。前に寄って、会釈すると、きちんと会釈してくれました。真面目なかたです。

ともあれ、まったく期待外のジュリエットの登場。冷やかに聴き始めました。んん・・・!! これはっ・・・!! まずは大変な声量に度肝を抜かれます。ウィーン・デビューでの気負いもあるのでしょう。声量も声の響きも凄いのですが、コントロールがもうひとつのようにも感じます。ですが、とてつもないソプラノのような予感です。ウィーン初登場、いきなりの主役抜擢ですから、もちろん、単なる新人ではない筈です。それに指揮がドミンゴなので、そんな変なソプラノが出てくるはずもありません。名前はソーニャ・ヨンチェヴァ(レイネさんのご指摘で日本語表記が分かりました。原語はSonya Yoncheva)でブルガリア出身の32歳です。
第1幕でいきなり有名なアリア「私は夢に生きたい」は大変な負担でしょう。ネトレプコの澄み切った声の響きではなく、玉を転がすような声の輝きがあります。こういうソプラノは初めて聴きました。とても耳に心地よく響きます。ネトレプコとどちらがいいかと言われると、それぞれの持ち味があるとしか、言えませんが、ソーニャは若さと瑞々しさという武器があり、新鮮さに満ちています。デビューしたてのネトレプコの勢いも感じます。
第2幕以降のロメオとの2重唱では、ソーニャもすっかり落ち着き、声の響きのピュアーさも増してきました。高音域での輝かしい声の響きは素晴らしく、段々と惹きこまれていきます。ソーニャの声が聴けるのが、唯一の楽しみになってきて、彼女の出番が待ち遠しくなってきます。もちろん、ロメオを歌うベチャーラも期待通りの熱唱で、彼がこんなに歌がうまいとは驚きです。どちらかというと、実直に熱い心情を魂を込めて歌うテノールでテクニックは今ひとつと感じていましたが、彼もキャリアを重ねて、大変なテノールに成長しましたね。その素晴らしいベチャーラの歌唱にも支えれて、ソーニャの歌声はますます、素晴らしく響きます。特に婚礼の夜のデュエットには、すっかり参りました。なんと美しく、チャーミングなんでしょう。容姿も若々しい肢体にものを言わせて、セクシーです。ちょっと太めですが、今のネトレプコとは比べものになりません。そして、圧巻だったのは最後のデスシーンのデュエット・・・ちゃんとピアノッシモの美しい高音が聴けました。
ロメオとジュリエット以外の配役については、この作品の場合、亡霊1、亡霊2、・・・という感じにさせてください。最高のラブストーリーですから、恋人2人に絞りたいsaraiの心境・我儘です。幾分なりとも、ロメオとジュリエットにsaraiと配偶者を重ね合わせた一途な心境・・・馬鹿な奴だと分かってやってください。

今夜のオペラは不思議に感動はなく、興奮だけが残りました。グノーの甘美すぎる音楽のせいかもしれません。今度はソーニャのプッチーニあたりを聴いてみたいと思いながら、帰途につきました。ニーノ・マチャイゼには縁がなかったんですね。

今日のキャストは以下です。

  演出:ユルゲン・フリム
  指揮:プラシード・ドミンゴ
  管弦楽:ウィーン国立歌劇場管弦楽団

ジュリエット:Sonya Yoncheva
  ロメオ:Piotr Beczala
  キャピュレット卿:Il Hong
  ローレンス神父(ローラン神父):Dan Paul Dumitrescu
  メルキューシュ:Gabriel Bermudez
  ティボルト(ティボー):Dimitrios Flemotomos
  ステファーノ:Juliette Mars
  ジェルトリュード:Ulrike Helzel
  グレゴリオ:Marcus Pelz
  パリス:Mihail Dogotari
  ベンヴォーリオ:Martin Muller
  公爵:Alexandru Moisiu
  
やっぱり、オペラはいいですね。人間の声の魔力にとりつかれてしまいます。今日は新人ソプラノの驚異の歌声に我を忘れてしまうほどでした。明日はオペラではありませんが、一番好きなソプラノの一人、デノケの声が聴けます。楽しみは尽きません。


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この記事へのコメント

1, レイネさん 2013/06/22 17:43
ソニア・ヨンチェヴァ(日本語表示は多分これ)は、数年前リールとヴェルサイユでの『ジュリオ・チェーザレ』(ひいきのCT、クリストフ・デュモーのタイトル・デビュー)でクレオパトラ役だったので注目してます。(実演には接してません) そして今年のリールでの『ポッペアの戴冠』(応援しているCTたち、マックス・エマニュエル・チェンチッチとティム・ミード出演)でのビッチなポッペア役が仲間内で話題になりました。(Arteか MezzoのサイトかYoutubeで全編観れます)この1,2年各地で売り出し中・活躍中です。
そして、来年5月、アムスのDNOの『ファウスト』(ミンコフスキー指揮、アレックス・オレ演出!)のマルグリット役が決定してるので、見に(聴きに)行くつもりです。
パワーあふれる声の美人だし役どころが広いから、今後も期待できますね!

2, saraiさん 2013/06/23 16:32
レイネさん、詳しいコメント、ありがとうございました。

バロックを歌っていた人だったんですね。これでブレークすると、バロックから遠ざかってしまうかも・・・。
来年5月のマルグリット、僕も聴きたい!!!
続報があれば、また、教えてください。

今日、ウィーンを発ち、帰国です。しばらく、ヨーロッパの予定はありません(財政破綻!)。

3, レイネさん 2013/06/30 22:19
ヨンチェヴァは、来シーズン2回聴けるはず、と思ってたんですが、もう一回はDNOではなくてモネ。10月公演、トマの『アムレット』でオフェリア役です。ステファヌ・ドゥグーのタイトル・ロールは絶賛されてるし、こちらもミンコさん指揮、ピイ演出で見逃せません。(ミンコさん好みのソプラノってことかしら)楽しみ、楽しみ。

4, レイネさん 2013/06/30 22:22
先ほどのコメントの間違いを訂正します。モネ劇場の『アムレット』は12月公演です。チケットばら売り開始が10月から。

5, saraiさん 2013/07/01 00:08
レイネさん、続報ありがとうございます。
トマのハムレットとは、なかなか渋い演目ですね。確かにミンコフスキに見込まれたのかも。注目しておかないと、今年、来年はどこに出ても不思議ではなさそうですね。それにしても、レイネさんのテリトリでの出演が多いのも不思議。
来年の予定はこれからですが、DNOのチケット売り出しって、いつ頃からですか。

6, レイネさん 2013/07/01 02:30
DNOのバラうりチケットは公演開始日の3か月前発売からです。『ファウスト』のオンライン・チケット発売開始は2月10日の12時からです。公演は5月10,13,15,18,21,23, 25,27日で、18日と25日がマチネで13時30分、それ以外の日は19時開演です。
5月ってオランダではやたらと祝日が多いので、家族旅その他が入りそうなのでコンサートやオペラの予定が立てにくい。。。でも、気候的には通常好天が多いので、Saraiさんご夫妻のヨーロッパ遠征にはよろしいのでは。他の都市で目をつけてらっしゃる演目は、何かしら?
(ところで、6月の里帰りは実現しませんでした。急を要する用事がなくなったので。次回帰国は早くて今年の秋、遅くとも来年の春になります。)

7, レイネさん 2013/07/02 06:59
しつこくコメント続投で失礼します。ヨンチェヴァ情報です。
ミュンヘンの来シーズンスケジュールを見てたら、4月の『椿姫』に彼女がヴィオレッタ役で主演するのを発見。アルフレードはヴィリャゾン、パパ・ジェルモンはレオ・ヌッチで、4月15日、19日、25日の公演です。
ミュンヘンは、オーストリアやクロアチアに行くとき通り過ぎるだけで、停まったことも泊まったこともまだないんです。追っかけ歌手が登場しないから。。。

8, saraiさん 2013/07/02 10:36
レイネさん、凄い情報収集力ですね。

4月ミュンヘンですか。それに5月のDNO、そそられますね。4月はウィーンでガランチャ、シュヴァネヴィルムスの《ばらの騎士》もあるし、ウィーン→ミュンヘン→アムステルダムという日程ができあがりそう・・・
どうしよう??
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オペラ・美術が大好きでヨーロッパの旅にはまっています。音楽の聖地ウィーンが中心で、イタリア、フランス、ドイツも巡っています。国内外のオペラ・コンサートの体験もレポートします。

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ありがたいコメント、嬉しいです。マーラーのファンのかたにこそ、読んでいただきたかったので、気持ちを共有できた思いです。自然の中にこそ、マーラーの音楽の本質はあり

04/23 23:45 sarai

マーラーの作品を聴きながら、ブログを読ませていただいています。
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04/23 21:47 

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04/11 18:10 sarai

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04/11 17:51 kico

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04/11 03:13 sarai

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04/11 00:33 kico

お返事ありがとうございます。
本当に!私もレイルジェットや美術館の手配もしているので、祈るような気持ちです。

03/10 19:06 kico
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