明晰なマルティヌー、これ以上は望むべくはないショスタコーヴィチ・・・フルシャ&東京都交響楽団@東京文化会館 2016.12.19
しかし、本命は今日の公演です。何故かと言うと、マルティヌーの交響曲が聴けるからです。フルシャのマルティヌーの交響曲シリーズは既に第6番、第4番を聴いています。残念ながら第3番は聴き逃がしましたが残りは是非とも聴きたいものです。今日の第5番と来シーズンの第1番と第2番で完結です。なかなか、本場チェコの指揮者でマルティヌーを聴く機会はないので、フルシャの指揮するマルティヌーを聴き逃がせません。
まずは予習。以下のCDを聴いて、万全の準備をしました。
カレル・アンチェル指揮チェコ・フィル 1955年録音
ヴァーツラフ・ノイマン指揮チェコ・フィル 1978年録音
イルジー・ビエロフラーヴェク指揮チェコ・フィル 2007年録音
ネーメ・ヤルヴィ指揮バンベルク交響楽団 1988年録音
アンチェルはモノラル録音ですが、音質もよく、繊細さと強靭さを兼ね備えた鉄壁の演奏。マルティヌー特有のリズムの刻みが素晴らしいです。ノイマンは期待ほどでない演奏。時折、つぼを外した感じ。全般的にはよいのでちょっと惜しいです。逆にビエロフラーヴェクはつぼを押さえた素晴らしい演奏です。ネーメ・ヤルヴィはアンチェルの強靭さはありませんが、豊かな響きの素晴らしい演奏でアンチェルに並び立つ演奏です。
今日のフルシャの演奏は師匠のビエロフラーヴェクを思わせる演奏で、ともかく、明晰この上ない演奏。各声部がクリアーに聴こえてきます。どんな大音量でも音がつぶれることはありません。ただ、少し、スケール感が不足して、アンチェルのような鉄の強靭さに欠けるのが残念なところ。まあ、入門者にとっては分かりやすい演奏ではありました。特に高揚感は素晴らしいものでした。実演でこういうマルティヌーが聴けるのだから、大満足ではありました。
今日、素晴らしかったのはむしろ、後半に演奏されたショスタコーヴィチの交響曲第10番。賛否両論はあるかもしれませんが、ともかく、明晰でダイナミックな演奏で、とっても分かりやすく、エンターテインメント的にパーフェクトとも思える演奏です。沈痛さや晦渋さはほどほどで痛快とも言っていい演奏です。聴いていて楽しいと言えば、これ以上望むべくはないという印象です。もちろん、軽薄さとは無縁の演奏で、純音楽的に素晴らしい内容です。ショスタコーヴィチと言えば、あまりに指揮者が無理な解釈を施すことがありますが、音楽そのものをストレートに表出した素晴らしい演奏でした。まあ、ゲルギエフのような暗い沈痛な演奏も嫌いじゃありませんけどね。ショスタコーヴィチを聴いて、こんなにインスパイアされたのは久しぶりです。それも第10番とくれば、初めての経験かもしれません。この調子で第4~8番を聴いてみたくなりました。
今日のプログラムは以下のとおりでした。
指揮:ヤクブ・フルシャ
管弦楽:東京都交響楽団
マルティヌー:交響曲第5番 H.310
《休憩》
ショスタコーヴィチ:交響曲第10番 ホ短調 Op.93
ヤクブ・フルシャの指揮ぶりはまるでスポーツマンみたい。こんなに運動神経の凄い指揮者って、いないんじゃない? それを見ているだけで驚かされてしまいます。ましてや、その動きが音楽とぴったりと連動しているのは恐るべきことです。でも、相当に疲れるでしょうね。
ところで、今日は今年最後に聴くコンサートでした(ジルヴェスターコンサートを除いて)。きっと、生涯で最高にコンサートに通った1年でした。来年は少しセーブしないとね。疲れますから・・・。
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