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最後のパリ散策:オルセー美術館(6)

2015年7月9日木曜日@パリ/16回目

印象派の殿堂、オルセー美術館Musée d'Orsayで名画の数々を鑑賞中です。

最後の仕上げに場所を0階に移します。そこで楽しみなのは象徴派のギュスターヴ・モローの傑作群です。

ギュスターヴ・モローの《イアソン》です。1865年頃に描かれた作品です。ギュスターヴ・モローの初期の作品ですが、何と言う完成度の高さでしょう! この作品は1865年にサロン出品されメダルを獲得しました。作品の主題は、イオルコスの王子イアソンが怪物を退治して、黄金の羊の毛皮を手に入れる神話物語を描いたものです。王子イアソンは叔父ペリアースからイオルコスの王位を取り戻すために、黒海の果てコルキスにあるという伝説の黄金の羊の毛皮を持ち帰る冒険の旅に出発します。その遠征のために巨大なアルゴー船を建造し、乗組員として、ヘラクレス、双子のカストールとポリュデウケースたちを集めます。この一行はアルゴナウタイと呼ばれ、アルゴナウタイの冒険が始まります。紆余曲折して、コルキスに到着しますが、コルキスのアイエテス王は宝物である黄金の羊の毛皮を渡さないように画策します。ところがアイエテス王の娘のメディア王女は王子イアソンに強い恋心を抱き、黄金の羊の毛皮を守る怪物を眠り薬で眠らせて、王子イアソンは首尾よく怪物(伝説上では龍とされる怪物は本作では鷲の上半身と獅子の下半身をもつグリフォンの姿で描かれています)を退治して、黄金の羊の毛皮を手に入れます。その場面がここに描かれています。王子イアソンは高々と右手を上げて、勝利を宣言しています。足で怪物を踏みつけて、後ろにメディア王女が寄り添っています。まさに神々しいシーンが見事に描かれています。しかし、それで終わらないのがモローの凄いところです。この場面をよく見ると、王子イアソンは英雄らしくなくて、単なる色男のように描かれています。そして、後ろのメディア王女の妖しい視線がこの絵画の最大の見ものになっています。この怪物退治は実はメディア王女の魔力によるものであったこと、そして、この後の二人の運命さえも暗示しています。メディア王女の過剰な恋心と魔力で王子イアソンは破局に至ります。それは古代ギリシア三大悲劇詩人の一人エウリピデスによる戯曲《メディア》で描かれています。オペラの題材にもなっていますね。
それにしてもとても美しい絵画です。saraiもメディア王女の妖しい魔力の虜になってしまいそうです。

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ギュスターヴ・モローの《ヘシオドスとミューズ》です。1891年頃に描かれた作品です。ギリシャの吟遊詩人ヘシオドスがボイオーティアの寒村アスクラの東にあるヘリコーン山を訪れたときに、芸術家に霊感(インスピレーション)を与える女神ミューズによって、突然、詩人としての才能がヘシオドスに与えられた瞬間を描き出しています。何と表現してよいか分からないほどに超絶的に美しい絵画です。幻想的でありながら、細部まで綿密に描き込まれた驚異的な作品です。モローの想像力と創造力に舌を巻くしかありません。モローこそ、女神ミューズによって、霊感を与えられたのではないでしょうか。

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ギュスターヴ・モローの《ガラテイア(ガラテア)》です。1880年頃に描かれた作品です。古代ローマの詩人オウィディウスの最も有名な著書「変身物語(転身物語)」に基づいて制作された作品です。モローが参加した最後の1880年のサロンへ出品され、モローが審査員を務めた1889年の万国博覧会へも出品されました。巨人族キュクロプスの中で特に粗暴で知られる一つ目の巨人ポリュペモスが、海神ネレウスの娘の中のひとりで、水晶より輝き白鳥の綿毛より柔らかいと称された美しい海のニンフ「ガラテイア(ガラテア)」を見初める場面が描かれています。いやはや、ガラテアが本当に輝くように美しく描き出されていることに驚きを禁じえません。絵画でこんな表現が可能なものか、我が目を疑うような気持になります。そして、モローの偉大な知性を尊敬するばかりです。

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ギュスターヴ・モローの《シクストゥス5世の少年時代》です。1853年~1854年頃に描かれた作品です。ごくごく初期の作品です。この頃はドラクロアの影響を受けていました。後のモローの萌芽も見えますが、まだまだ、象徴派としての道は遠いですね。2009年にオルセー美術館に購入された作品のようです。

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ギュスターヴ・モローの《エウロペの略奪》です。1869年頃に描かれた作品です。モロー初期の作品です。作品の主題は、フェニキアの都市テュロスの王アゲノルの娘エウロペが侍女らと海辺で戯れる姿を見て、エウロペを見初めた主神ユピテルが、白く優美な雄牛に姿を変えてエウロペに近づき、心を許したエウロペが雄牛の背中に乗ると、雄牛(主神ユピテル)が駆け出し、そのまま海を渡りクレタ島へと連れ去ってしまったという神話の物語によっています。

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ギュスターヴ・モローの《ゴルゴタの丘》です。1867年頃に描かれた作品です。モロー初期の作品です。キリストが十字架にかけられるという、珍しく宗教的な題材です。

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象徴派のギュスターヴ・モローの完成作品のあまりの素晴らしさに驚天動地。ここまで描くかという超精密さで彼の内面世界(心象風景)をきらびやかに表現しています。
ギュスターヴ・モロー美術館には膨大な未完成作品が展示されていますが、あれらがすべて完成されていたたら、凄かったでしょうね。

0階での鑑賞はまだまだ続きます。



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ジャンル : 海外情報

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オペラ・美術が大好きでヨーロッパの旅にはまっています。音楽の聖地ウィーンが中心で、イタリア、フランス、ドイツも巡っています。国内外のオペラ・コンサートの体験もレポートします。

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えりちゃさん、お久しぶりです。saraiです。

なかなか、海外渡航の見通し、立ちませんね。来年あたりはどうでしょうね。長期戦覚悟で我慢するしかありませんね。

こちら

04/10 02:37 sarai

saraiさま、
お久しぶりです!
お元気にコンサートや旅行を楽しんでおられますね!
ブログ、楽しく拝見しています。おフランス、良いね😊
私は春だというのに、仕事と用事以

04/09 05:29 えりちや

気になってたずねても 
誰にも知らんと言われなんやろ
と思いつづけて居ました❗
写真みつけてこれだと思いました❕スッとしました
教えて下さって嬉しいです
ありがとうご

02/13 22:26 みーちゃん

みーちゃんさん、saraiです。

あの謎の建物は雄琴沖総合自動観測所という施設で琵琶湖の水質を測定しているそうです。

https://www.water.go.jp/kansai/biwako/html/repo

02/13 21:40 sarai

ずーと前にうきみどうに行きました
やはり、琵琶湖の真ん中の建物が何なのか気になったままです
分かりましたか
教えてください

02/13 20:54 みーちゃん

五十棲郁子さん、コメントありがとうございます。

水道水のこと、tap waterって言うんですね。知らなかった。単にwaterで通していました。ましてや、フランス語はほとんど

02/11 00:12 sarai

フランスも地方へ行くと英語が通じないでしょう。tap water ぐらいフランス語で言えないとね。

02/10 12:54 五十棲郁子
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