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ショパンとチャイコフスキーのピアノ協奏曲を堪能、仲道郁代 ピアノ・コンサート@サントリーホール  2017.1.29

昨年から続いている仲道郁代さんの一連のデビュー30周年プロジェクトのコンサートです。saraiがデビュー30周年コンサートを聴くのはこれでお終いです。ショパンとチャイコフスキーの有名なピアノ協奏曲を一挙に聴かせてくれます。指揮は小林研一郎ということで手堅いですね。

やはり、前半のショパンのピアノ協奏曲第1番が聴きものです。メロディーラインが実に美しく、そして、明快に演奏されます。粒立ちのよい響きも魅力的です。ショパンらしいロマンチックな音楽ですが、特に第1楽章、第2楽章ではショパンの祖国に寄せる郷愁も心に響いてきます。ピアノの響きがオーケストラに比べて大きくて、バランス的には何ですが、今日は仲道郁代さんのピアノを聴くのが目的ですから、これでいいでしょう。まるでピアノの独奏を聴いている感じです。仲道郁代さんが30年間、特にショパンに注ぎ込んできた愛情が実ったという感じです。プレイエルを弾き込んできた成果も感じられます。もっとも今日はスタインウェイです。前回のリサイタルで弾いたYAMAHAのCFXをリクエスト(saraiのブログ)しましたが、やっぱり、大ホールではスタインウェイが正解でしょうか。フィナーレの迫力がもう一つだったのだけが残念ですが、ともあれ、ショパンの協奏曲をここまで弾いてくれるとsaraiも満足です。

後半のチャイコフスキーは正直、不安でした。仲道郁代さんはあんまり、ばりばりと弾くタイプではありませんからね。シューマンあたりのほうが無難じゃなかったっけと配偶者に話したりしていました。ところがです。流石に一流のピアニストは色んな引き出しがありました。冒頭のあの有名なパートから、豪快なピアノを聴かせてくれます。まさにヴィルトゥオーゾ風の演奏でした。スケールの大きな演奏で、もちろん、リリシズムにも満ちています。若干のミスはありますが、ライブでは付き物で気にはならないレベルです。こんな演奏が聴けるというのはサプライズでした。

最後に一番、感動的なものが残っていました。アンコール曲のショパンのノクターンの第20番は美しく、そして、心にしみじみと響いてきました。演奏したご本人も感極まった様子。彼女のこの曲の演奏はこれまで何度も聴いてきましたが、今日ほどの素晴らしい演奏はありませんでした。

今日のプログラムは以下です。

  ピアノ:仲道郁代
  指揮:小林研一郎
  管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団

  チャイコフスキー:弦楽セレナーデ ハ長調 Op.48より第1楽章
  ショパン:ピアノ協奏曲第1番ホ短調Op.11

   《休憩》

  チャイコフスキー:ピアノ協奏曲第1番変ロ短調 Op.23

   《アンコール》

     ショパン:夜想曲第20番(遺作)嬰ハ短調「レント・コン・グラン・エスプレッシオーネ」
     エルガー:愛の挨拶 Op.12

ところで、今日のショパンとチャイコフスキーのピアノ協奏曲は大変、有名な曲ですが、意外にこれまでアルゲリッチ以外の演奏をあまり聴いてこなかったことに気が付きました。それほど、アルゲリッチの演奏に満足していたということなんですけどね。ということで、世評に高い演奏を中心に予習しました。

まず、ショパンのピアノ協奏曲第1番で予習したのは以下です。もちろん、いずれも聴き応えのある素晴らしい演奏ばかりです。なかでもポリーニの演奏には参りました。アルゲリッチはもちろん、文句なし。ピリスの美しい響きにも耳を奪われました。ツィマーマンは噂通り、オーケストラ演奏がユニークですが、ピアノもパーフェクト。ただ、あまり、感銘がありません。むしろ、ジュリーニと組んだ旧盤を今度聴いてみましょう。番外はリパッティ。音質が悪くて、正直、評価できません。もう少し聴き込まないと本質が見えません。ブレハッチは案外の演奏でした。ハスキルの録音が残っていないのが残念です。第2番はあるのにね。

 ディヌ・リパッティ、オットー・アッカーマン指揮チューリヒ・トーンハレ管弦楽団 1950年。
 マウリツィオ・ポリーニ、パウル・クレツキ指揮フィルハーモニア管弦楽団 1960年。
 マルタ・アルゲリッチ、クラウディオ・アバド指揮ロンドン交響楽団 1968年。 LPレコード
 マリア・ジョアン・ピリス、エマヌエル・クリヴィヌ指揮ヨーロッパ室内管弦楽団 1997年。
 クリスティアン・ツィマーマン(ピアノと指揮)、ポーランド祝祭管弦楽団 1999年。
 ラファル・ブレハッチ、セムコフ指揮ロイヤル・コンセルトへボウ管弦楽団 2009年

次に、チャイコフスキー:ピアノ協奏曲第1番で予習したのは以下です。リヒテルのピアノが思ったほど豪快でないのが意外でしたが、やはり、素晴らしい演奏です。アンチェルと組んだ演奏も聴きたかったところです。しかし、アルゲリッチの演奏は大変、迫力がありました。ホロヴィッツとかも聴きたかったところです。ギレリス、ボレット、ソコロフ、ガヴリーロフも聴いてみたかったところです。

 スヴャトスラフ・リヒテル、ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮ウィーン交響楽団 1962年。
 スヴャトスラフ・リヒテル、エフゲニ・ムラヴィンスキー指揮レニングラード・フィル 1962年。 LPレコード
 マルタ・アルゲリッチ、クラウディオ・アバド指揮ベルリン・フィル 1994年。



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08/04 21:31 G線上のアリア

じじいさん、コメントありがとうございます。saraiです。
思えば、もう10年前のコンサートです。
これがsaraiの聴いたハイティンク最高のコンサートでした。
その後、ザル

07/08 18:59 sarai

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クルト。ザンデルリング、ヴァント、ハイティンク
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07/08 15:53 じじい@

saraiです。
久々のコメント、ありがとうございます。
哀愁のヨーロッパ、懐かしく思い出してもらえたようで、記事の書き甲斐がありました。マイセンはやはりカップは高く

06/18 12:46 sarai

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コメント、ありがとうございます。正直、もう2年ほど前のコンサートなので、詳細は覚えておらず、自分の文章を信じるしかないのですが、生演奏とテレビで

05/13 23:47 sarai
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