ルーアン大聖堂&ル・アーヴル:戦争の傷跡を残すルーアン大聖堂~ジャンヌ・ダルク教会
ルーアン大聖堂Cathédrale Notre-Dame de Rouenの内部を鑑賞しているところです。内陣の外側の周歩廊を歩いています。
内陣奥にはマリア礼拝堂があります。鉄柵があり、中には入れません。

鉄柵越しにこの美しい礼拝堂を鑑賞しましょう。

週歩廊に残る古いステンドグラスです。

内陣奥の南側にはリチャード獅子心王Richard Cœur de Lion(リチャード1世)のお墓があります。このルーアン大聖堂にはリチャード獅子心王の心臓が納められています。リチャード獅子心王はイングランド王ですが、当時はノルマンディー公も兼ねていたので、ここルーアンはリチャード獅子心王の領土の一部でしたし、彼はこのルーアンを愛していたそうです。そのことから、41歳で戦死したリチャードの遺体の一部がこのルーアン大聖堂に葬られることになったそうです。以前、ドナウ川のヴァッハウ渓谷のデュルンシュタインを訪れて、リチャード獅子心王が捕囚されていた山上のお城、デュルンシュタイン城を眺めたことを思い出します。リチャードは十字軍に参加した帰りにオーストリア公レオポルト5世に捕えられて、デュルンシュタイン城に幽閉されました。その後、イングランド側が多額の身代金を払うことで釈放されて、イングランド王に復帰しました。王位回復後、フランス王フィリップ2世との戦いを続けていましたが、クロスボーの矢を肩に受け、その傷がもとになって亡くなりました。リチャード獅子心王は中世の騎士の鑑として、永遠の人気を集めています。合掌!

内陣の週歩廊から翼廊の先の側廊を眺めます。スケールの大きな眺めです。

身廊に戻って、西側のほうを眺めます。大きな薔薇窓が見えますが、ステンドグラスは第2次世界大戦で破壊されて、擦りガラスが代わりに設置されています。とても美しいステンドグラスだったそうです。戦争はすべてを破壊する忌まわしい行為であることをまた痛感します。

身廊の天井です。

身廊の北側、入口近くにある聖ヨハネ礼拝堂の《美しき絵硝子》というステンドグラスです。これも戦禍から生き残った貴重な遺産の一つです。

これでルーアン大聖堂の内部見学を終了します。外観が美しいのに比べて、正直、内部は古びていてもうひとつです。ステンドグラスもオリジナルの古いものが少ないですからね。まあ、それでも、精巧なデザインのステンドグラスが内陣奥にあり、それらは美しいかったのが救いです。すべては戦争という人類の愚かな行為の結果であることに思いを馳せると、無念以外の何ものでもありません。
大聖堂の外に出て、陽光を浴びて、美しい姿を見せるルーアン大聖堂を仰ぎ、また、気持ちを取り直します。何と言う神々しく、華麗な建物でしょうか。

石造りでありながら、まるで繊細なレースのようです。このルーアン大聖堂の西ファサードの究極の美を脳裏に刻み付けます。

さて、次はこの地で最期を迎えたジャンヌ・ダルクの終焉の地に建つジャンヌ・ダルク教会Eglise Sainte-Jeanne-d'Arcを見に行きます。グロ・オルロージュ通りRue du Gros Horlogeを西のほうに歩いていきます。綺麗な石畳の通りです。

前方に大きな時計の塔が見えてきます。

とても立派な大時計です。これは何でしょうね。まるでベルンの天文時計のようです。後で調べると、大時計台Le Gros-Horlogeと呼ばれているそうです。時計自体は1389年に完成しましたが、現在の位置に設置されたのは1529年のことだそうです。いれにせよ、とても古いものです。この時計は時刻だけではなく、月の満ち欠けや曜日を知ることができるそうです。やはり、天文時計のようなものですね。

大時計台の傍らには、ルネサンス様式の高い塔も付属しています。この時計が「重錘時計」と呼ばれる形式であり、おもりが地球の重力で下に落ちる力を利用して時を刻むので、おもりを高いところに置くために、この高い塔を築いたそうです。因みに現在は電気化されており、高い塔の必要性はありません。

大時計台の下をくぐって、グロ・オルロージュ通りを進むと、町一番の目抜き通りのジャンヌ・ダルク通りRue Jeanne d'Arcと交差します。この先もグロ・オルロージュ通りが続きますが、多くの人で賑わっています。

ジャンヌ・ダルク通りを横断し、さらにグロ・オルロージュ通りを進んでいくと、美しい木骨造り(コロンバージュ)の家が軒を連ねるヴィコント通りRue de la Vicomteと交差します。

さらにしばらく進むと、独創的な外観のジャンヌ・ダルク教会Eglise Sainte-Jeanne-d'Arcに到着します。

ここまでの散策ルートを地図で確認しておきましょう。

ジャンヌ・ダルク教会の独創的な外観にしばし絶句します。
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