ティーレマン+ウィーン・フィルのベートーヴェン交響曲チクルスへの助走:序章
実を言うと、サントリーホールがチケットを売り出す予定時刻はsaraiはシベリア上空をフランクフルトに向かうANAの航空機に乗っている時間帯だったので、いったんはチケット購入はあきらめかけたんです。が、そこに女神が登場。saraiの代わりにチケット購入を引き受けてくれたんです。フランクフルト経由でブダペストに到着後、彼女から吉報が舞い込んできたんです。このことは当ブログにも書いたので、覚えているかたもいらっしゃるでしょう。
昨年、このチクルスについて書いた当ブログの記事はここ。このチクルスへの熱い気持ちを書きました。
結局、以下のチクルスのS席を確保しました。投じた資金は14万円。
クリスティアン・ティーレマン指揮 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
<ベートーヴェン 交響曲チクルス>
第1日(11月8日(金)) 交響曲第1番、第2番、第3番
第2日(11月10日(日)) 交響曲第4番、第5番
第3日(11月15日(金)) 交響曲第6番、第7番
第4日(11月17日(日)) 交響曲第8番、第9番
しかし、このために払った犠牲も少なからず、あります。資金のことは別にしても、この第1日目の公演(11月8日)は既にインバル+東京都響で進行中の素晴らしいマーラー交響曲チクルスの交響曲第7番の横浜みなとみらいホール公演とバッティングし、マーラーのチケットは既に購入済。チケットは誰かにあげるしかありませんが、この交響曲第7番はどうしても聴き逃すわけにはいかないでしょう。先日、翌日の東京芸術劇場公演のチケットを購入し直しました。
こんな無理をしてまで入手したベートーヴェン交響曲チクルスですが、それだけの価値はあると信じて疑いません。きっとsaraiの音楽人生(そんな人生ってあるのっていう突っ込みはなし!)において、ひとつのエポックになると思います。何せ、ティーレマン+ウィーン・フィルのベートーヴェン交響曲と言えば、当代を代表するものです。大げさに言えば、もう、フルトヴェングラーが60年近く前に亡くなって以来、最高のベートーヴェンが聴けるかもしれない。それも全交響曲を東京で聴けます。今後、saraiが生きているうちの最後のチャンスになるかもしれません。
こう思うと、自分のためにも、演奏者に敬意を払うためにも、十分な準備を整えて臨むしかないと強く思うようになりました。じゃあ、どうしようかな。
もう子供のときから、聴き過ぎるほど聴いてきたベートーヴェンの交響曲ですが、この際、人生の総括の意味も込めて、きちんと聴き直して、十分な予習にも繋げようと思います。ただし、漫然と聴いては、膨大な量のCDを聴くことになり、体力的にも無理なことになります。以下の基本プランを考えました。
1.単なる聴き比べではなく、今回のティーレマン+ウィーン・フィルの演奏の聴きどころを探る。
2.全集盤を中心に聴いていく。
3.ウィーン・フィルの歴代の全集は網羅する。
4.1指揮者は1演奏を基本とする。ただ、フルトヴェングラーなど、1部は例外にせざるを得ない。
以上の方針のもと、リストアップしたCDは以下です。
まず、ウィーン・フィル以外(録音年の順)。
トスカニーニ、NBC交響楽団 1949~1952 モノラル
トスカニーニ・コンプリートRCAコレクション(84CD&1DVD)を最近購入したので、この際、ベートーヴェンから、この世紀の大指揮者を聴き始めようと思った次第
ワルター、コロンビア交響楽団 1958~1959
子供の頃、このLPでベートーヴェンを聴き始めたsaraiの記念碑的な演奏
コンヴィチュニー、ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団 1959~1961
ドイツ人らしい謹厳(融通の利かない)な指揮を以前から敬愛していたので、ちゃんと聴いてみることにした。
クーベリック、9つの異なるオーケストラ 1971~1975
クーベリックのロマンチックな指揮ぶりは好み。ただ、手兵のバイエルン放送交響楽団のみで聴きたかったところ。
ヴァント、ミュンヘン・フィル(第1番のみ) 1994
ヴァントの北ドイツ放送交響楽団との全集は聴いたばかり(最高に素晴らしい!)だったので、未聴のミュンヘン・フィルを聴いてみる。ミュンヘン・フィルBOXに含まれている。
ハイティンク、ロンドン交響楽団 2005~2006
旧盤のコンセルヘボウもきっちりしたよい演奏だったが、今回はまだ全部は聴いていない新盤を聴くことにした。
次に、ウィーン・フィル(録音年の順)。
フルトヴェングラー(第9番のみはバイロイト祝祭管弦楽団) 1948~1954
これは正確に言えば、ウィーン・フィルの全集ではない。また、ウィーン・フィル以外にも名盤があるので、それらを織り交ぜて、最低限の演奏はウィーン・フィル以外も聴く予定
イッセルシュテット 1965~1969
ウィーン・フィル最初の全集。特に第9番はウィーン・フィル初のステレオ録音。
ベーム 1970~1972
意外にも、ベームはベルリン・フィルでは全集を出していない。モーツァルトの交響曲全集はベルリン・フィルなので、むしろ、ベートーヴェンはベルリン・フィル、モーツァルトはウィーン・フィルのほうがイメージに合う感じ。
バーンスタイン 1977~1979
バーンスタイン2度目の全集。本当は最初のニューヨーク・フィルの全集(1961~1964)のほうが個人的には好みですが、今回はウィーン・フィルにこだわって、こちらを聴くことに。
アバド 1985~1988
1度目の全集。アバドはその後、ベルリン・フィルでも全集(1999~2000)を出したが、今回はウィーン・フィルを聴く。
ラトル 2002
ラトルがウィーン・フィルで全集というのは意外な気がする。実際、本人も同じだったようで、オファーを受けて、本当に自分でいいのかと聴き直したらしい。なお、この年(2002年)、ラトルはベルリン・フィルの音楽監督に就任。
ティーレマン 2008~2010
もちろん、これを聴くのが目的! ブルーレイもあるが、音楽のみに集中するためにCDを聴く。ほかの演奏をすべて聴いた後に、このCDを聴き、その真価と聴きどころを探る。
ウィーン・フィルは実に70年に渡るベートーヴェン演奏の歴史を聴くことになります。指揮者の顔ぶれも錚々たるものです。
ということで、次回から1曲ずつ聴いていきます。まずは第1番から第3番までを聴きます。チクルスの第1日のプログラムです。
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