ガランチャ・メゾソプラノ・リサイタル@モーツァルト劇場 2017.8.3
前半のプログラムはブラームスでしたが、あまりに美声で歌われる歌につい聴き惚れてしまいました。歌の表現うんぬんの前にこれほどの美声で歌われると何も言うことがありません。≪私たちは歩き回ったWir wandelten, op. 96/2≫の美しさにはうっとりと聴き入るばかりです。pの高音の美しさ、繊細さ、そして、安定した中低域。ブラームスが書いた愛の歌が心に迫ります。最後の≪永遠の愛Von ewiger Liebe, op. 43/1≫はキルヒシュラーガーのCDで愛聴して止まない歌ですが、ガランチャはサビの部分で見事に高潮した歌声で感銘させてくれます。まあ、この歌ばかりはキルヒシュラーガーの絶唱を上回ることは難しいですが、それでも十分に堪能させてくれました。前半のプログラムのブラームスはフィンク、キルヒシュラーガーに並び立つ素晴らしさで魅了してくれました。
後半のプログラムはデュパルクの歌曲3曲で始まります。前半のブラームスでは表現上、抑えた歌声でしたが、デュパルクでは思いっきりの響きで圧倒してくれます。ブラームス同様、とてつもない美声の歌声です。まあ、それだけで十分なのですが、デュパルクらしい粋という点では、フランス系の名歌手には残念ながら及ばないのも事実です。ですが、これほどの美声で歌われるデュパルクというのも驚異的ではあります。
続くラフマニノフですが、これはどこをとっても素晴らし過ぎるというのが実感です。ラフマニノフの切なくて熱く燃える心情が余すところなく歌われます。ガランチャの美声とドラマティックな表現が遺憾なく発揮されて、最高のラフマニノフに仕上がっていました。これほどまでにラフマニノフを歌えた歌手はいなかったのではないでしょうか。ヴィシネフスカヤもびっくりという感じです。メゾソプラノとは言え、ソプラノ歌手も凌駕し、さらにメゾの利点を発揮した究極の歌唱です。
アンコールの3曲目、ピアノ伴奏が始まったとたん、あまりの嬉しさで跳び上がりそうになります。先日、R・シュトラウスのガルミッシュ・パルテンキルヒェンの山荘前で聴いた≪明日の朝≫です。本来、ソプラノが歌う曲ですが、そのハンディをものともせずに素晴らしい歌唱で魅了してくれました。saraiの愛聴曲ということもあり、今日、最高の歌でした。
今日のプログラムは以下です。
メゾソプラノ:エリーナ・ガランチャ
ピアノ:マルコム・マルティヌー
ブラームスの歌曲
愛の誠実Liebestreu, op. 3/1
愛と春 II Liebe und Frühling II, op. 3/3
秘密Geheimnis, op. 71/3
私たちは歩き回ったWir wandelten, op. 96/2
おお 可愛いほほよO liebliche Wangen, op. 47/4
サッフォー風のオードSapphische Ode, op. 94/4
「マゲローネのロマンス」~憩え、いとしい人よRuhe, Süßlichen, im Schatten, op. 33/9
おお、帰り道を知っていたならばHeimweh II, op. 63/8
昔の恋Alte Liebe, op. 72/1
乙女の歌Mädchenlied, op. 107/5
五月の夜Die Mainacht, op. 43/2
私は夢を見たEs träumte mir, op. 57/3
落胆Verzagen, op. 72/4
永遠の愛Von ewiger Liebe, op. 43/1
≪休憩≫
デュパルクの歌曲
戦いの起こった国へAu pays où se fait la guerre
恍惚Extase
フィデレPhidylé
ラフマニノフの歌曲
いや、お願いだ、行かないでO,net,molju,ne ukhodi! op. 4/1
私は悲しい恋をした Poljubila ja na pechal’ svoju op. 8/4
夕暮れ Sumerki op. 21/3
彼女たちは答えたOni otvechali op. 21/4
私はあなたを待っているJa zhdu tebja op. 14/1
リラの花Siren’ op. 21/5
夜は悲しい Noch’ pechal’na op. 26/12
「美しい人よ、私のために歌わないで」(6つの歌)Ne poj,krasavitsa,pri mne op. 4/4
≪アンコール≫
ブラームス:?
ラフマニノフ:?
R・シュトラウス:明日の朝Morgen! Op.27-4
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