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モーツァルト・マチネ2 アントニーニ&ザルツブルグ・モーツァルテウム管、ベザイデンホウト@ザルツブルク・モーツァルティウム大ホール 2017.8.5

オランダのフォルテピアノの名手、クリスティアン・ベザイデンホウトは初聴きです。今日はもちろん、スタインウェイでしたが、モーツァルトにふさわしいピュアーなタッチのピアノの響き。いい演奏なのですが、最近、クララ・ハスキルが弾くモーツァルトのピアノ協奏曲に魅了され尽しているので、もう一つ、詩情に欠けていると感じます。もっとも、誰が弾いても今のsaraiは満足できないでしょう。あのクララのピアノの響きったら、唯一無二なものです。でも、ベザイデンホウトは特に第3楽章はよい演奏でした。ということで、休憩時間に彼のサイン会があるというので、様子を見に行きました。でも、どこでやっているのか、全然、分かりません。と、配偶者があれじゃないと言うので、そちらを見ると、テーブルにバケツに入ったシャンパンのボトルがあり、シャンパングラスを持つ人がいます。確かに彼です。でも、誰もサインを求めている人がいません。彼のCDを購入していませんが、プログラムがあるので、それにサインしてもらいましょう。と、まさにサインをしようとする彼の手が止まります。そして、彼の目線が上がります。その目線の先を追うと、カメラを構える配偶者! それにしてもベザイデンホウトは完全なカメラ目線。徹底したファンサービスの人ですね。

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ところでシャンパンではありませんでしたね。ミネラルウォーターをただのワイングラスで飲んでいたようです。
サインはこちら。こんなお洒落なサインはもらったことがありません。さすがにオランダ人です。

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サインをもらった後で、彼に今日のアンコール曲を尋ねると、モーツァルトのSuiteだと答えてくれました。まさかモーツァルトだとは思っていなかった上、モーツァルトに組曲:Suiteがあるとは知らなかったので、聞き違えかと思って、えっと言う顔をしていると、重ねて、Suiteと言った上で、K.399と教えてくれました。サンキュウ! 後で調べると、モーツァルトはこの時期、バロックショックを受けて、J.C.バッハやヘンデルの音楽を研究していたんですね。とりわけ、ヘンデルに傾倒していて、このアンコール曲もヘンデルの組曲に倣ったもののようです。saraiは実はフレンチ・バロックかと思って聴いていました。モーツァルトもまだまだ知らない曲がありますね。

前半のプログラムの最初に演奏されたモーツァルトの交響曲第29番はごく少人数の室内オーケストラという感じで演奏されましたが、このザルツブルク・モーツァルティウム大ホールにはよく響きます。モーツァルトの当時では、この規模のオーケストラも大編成って感じだったんでしょうね。ちなみにオーケストラの人数を数えたらちょうど29人。まさか第29番に語呂合わせで人数を揃えたんじゃありませんよね。第1ヴァイオリンが7人、第2ヴァイオリンが6人、ヴィオラが5人、チェロが4人、コントラバスが3人、オーボエが2人、ホルンが2人です。その彼らの演奏はアンサンブルがぴったりと揃い、耳馴染んだ曲が気持ちよく聴けます。
前半の最後はクリスティアン・ベザイデンホウトが弾くモーツァルトのピアノ協奏曲第24番。ピアノのソロが目立った演奏でした。

後半はシューベルトの交響曲第4番ハ短調「悲劇的」。何でモーツァルト・マチネでシューベルトかと思いましたが、それはそれとして、とても素晴らしいシューベルトの演奏でした。とりわけ、終楽章の主題、何かに追われているような切羽詰まったような感じがとても印象的です。これが繰り返し、現れながら、疾風怒濤のような雰囲気を醸し出します。あまり、聴き込んでいない曲ですが、中期のシューベルトもなかなか聴き応えがあります。最近、後期を中心にシューベルトの魅力に捉われつつありますが、後期以前のシューベルトもなかなかいいですね。

今日のプログラムは以下です。

 指揮:ジョヴァンニ・アントニーニ
 ピアノ:クリスティアン・ベザイデンホウト
 管弦楽:ザルツブルグ・モーツァルテウム管弦楽団

 モーツァルト:交響曲第29番イ長調K.201
 モーツァルト:ピアノ協奏曲第24番ハ短調K.491

  《アンコール》モーツァルト:ピアノ組曲ハ長調 序奏とフーガ K.399

  《休憩》

 シューベルト:交響曲第4番ハ短調「悲劇的」D.417


今回はこのザルツブルク・モーツァルティウム大ホールに5回も足を運んでしまいました。この小ぶりで美しいホールはホールトーンの響きもなかなか美しい、よいホールでした。なお、お隣の建物がザルツブルク・モーツァルティウム音楽院です。明日を目指す音楽家たちのピアノの音やソプラノの声が漏れ聞こえていました。若い音楽家たちには、音楽の祭典、ザルツブルク音楽祭など、無関係で己の進む道をめざしているのですね。



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ジャンル : 音楽

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首都圏の様々なジャンルのクラシックコンサート、オペラの感動をレポートします。在京オケ・海外オケ、室内楽、ピアノ、古楽、声楽、オペラ。バロックから現代まで、幅広く、深く、クラシック音楽の真髄を堪能します。
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08/04 21:31 G線上のアリア

じじいさん、コメントありがとうございます。saraiです。
思えば、もう10年前のコンサートです。
これがsaraiの聴いたハイティンク最高のコンサートでした。
その後、ザル

07/08 18:59 sarai

CDでしか聴いてはいません。
公演では小沢、ショルティだけ

ベーム、ケルテス、ショルティ、クーベリック、
クルト。ザンデルリング、ヴァント、ハイティンク
、チェリブ

07/08 15:53 じじい@

saraiです。
久々のコメント、ありがとうございます。
哀愁のヨーロッパ、懐かしく思い出してもらえたようで、記事の書き甲斐がありました。マイセンはやはりカップは高く

06/18 12:46 sarai

私も18年前にドレスデンでバームクーヘン食べました。マイセンではB級品でもコーヒー茶碗1客日本円で5万円程して庶民には高くて買えなかったですよ。奥様はもしかして◯良女

06/18 08:33 五十棲郁子

 ≪…明恵上人…≫の、仏眼仏母(ぶつげんぶつも)から、百人一首の本歌取りで数の言葉ヒフミヨ(1234)に、華厳の精神を・・・

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通りすがりさん

コメント、ありがとうございます。正直、もう2年ほど前のコンサートなので、詳細は覚えておらず、自分の文章を信じるしかないのですが、生演奏とテレビで

05/13 23:47 sarai
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